PDAの話をしよう1

PDAって知っていますか？以前、若いデジタル系のWEB編集者に「PDA時代にね…」なんて話をしたら、「PDAって何ですか？」と言われてしまいました。PDAを知らない世代が、デジタル系の仕事をしている時代なんですね。ちなみに、初めて使った携帯もiPhoneと聞いて、ひっくり返りました。

モバイルユーザーとして古株になってしまった私ではありますが、今、モバイルを使っているのは、PDAの強烈な体験があったからに他なりません。そんな私のPDAへの思い出話を書かせていただきます。

PDAって何でしょう？パーソナルデジタルアシスタントの略です。こんな言葉が生まれたのは、1990年代です。パソコンというものが普及し始めて、個人でコンピューターを持つようになり、パーソナルコンピューター、略してパソコンというものが市民権を得た時代です。この頃は、インターネットはまだ普及しておらず、パソコンで利用していたのは、パソコン通信と呼ばれるものでした。

パソコン通信とは、画面上にテキストが順次打ち出されていく、テキストベースの通信コミュニケーションです。基本は、掲示板とチャットにより、情報交換を行っていました。WEBなんて夢のような時代のことです。

こんな時代、1990年代に、PDAを使い始めました。自宅に、大きなデスクトップパソコンをようやく導入した頃で、ノートパソコンはまだ常用できるサイズではなかった時代です。PDAの主な用途としては、パーソナルデジタルアシスタントと呼ばれるだけあって、予定表、アドレス帳、メモがメインとなります。つまり、紙の手帳で行っていたことを電子化する、というのが主な用途となります。インターネットもない時代、iモード携帯が生まれる以前のため、端末に通信手段は内蔵されていません。単独で利用して、自宅のデスクトップパソコンと同期するのが精一杯の時代でした。PDA機器の性能は、当初はモノクロ液晶で、電池駆動。メモリも数メガバイトというもので、非常に限られたものでした。

そんなPDAを、まだモバイル機器が普及していない時代に使い始めたきっかけが、アドレスフリーの仕事場でした。当時としては珍しい大部屋システムの仕事場でした。仕事仲間は、大量の資料を常に持ち歩きながら、場所を移動して仕事をする、というのが日常でした。アドレスフリーの仕事場で、データをコンパクト化したい、デジタル化して便利に使いたい、そんな気持ちでPDAを導入しました。つまり、社内モバイルをやりたい、というのが最初のきっかけです。今のように、場所と時間を選ばずにネットをしたいというモバイルとは、随分規模の小さなモバイルでした。

それでも、社内には、パソコンもなく、ワープロが幅を効かせている時代に、社内モバイルをしたい、というのは無謀な挑戦でした。ちなみに、ワープロとは、ワードプロセッサーの略で、文字を打つだけの端末です。言ってしまえば、ワード専用機なようなものです。ワープロを知らない世代になっていますので、念のため。

社内モバイルのため、まず紙の手帳を捨てることにしました。PDAに、予定、アドレス、メモを全て書き込んで保存することを始めました。この作業を始めたのは、PDAではなく、実はワープロをPDA代わりに使い始めたのが最初でした。1991年に発売された富士通のオアシスポケットです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/オアシスポケット https://gyazo.com/f9d5f66dc2090ecb396c519d81a9cea2

私は、電話回線を利用したモデム通信機能があるオアシスポケット2を使っていました。単三電池2本で10時間程度駆動する折り畳み型の小さなワープロです。このワープロ機を、ワープロとしてではなく、テキストメモに、予定表、アドレス、メモを入力して保存する、という原始的な方法でPDA代わりに使い始めたのです。

http://2nd.geocities.jp/freddy56tp/PDA/OasysPocket2.jpg http://2nd.geocities.jp/freddy56tp/PDA/oasys.htm

さらに、公衆電話にて、電話のモジュラージャックを挿して、10円を入れて、パソコン通信をしていました。電話のモジュラージャックのある公衆電話は、当時一般的だった赤い公衆電話ではなく、グレーの公衆電話だったため、パソコン通信ユーザーの間では、グレ電と呼んでいました。このグレ電を町中で探して、パソコン通信をする、というモバイル体験を行っていました。

グレ電！: ふるさとインターフォン 〜 Back to the Garden

https://gyazo.com/f25cd21be0c686e6649bc6776830e8d6 http://bluewind.asablo.jp/blog/2011/05/10/5856275

このワープロを活用したモバイル体験が、後のPDAの活用に繋がっていきます。PDAの話をしよう、というタイトルですが、今回は、PDAが登場しませんでした。次回以降、PDAの話を続けます。