【研究】農家支援プロジェクト
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農業体験を活用した人手不足への取り組み
少子高齢化による農業全体の働き手の減少に伴い,繫忙期に人手を確保することが困難になっています.
特に果樹農業では,中山間地で栽培されることが多く,平地よりも過疎化が進んでいることから人手確保の困難に対する影響が大きくなっています.
また,急な斜面や狭く入り組んだ土地の影響で機械化が難しく,人手に頼った農作業が多くあります.
こうしたことから地域の外から人手を集める仕組みが必要になっています.
そこで,着目したのが収穫作業体験です.
収穫作業体験は果樹狩りのように収穫作業や収穫した果実を食べるというレジャー要素を含みつつ,実際に農家が働く現場で仕事を体験するというコンテンツです .
こうした収穫作業体験が,収穫作業に興味を持つ人が訪れるきっかけとなることで繁忙期である収穫期に作業者を確保する手段として注目されています.
一見すると,収穫作業体験者の活用が作業者確保の解決手段として有効であるように思います.
しかし,体験者はレジャー体験として取り組む一方で,果樹農家は体験者に対して効率的あるいは継続的な作業者として収穫への貢献を期待しているという目的意識の齟齬が生じています.
そのため,なかなか定着しなかったり,作業者として期待する収穫の量に満たなかったりと収穫作業体験者が十分に機能していない恐れがあります.
そこで,収穫作業体験者に対して果樹農家が期待する行動を取ってもらうために,体験の満足度を高めつつ,体験者が自発的に効率的な収穫作業の学習をするよう促すことが重要になってきます.
本研究では,こうした課題を解決するために仕掛学の観点から収穫作業体験者の行動を果樹農家が期待する行動へと変容するように試みます.
仕掛学は,人の好奇心や遊び心を利用して行動変容を引き起こす”仕掛け”を対象とした研究分野です.
行為者に強制することなく個人あるいは社会にとってより望ましい行動が選択できるように,人が知覚できる刺激に「物理的トリガ」(physical trigger)として”仕掛け”を設置し,それによって引き起こされる「心理的トリガ」(phycological trigger)を組み合わせることで誘導するアプローチです.
こうした観点のもとで”仕掛け”を施し,体験者が楽しみつつ,自発的に効率的な収穫作業方法を学習するように促すことで,果樹農家が期待する行動への変容を狙います.
”仕掛け”を施す前段階として何が収穫作業体験者の行動を変容させる要因として効果があるのかを調査しました.
結果としては,量を意識させるきっかけとして仕掛けを施すことで,グループの連帯感や体験者の自己実現欲を刺激し,それらがモチベーションとして作用することで,自発的に試行錯誤や情報収集を繰り返し,効率的な収穫作業を学習する可能性が伺えました.
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今後は,今回の調査で明らかになったことをベースとして”仕掛け”を施していきます.
農業体験を活用するためのこれまでの取り組み
提供できる環境
和歌山県田辺市の梅・みかんを栽培している農家の協力の下,リアルなフィールドを観察しながら取り組めます
一言
現在は,プロの農家のノウハウを収集することを軸とした研究に取り組んでいます.
社会的に非常に意義のあるテーマであり,やりがいを持ちながら研究しています.
少しでも興味のある方は下記まで連絡ください.
k658481@kansai-u.ac.jp 新川晴紀(シンカワハルキ)