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本研究は,災害時におけるTwitterの投稿から被害情報や救援要請情報を効率的に抽出し活用するためにはどのように情報を峻別し情報編纂(情報トリアージ)行うかを考える研究です.
今からちょうど十年ほど前の東日本大震災の際,ある一つのツイートが話題になりました.
「障害児童施設の園長である私の母が子供たち10数人と一緒に避難先の気仙沼市中央公民館3階にまだ取り残されています。子供達だけでも助けて。」
この一件のツイートが当時の東京都副知事の目に留まり,東京都庁の防災ヘリが派遣されました.SNSの投稿が,災害現場での救助に繋がった好事例の一つとして話題になりました.
また,インフラがダウンし電話が繋がらなくなった状況下で唯一外部と連絡をとる手段としても注目されました.
こういった背景があり,東日本大震災後には,Twitterを救助要請や災害被害を把握するためのツールとして使えないかという研究が行われるようになりました.
実際の活用事例
2019年台風19号の影響で長野県の千曲川が氾濫した際,
長野県自治体は独自で専門の自治体職員を配備し,つきっきりでTwitterに投稿された救助要請を収集を行い,直接被災者とやり取りするなどして,約50件の救助に繋げていました.
活用のための課題
ツイートにはテレビ報道の拡散や個人の感想,デマなどへの反応といった救援要請に直接関わらないノイズツイートも多く投稿されます.情報の信頼性を担保するためには,最終的には人目で確認する必要があります.
可能な限り人が判断する際の労力を減らすためには,
事前にノイズとなる情報を取り除くことで,必要な情報を効率よく抽出できるようにすることが望ましいと言えます.
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本研究で取り組んでいること M2森野穣
Twitterデータの収集
2019年台風19号のツイートデータ(千曲川,入間川,相模川に関するツイートより) 約14万件
令和2年7月豪雨のツイート画像(救助,救援に関するツイートより) 約30万枚
Twitterデータの分析
2019年台風19号のツイートデータ を用いて,ウェブメディアはSNSに影響を与えていると言う仮定のもと,その影響を調査.
分析手法:相関分析
明らかになったこと:やっぱりウェブメディアがSNSに与える影響は大きい.テレビ報道やウェブニュースを再発信するツイートの存在.
令和2年7月豪雨のツイート画像 約30万枚を用いて,画像とツイート文の関係分析
質的調査を行い,どのような画像が存在するの調査し,分類を行う.
分析手法:画像分類に基づいた文書群同士の類似度算出
明らかになったこと:ノイズとして扱うべきツイートや,被害画像・ツイートの細分化を行う必要性があること.
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*詳しく知りたい方はこちらまで
松下研究室 博士課程後期 森野穣
Mail: k790414@kansai-u.ac.jp
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発表論文