幼女戦記の国家のモデル
状況的、時代的にはWW1、兵器、戦術的にはWW2の世界に幼女になったリバタリアンのおっさんが転生する作品。
アニメしか見てないけど、幼女戦記に出てくる国名とかを見てると作者の造詣の深さが分かってくるので、私が纏められる範囲で纏めます。
纏めた感想としては、大体国境は第一次世界大戦の講話ベースですね
「帝国」
モデル:ドイツ帝国
領域:
ドイツ国 (普仏戦争前のドイツ帝国+MR協定の西部ポーランド)
オーストリア=ハンガリー (南チロル、トランシルバニア、カルパティア・ルテニアを除く)
ベネルクス三国 (オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのこと)
デンマーク
解説:
首都はベルン、ベルリンのもじりでしょうが、隣国スイスの首都もベルンなんですよ。
領域はかなりハプスブルク帝国寄りですが、国家体制としては完全にドイツ帝国です。
兵士が自国の事を「ライヒ」と呼称する事からもそれは伺えます。
プロイセン譲りの参謀本部を持ち、高度な陸軍規律と科学技術 (ユダヤ人科学者により当時ドイツ帝国はノーベル賞ランキング一位)を併せ持ち、周辺に拡張しまくる模範的ドイツです。
戦術は航空魔道士+WW2と同じ戦車を用いた電撃戦を使用。
作中内での講話後の国号は連邦共和国だそうなので、そこはWW2ベースなんですね。
「アルビオン連合王国」
モデル:イギリス (大英帝国)
領域:
ブリテン諸島
イギリス植民地(WW1前)
解説:
首都はロンディニウム、ローマ時代のロンドンの元の名前です。
連合王国と来れば一瞬でわかるようにイギリスです。
アルビオンとはラテン語で「白い」を表し、グレートブリテン島の崖が白いことから、ローマ人達はブリテン島の事を「アルビオン」と呼んだそうで、今でもイギリスの雅称の一つになっています。(日本で言うと「大和」みたいな)
メシマズ、三枚舌外交と、良く描写されるようなステレオタイプのイギリスです。
「フランソワ共和国」
モデル:フランス共和国 (第三共和制→自由フランス)
領域:
フランス・メトロポリテーヌ (欧州本土+WW1前設定だがアルザス・ロレーヌを保持)
フランス海外領土 (WW1直前)
解説:
首都はパリースィ、パリがパリと呼ばれる前のローマ側から見たケルト部族の呼称が元ネタです。
フランソワ共和国、と元の国名を隠す気がないなとは思いますが「フランソワ」とは「フランス人 (男性名詞)」を表すかつ、フランス語でのフランスの正式名称は「リパブリック フランセーズ」であり、「フランセーズ」は「フランス人 (女性名詞)」を表すので、作品と同様に性転換したフランス、というところでしょうか。
作中では、ライン川で睨み合ったあと電撃戦により高速占領され、ド・ルーゴ将軍(笑) がフランス艦隊を連れて亡命し、自由フランスを宣言するというWW2準拠な国家になっています。
「合州国」
モデル:アメリカ合衆国
領域:
アメリカ合衆国
解説:
合衆国、ではなく合州国です。
「ユナイテッドステイツ」なので、直訳すると原義の時点で「合州国」の方が正しいとも言えます。
「合衆国」の由来としては、米国と清の間での条約の文書において合衆国と既に記載があり、それがペリーを通して日本に伝わった、らしいです。
「合衆国」の訳し方にも色々説がありますが、【合衆 (United) + 国 (States) 説】や【合衆 (共和制) + 国 (States)説】など、色々あるそうです。
個人的には前者だと思います。
作中ではドイツに義勇軍という形で干渉しようとしてましたね、アメリカらしいです。
「ルーシー連邦」
モデル:ソビエト連邦
領域:
ソビエト連邦 (モルドバ、メーメル、ケーニヒスベルクを除くWW2後国境)
フィンランド
解説:
首都はモスコー、モスクワの英語読みです。
「ルーシー連邦」のルーシーとは、恐らく「ルーシ (スラブ地域に移住したゲルマン系部族ノルマン人) 」の事だと思われ、これは後にロシアの語源にもなりました。
自らのことをルーシ、と先に呼称していたのはキエフ=ルーシ (昔のウクライナ) であり、ロシアは国名をパクった挙げ句、何度もウクライナを尻に敷いているのです。
体制的には典型的な共産主義国家であり、絵に書いたようなソビエト連邦です。
ベリヤやスターリンをもじった様な指導者達が登場します。
「ダキア公国」
モデル:ルーマニア
領域:
ルーマニア(第一次世界大戦後)
解説:
「ダキア」とはローマ時代のルーマニア地方の呼び名であり、五賢帝トラヤヌスが征服したことによりローマ帝国が最大版図を迎えた土地として有名です。
ダキア征服により、ゲルマン部族の侵入に対処しきれなくなり、ローマ帝国崩壊の遠因となりました。
「ルーマニア」自体も「ローマ人の土地」を意味しており、旧ローマ帝国が滅んでも、辺境だったダキアでだけ、ローマ人意識が残り続けたのは皮肉なことですね。
現在でもルーマニアの周りは皆、(ハンガリー語を除き) スラブ語なのですが、ルーマニア語だけロマンス語 (ラテン語の末裔) に属しています。
作中では、最初に帝国に喧嘩を売り、前時代的な装備でボコボコにされる役回りという、第一次世界大戦の再現のようなことをしています。