人間の建設
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有り体にいえば雑談である。しかし並の雑談ではない。文系的頭脳の歴史的天才と理系的頭脳の歴史的天才による雑談である。学問、芸術、酒、現代数学、アインシュタイン、俳句、素読、本居宣長、ドストエフスキー、ゴッホ、非ユークリッド幾何学、三角関数、プラトン、理性……主題は激しく転回する。そして、その全ての言葉は示唆と普遍性に富む。日本史上最も知的な雑談といえるだろう。
kimitoboku.icon俺が一番好きな本かもしれない。5回くらい読んでる。ちなみに俺三冊くらい持ってる。
avashe.icon折に触れて読み返す本だろうけど、気に入ったところを引用しておこう
pp.137-138
イデオロギーという、政治につきものの、全くニュアンスを欠いた思想が、ニュアンスだけで出来ているような現実の人間に当てはまるはずがない。だから、人間のかわりに集団の力というようなものを対象とせざるを得ない。プラトンの政治論は、人の心のむつかしさ、即ち政治のむつかしさだという大地に立っている様子があります。だから、プラトンの政治論は、人間の教育、特に人間の自己教育とはなすことが出来ない。 (...) まず望ましい政治理論なり政治形態なりを考え、これに準じて人間のほうを計るという考え方は、政治も人間も毒してしまうのではないでしょうか。
プラトン好きな小林秀雄が、特に晩年に書かれた政治論に言及した下り
多くの人の生にかかわる重要な事柄だから最晩年に政治について書いたのだ、という小林の解釈が面白い
注釈もそうあるし、小林が具体的でいいと褒めているのも書籍の内容に合う