自然数の約数の総和と約数の逆数の総和
#数学
je6bmq.icon下記の約数の総和の表現は知っていたが、逆数の総和の表現は知らなくて感動したのでメモ
約数の総和
ある自然数$ Nは$ i番目の素因数を$ p_i、その指数項を$ n_iとおくと、次のように表現できる。($ P:素因数の数)
$ N = {p_1}^{n_1}\times{p_2}^{n_2}\times{p_3}^{n_3}\ldots = \prod_{i=1}^{P}{p_i}^{n_i}
$ Nの約数を素因数分解すると、必ず $ p_iを 0個以上含み、素因数の組み合わせが約数全体ですべて表れる。
例:$ 20 = 2^2 \times 5の約数1, 2, 4, 5, 10, 20は $ 1 = 2^0 \times 5^0,$ 2 = 2^1 \times 5^0,$ 4 = 2^2 \times 5^0,$ 5 = 2^0 \times 5^1,$ 10 = 2^1 \times 5^1, $ 20 = 2^2 \times 5^1と表現でき、2を最大2個、5を最大1個使う組み合わせが網羅されている。
ここで、20の約数の総和は $ 1+ 2 + 4 + 5 + 10 + 20 = 42だが、先の指数表現を使えば、
$ 2^0 \times 5^0+ 2^1 \times 5^0 + 2^2 \times 5^0 + 2^0 \times 5^1 +2^1 \times 5^1 + 2^2 \times 5^1 = 42
と表せる。
この式は各項ごとに2のべき乗と5のべき乗の積の和で表されているが、多項式の因数分解の要領で2のべき乗の和と5のべき乗の和に整理することができる。
$ 2^0 \times 5^0+ 2^1 \times 5^0 + 2^2 \times 5^0 + 2^0 \times 5^1 +2^1 \times 5^1 +2^2 \times 5^1 = (2^0 + 2^1 + 2^2) \times (5^0 + 5^1)=7 \times 6 = 42
となる。
これを一般な$ N = \prod_{i=1}^{P}{p_i}^{n_i}に適用することができて、
約数の総和$ = \prod_{i=1}^{P}(\sum_{j=0}^{n_i} {p_i}^j )
約数の逆数の総和
ある自然数$ Nの約数全体の集合を$ \{d_i\}とおく。
このとき、約数の逆数の総和$ Sは
$ S= \sum_i \frac{1}{d_i}
と表せる。
ここで、各項を通分することを考える。その場合、分母は $ d_iの最小公倍数 $ L= \rm{lcm}(d_1,d_2,\ldots, d_m), ($ mは約数の個数)と表せる。
したがって、
$ S = \frac{L/d_1 + L/d_2 + \ldots L/d_m}{L}
となる。
今、$ L/d_iは必ず整数なうえ、$ Lの 約数でもある( $ L/d_i \in \{d_i\})ため、分子は$ Lの約数の総和と等しい。
すなわち、
$ S = \frac{\sum_i d_i}{L}
さらに、$ \{d_i\} の各要素は共通の素因数を持つため、$ L=Nである。
よって、
$ S = \frac{\sum_i d_i}{N}
となる。
(前節の結果を使えば、$ S = \frac{\prod_{i=1}^{P}(\sum_{j=0}^{n_i} {p_i}^j )}{N})
je6bmq.icon最初この結末の式だけ見て分からなくて、5分くらい考えた結果、$ L/d_i \in \{d_i\}に気づいて電流が走った