おすすめSCP財団
全て個人の所感であり、「と思う」を末尾に読み込んでください
シリーズは先着順で埋められるものであり、何かの性質に基づいて分かりやすく一般化できるものでは到底ありません
2000台が埋められ始めても三桁台が開いてたりしました
つまり以下で語られるシリーズ毎のまとめはある種の傾向に対して私が与えた偏見、印象です
分類
「おすすめ」
シリーズIのような「殿堂入り」という意味を除けば私的に傑作と思っている作品を並べました
「ややおすすめ」
似たモチーフのSCPは数あるものの、その中でも出来が良く、外れないと思う作品を並べました
シリーズI (001-999)
SCP黎明期、シンプルかつ説明不足ホラーな作品が多い 多くのアーキタイプを作り出したが問題含みな作品も沢山生み出した時期
今読み返してみると発見があったりする
SCPモチーフのゲームに登場するなど、一般的に知られるSCPはこの辺が多い
おすすめ
元祖
これは代表作なので許可取ってるけど、著作権怪しそうな画像は他にもある...
元祖反ミーム
それにしたって今読み返しても反ミーム作品としての出来がいい
むしろ後発が上手くフォローしているとも言えるか
初期作品あるある: Dクラスを使い捨てたり人道にもとる行為が横行している
これの過激なものは「たのしいざいだん」(lol foundation)と揶揄され、戒められている
初期作品あるある: ショッキングな外見で強い人型なのでマスコット的なキャラ立ちで親しまれている
不死身の爬虫類、シャイガイ、カイン、アベル、ビルダーベア....
今やっても受けないという意味でも、この時期特有の面白さ
今となってはクオリティに舌を巻いたりしないけど、シリーズIは古典なのでとりあえず読んどけ
フレーバーとして何かと引用されたり、新規性の基準であったりする
複雑じゃないので初心者にもおすすめ
シリーズII (1000-1999)
GOIやハブの作品が増える
そもそもSCPは少量のカノン(通底する共有された設定)を踏まえて共同創作されるコンテンツ
ハブは公式のカノンをベースに、+αのカノンを加えて執筆された作品群
少数の作者が密に繋がる連載として作ってたり、多数の作者が遊びを残して作ることでゆるくバックストーリーが繋がったりする
GOI、要注意団体は平たく言えば財団の敵対組織
ハブによって物語性が増してきたころ
とか言いながら私の好みが小さくまとまったSCPなのでおすすめはハブ関係ないという...
おすすめ
私がSCP読み始めたころに読んで、悪意が突き刺さった一作
ホラー系と胸糞系はSCPの王道フレーバー
ホラーだけがSCPではない...
笑えても、ちゃんと異常な物として「SCPのフォーマットが成り立つ」ならそれはSCPオブジェクト
フォーマットをぶっ壊してなお(むしろ壊してこそ)笑えるのがジョーククラス
ややおすすめ
うーん有名作品はあるけれど、個人的には微妙なエリアだ
シリーズIII (2000-2999)
作品の複雑化、壮大化
ストレートな話が出切ってひねったネタやメタ作品、あるいは長くて重厚な探査ログが増える
報告書という形式上、物語を入れるために探査ログと称して補足の部分に三人称視点を埋め込む手法が取られる
この手法はログが長くなってしまうので、面白くないとつらいことになる...
めっちゃ長い問題は前のシリーズからあるが、この辺は長い率が結構高く感じられる
しかしなんやかんやでここのシリーズ一番読んでる気がする
捻ってる分衝撃的な作品もあったりして、アマチュア創作らしい良さがあると思う
おすすめ
ベストオブシリーズIIIで決めきれない2作品(ネタバレしたくないのでコメント無し
この題材はJPではなかなかお目に掛かれない
これも有名作
リビジョン物では「ついてくる」が最もクラシックだけど、内容的にはこっちのが好き
ややおすすめ
話の分かる異常オブジェクトは数あれど、かなり友好的でちょっとかわいい
有名すぎるか
いやその発想は普通になかったわ
SCP-2719は可変性抽象的-形而上学的概念構成ポインタです。
これだけで読みたくなるから本当にずるい
これ系たくさんあるんだけど、その中から一作
超常領域に取り込まれる系ではかなり好き
短くてさわやかなのがいい
シリーズIV (3000-3999)
2000の頃の「見るからに難しそう」な書き味もこなれてきて質的に難しい作品が増えてきた印象
一々説明しない感じ
作品の中には一周回ってきた感があるものも
特徴として、集中して余白を読み解かないと「え?文章これだけ?」となる
これだけやないやろ隠しリンクとかHTML読んだりリビジョン戻すトリック系やな~?→なにもない
初期作品だと本当に投げっぱなしで、それが味だったりするが、このシリーズではそれを意図的にやってたり、余白を推理すると繋がったり、エンタメ的な技巧より文学的な表現が主題だったりする
未知さを上手く折りたたんでシンプルな文章に落とし込む作品はとてもかっこいいと思います
おすすめ
ぶっちぎりのベストオブシリーズIV
何者によって何が起こされているのか、言外の情報は何かを考えて読もう
ついに生まれてしまった教養の必要なSCP
まるで哲学史やアート史が一周してしまったように、メタ系SCPはここで一周したんじゃないかと思わされる
扱う題材に対して表現手法がぴったりすぎるし、記事全体の構成が収容チャンバーの奥底へ潜っていく過程を表しててかっこいい
ややおすすめ
反ミームっていいよな!
不可解、不条理に対するホラーでありながら、想像を巡らせる推理ものでもある
こっちはちょっと推理しやすぎるかな
第五協会、お茶目やりつつ時折人知を超えたやつが覗いてくるの好き、ギャップ萌え シリーズV
俺たちのSCPはまだ始まったばかりだ!
おすすめ
シリーズの節目となるキリバンSCPだが、正直本家キリバンSCPはどれも好みではない
支配シフト系が多いんですよね
別民族に支配されるのがピンとこない平和ボケとしては、社会スケールより実存的不安の方がいい
好みを置いてもなお色々とすごい作品
「ファクトリー」のカノンを中心に財団世界の争いの歴史を展開しつつ、1妖精の心情としての物語も示唆する
これがあるのでそこそこ読み続けている人じゃないと面白味が薄いかも
4000コンテストは歴史がテーマなので仕方ない
あれこれ概念上の災害が起きまくりなSCP内でも名辞災害というのは新規性のある発明
初見は無駄な文章だらけに見えるが、読み直してみると示唆する描写がちりばめられていて考察しがいもある
初期なら絶対削除されているであろう、創作のネタにすらならない「物語の外」を端的に表現していてかっこいい
これがupvoteされ生き残ってるのも創作ジャンルとして成熟したからこそ、という点でやってることが前衛芸術のそれ
誤伝達部門は「記述形式」によってミームの取り扱い方を形式化しようとする試みと言える
知ったらアウト系のミームor認識災害を起こす実体というのは結構数あって、「誰も知らないように封じ込めるため、犠牲を払う(or匙投げ)」か、パラテック(SCPトンデモ技術で何とかする)という展開に終始しがちだった
scp-4428は知られると宿主を殺害し新しく知った宿主へ転移する非定型の実体であるが、この事実を「誤伝達」によって隠蔽したまま状況を暗示することで、転移リスクを抑えたまま報告書を成立させる
推理して一意に定まっちゃうと転移されるのでは?という批判もある
ミームSCPに対して新しい展開の可能性を示した
私としてはこれで完成ではなく、記述形式によるミームの取り扱いがもっと発展したらいいなと願っている
ややおすすめ
秀逸な一発ネタ系
これ系は考察の余地みたいな「良質な贅肉」がないと長く読まれる傑作にはなりづらいなと感じた
4000は振り返ってみるとまさにそういう贅肉がある
動画を採用したSCP
賛否両論あるだろうけど、そのものを描いて想像力による恐怖を削ぐことなく、これまでのSCPが培ってきた文芸同様「間接的な想像の掻き立て」として映像表現を採用しているので、私としてはまだセーフだと思う
BackroomsというSCPと似たような出自を持つホラーポータルでは動画が雰囲気づくりに大きな貢献をしているので、執筆メインのSCPにそういう動きがあってもおかしくないなと シリーズⅥ
SCP-5000を決めるコンテストが始まってるってマジ?早すぎる決まりましたね
Explained
おすすめ
Explainedというジャンルを高いハードルとともに確立した傑作中の傑作
衝撃と短い文章のために解釈論争まで起きた
JPもやりたいなと思ったので
シリーズJP-Ⅰ
大体皆見たことあると思うし、あまり多く上げるのも煩わしいので特にこれというものを
おすすめ
ややおすすめ
初めて見たときは背筋にきました
シリーズJP-Ⅱ
おすすめ
余りにも強度が高すぎるドストレートハードSF、しっかりエモいのがJP仕様
これ書ける人が日本語圏に居たんだなーと当時は驚きました
これだけだと訳が分からない場合、以下が補完taleなのでおすすめです
ukarayakaraさん大好きシリーズ
この方、個人的にJP最高の反ミーム作家だと思ってます
面白反ミームギミックで終わらせない、「隠れされた何か」に強い感情を想起させる文章が素敵です
記事から財団の動きが見て取りにくいのですが、こんな状況でも現場で仕事してると思うと頭が下がります(?)
SCPは新奇な収容方法の発明が一つの醍醐味であり、その点でよい作品
人格のあるSCPであっても隔離しなければならないが、余力があるなら苦痛を感じさせないよう努めるべきであり、本作の結論にはそういうやさしさがある
JP特有のモチーフを、厚みのあるSCP世界の設定で本格的に仕立てた良作SF
ややおすすめ
シリーズJP-Ⅲ
おすすめ
やっぱりJPらしい作品よな
ふざけたタイトルから繰り出されるバキバキのハードSF
理詰めと外連味を上手く使って「どこまでいくのこの話!?」と思わせる作者さんのパワーがすごいや
tale-jp
これほんますきホンマー
病的になっていく神経質さを文章に出すのがめちゃくちゃうまい
元々激しい精神的コンプレックスを持った語り手が病的な神経質を引き出されていく過程が上手い
初作品
民俗学的要素に基礎づけられた都市伝説ホラー
私はあんまりコテコテな和ホラーだと「あざとすぎる」と引いちゃうんだけど、それを差し引いても高い筆力で過去のインターネットで見てきたホラーコンテンツの雰囲気をSCPに落とし込めてて尊敬
「非異常な因習や怨恨」と「非異常な呪術的描写」の渦中に少量の「異常」がちらつく(しかも主眼が非異常だったりする)というのが中々通好みな作家性でいい
地方のSCPを調査するエージェントが初動の調査でかき集めた資料という体で、なにもないところに何かを見出してしまうというテーマがここから後続の作品にも続いている
対で一作です
あえて上記リンクの動画を見てほしい
こちらのアカウントは恐らく梨さんのniconicoアカウントです
なるべく夜に一人で、コメントを消し、部屋を暗くして見てね(はーと
「怪異は何もないところに観測者が見出すことで実像を得る」という原理をしっかり掴んでいる
複数の文献から見出されてくる関係性、それは真実なのか、人間という器官の性質に誘導されているのか?
この意識は『無縁』から通底している
降霊術の概念を怪談の作り手視点で血肉にしている感じがかっこいい
むしろこれが破滅的な呪いだと分かっていながら自分にかける恐怖
私が動画をおすすめするのは、呪いを読む手が止められないから
ついに「ホラーとは敵対な<ネタバレにつき編集済み>だ」という領域に達してて草
読んだら分かる
そのうち読者を破滅に追いやって梨さんが逮捕されたらどうしよう、杞憂民になっちゃう
怖さ自体はそこそこだけど、ついにここまできたか...という感動がある
CN
おすすめ
音が出るので、少し音量を絞るのをおすすめします
リッチなコンテンツ × 骨太テキスト という労作
最近依談ハブばかりになっていたが、これは久しぶりにしっかり怖いSCPだった 翻訳後、国内でも怖いことで話題になった作品です
終わったらディスカッションを確認しましょう