集合と位相
集合位相
Set・Topology
「Collatz(数学基礎)」
1.集合
1.1 外延的定義
かき出し
1.2 内包的定義
{ | }というやつ
1.3 特別な集合
N,R,Z,Q,C,0など
2.集合同士の関係・集合から作られる集合
2.1 集合同士の関係
含まれているということの定義
等しいことの定義
2.2 集合から作られる集合
和集合、共通集合、補集合、差集合、対象さなど
冪集合、直積集合
元として集合を含んでいるような集合を集合族という
集合Aに対してAの全ての部分集合を元としてもつような集合族を冪集合という
A,Bの順序対の全てからなる集合をA,Bの直積集合という
3.写像
3.1 単射・全射・合成写像
集合と集合の関係性こそが写像
写像が等しいことの定義
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「幾何学序論1(Collatz)」
・証明の書き方(∀,∃の使いかた)
∀a s.t. 条件Pに対して、条件Q
これはP ⇒ Qと同じ
これは、Pを満たすものを1つ持ってきて、それがQを満たすことを証明すれば良い
∃は、〜とおいたらたまたま満たした!という気持ち
仮定を適用するというのは、外枠を1つ外すことに相当する
これは記号論理学での規則の適用に似ている
・自然数の構成
記号として数字を作り出してみる
数学における数字の作り方
step1 「いくつかの条件を満たすものとして集合を数という」
step2 「本当にその条件を満たす集合を作り出す」
step3 「どんな作り方をしても同じものが作り出せていることを示す」
自然数の定義
step1としてペアノの公理(5つの命題)がある
数学的帰納法がなぜ正しいのかというと、それを満たすものを自然数というから、が答え
あと、同値ないくつかの公理がある
step2として、ノイマンの構成法(集合の世界からスタートして、数字を作る方法)がある
step3 ペアノの公理を満たす集合は本質的に一意である
ノイマンの構成法は、空集合を仮定して、そこから包含関係を使って自然数を定義していく
これはペアノの公理を満たすことが知られている
ペアノの構成法というものもあり、数学の世界ではいろいろなやり方があるということを頭に入れておく
逆演算をするために数の世界を拡張するという見方がある
自然数には自然に足し算が定まる
自然数の世界では引き算ができないので、整数に拡張する
整数では割り算が定義できないので、有理数に拡張すると言ったふうに
どのように拡張するのかというと、同値類というものを使う
集合で自然数を定義したので、集合操作で演算を定義する
集合の要素を数えた結果を足し算と定義する
足し算には、交換法則、結合法則、零元の存在を保証される
・整数と有理数の構成
引き算がしたいときに、「がばっと広げていい加減に縮めるという方針でいく」
NとNの直積を考える
そして、格子状の傾き1の直線を考える
そして、直線のx軸との交わりを整数と思う
a + d = b + c
のとき(a,b) ~ (c,d)と定義する
~は同値関係になる
(1) (a,b) ~ (a,b)
(2) (a,b) ~ (c,d) ⇒ (c,d) ~ (a,b)
(3) (a,b) ~ (c,d) ∧ (c,d) ~ (e,f) ⇒ (a,b) ~ (e,f)
N/~ = Zとなる!
N ⊂ Zか?
これは埋め込みという手法で解決できる
整数の中に自然数を見つけ出し、それが自然数の公理を満たすということを示せば良い
ここで、Z^2の元に関係~を
ad=bcで定めて、Z^2/~ = Qとすることで有理数が定義できる
Z⊂Q、Qに割り算が定まるかというのは別の問題である
この先、Q^N(自然数) / ~ = R となる
有理数は穴だらけのカステラで、Rはようかんである
例えば、√2は、有理数の上を近くまで歩いていけるが、無限大まで行ってしまうと無理数という穴に落ちてしまう
実数は穴に落ちるということはない
有理数の近いところに穴が開いているので、その穴を埋めなければ、実数にはできない
N(半群) → Z(環) → Q(体) → R(体)
Q → R は、代数的な拡張ではなく、幾何学的な拡張なので、これまでの拡張とは少し概念が異なる
ここで、代数的には拡張できず、近いということを議論しなければいけないので、ここでは幾何学的に拡張する
この穴を埋める作業を完備化という
・数列
・収束という定義をする/Cauchy列の定義をする
という2つの道具を必要とする
全てのCauchy列が収束するような拡張を行う
有理数の数列で、有理数ではないところに収束する数列
数列を使って同値類を作って拡張する
次回からは、今までの議論は忘れて、自然数と整数と有理数があるものとして考えていく
・実数の構成
前回までは、有理数の構成をしていた
有理数は+,-を行う、16この性質を満たす集合として定義される
・+について4つ
・・について4つ
・+と0の関係2つ
・<=について6つ
Def:数列
a: N → X
列を写像として定義すると、部分列を定義するのが楽になる
anをa(n)と思っても良い
Def:部分列
an,bnをX上の列とする
bnがanの部分列であるとは、
Def:絶対値
絶対値の性質として、三角不等式がある
Def:数列の収束
Def:Q-Cauchy列
コーシー列はあるところから先2つの距離がどんどん近くなるという状況をいう
コーシー列があるというのはあるところから先どんどん溜まっていくという状況を指している
anの収束を考えるとわかるように、コーシーは有限の値を用いて無限を表現しようとした
高校での定義だと数学として定式化されていない
anが収束ならanがQ-コーシー列であるということを示す
示された
この命題は逆は成立しない
正しいか分からないことを確かめるために証明を書く
証明に見通しが立つわけがない
だが、証明はこうなるはずだという予想は立つので、そのスケッチを見ながら、できることをしていき、試行錯誤をしてそれをチェックしていくというのが証明である
成り立たないことがわかることもある
ε-δの証明では、具体的な数字の定数倍であれば証明は終わって良い
というのも、それは工夫することでεにできるからである
anをQ-Cauchy列とする
(bn - an)が0に収束することを関係 ~ で定めると
Qを同値関係 ~ で割ることで実数が定義できる
RはQの16この性質がなりたつ
+ R上のCauchy列は収束する(激ムズ)
実数は「可換体」 + 「順序体」 + 「完備性」
Q⊂Rとすることができる
Prop:アルキメデスの原理
任意の実数rに対してある自然数が存在して、rより大きい
証明
自然数の最大値のギリギリを評価するαを見つけてきて評価して、矛盾を導く
このαはコーシー列が収束するという命題と同値である
コーシー列ならば収束するというのも完備性だが、実数の世界では異なる同値の条件が6つもある
・デデキント切断
・上に有界なら上限が存在する
・カントールの区間縮小法が成立する
・有界な単調増加列は収束する
・有界な数列は収束部分列を持つ(ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理)
・コーシー列ならば収束する
どれを仮定しても実数を作れる
・数列に関する演習
prop1 anが収束する → anは有界
prop2 an, bnがα, βに収束する → 絶対値や足し算、掛け算は収束値のそれになる
無限この集合に最大値があるとは限らない(inf, supはあることはある)
有限個の集合には最大値が存在する
なぜコンパクトが嬉しいのかというと、コンパクトという仮定があると、無限このものが有限この情報でカバーできる
なぜ、コンパクトを仮定するのかというと最大値や最小値が存在することが言えるので
解析は、コンパクト性を仮定して有限個の情報でカバーすることを追い求めている
∃N∈NのN(抽象名詞)と、ある自然数Nが存在してのN(固有名詞)は異なる
・収束の一意性
数列が収束するなら収束先は一意である
Cauchy列を示すと、収束先がわからなくても収束することが示せるので良い
普通の証明は、定義と性質から必然的に導かれてストーリー性があるが、背理法はストーリー性がないので、理解にはつながらないかも
・Bolzano-Weierstrassの定理
収束するならばコーシー列は自明である(簡単に証明できる)
手を動かすことは大切である(わかった気持ちになれるので)
また、反例を考えることが、数学を理解したかどうかの確認になる
∃が最初にある命題の証明は難しい
というのもいきなり∃を設定しなければいけないので
Bolzano-Weierstrassの定理
(an)が有界のとき、収束する部分列を持つ
証明は難しい!
(an)が有界という条件だけから、部分列が存在して収束することを示すのはめっちゃ難しい
どれだけ細かく切ってもそこに実数があるということを表している
実数を半分こしていけば一点を見つけられるというのは実数の大切な性質の一つである
中間値の定理を証明するときも同じような方法を使う
実数の完備性をどうやって表現しているかというと、半分こしまくってもそこに実数があるということ
はんぶんこしまくって見つけたい点を見つけられるというのは実数のすごい性質
・連続関数の定義と性質
連続関数とは
n→∞f(an) = f(α)となることである
これは点列を用いる方法で、点列を用いない方法として例のε-δ論法がある
数列の定義とεδ論法の定義が同じことを証明する
位相というものが定まっていないと連続関数は定義できない
この場合位相は絶対値である
最終的には集合の包含関係だけで表せるようになる
この答案は罰になる
というのも、lim an = αは2つのことを言っているが、前の二つの=は収束するならば、次の式になるということしか言っていないからである
背理法を使うのは、証明が難しい場合で、大体ありがたい定理である
というのも証明が難しい定理は大体ありがたい
全ての多項式によって定まる関数は連続である
多項式は高々可算個である
代入するときは、きちんと、∀のstの後の条件を満たすことを確認せよ
正の数があれば何でもいいというときは、大体1/nで数列を構成する
偏微分方程式を解くときに、ルベーグ測度を構成して、その積分演算で微分方程式を解くことがあり、そのときは1/2^nのように工夫したりすることがある
動画を見て、それから自分で何かをしたいと思うときに、日本語を論理式に書き換えて、証明が正しいかどうか確認することが大切
自分でやることが大切
εN論法は、任意の数列が同じように収束すること言っているが、εδ論法は近くのみを見ている
・中間値の定理
実数はつながっているという強い性質をを要求しているので、いろんな性質が出てくる
そのうち2つをあげる
1.中間値の定理(いわゆる全射になるということ)
2.最大値の定理
連続関数は定義域に距離や位相という概念がないと定義できない
定義されている空間に近さという概念がないとダメだということ(連続関数の定義が意味をなさない)
ここでは絶対値で距離を定義している
定義域の性質があるおかげで、関数の性質が決まってくる
定義域の構造に関数の性質は定義域の構造に依存する
現代の解析学で最も一般的なものはグニャグニャでよくわからない多様体上の関数を考えること
僕たちは多様体のようなよくわからないものを写像を通して理解しようとする
多様体上の写像全部の集合を理解することで、多様体上のことを完全にではないが、少しずつ理解することができる
関数は情報を潰すこと
関数全体の空間をBanach空間という
Banach空間を調べると、もとの空間がわかる
例えば、微分方程式だったりする
何が言いたいかというと、関数は定義域をセット考えろ
中間値の定理
定義域の性質に依存している定理
定義域が閉区間で実数であることが重要
実数の完備性の公理は6つあるので、中間値の定理の証明はいくつか考えられるが、公理の相性というものがある
証明の難しい点として、定義域と地域という違う世界間の情報を操作しなければいけないので難しい
強いことをいう定理は証明が難しい
ただの不等号を証明するためには背理法を使うしかない
だが、間接比較という命題を使うと、直接示せるので論理的に筋が良い
閉区間だから、Bolizwo-Wierestrassの定理は極限は再び閉区間の元であることを保障する
中間値の定理は、定義域の位相的性質に影響受けている
・対等の定義
lem:以前までの内容
thm:証明を理解することが少し難しい
prop:証明も含めてよく使う議論が含まれる
Def:対等
対等を全単射が存在することで定義する
A→Bの全単射が存在するとき、|A| = |B|
空集合は、自分自身のみ対等とする
Def:恒等写像
これは全単射である
lem:f、gを全単射とすると、g⚪︎fも全単射となる
prop:対等という関係は同値関係を成す
同値関係ではあるが、同値類は考えられない
有限集合については同値類を考えられる
今は、元を使ってidAなどを定義したが、圏論を使うと写像のみでidAなどを定義できる
よくやる議論として、数学者は次のようなことを疑問に思う
1.対等とは何を想定しているのか
2.身近な例で対応なもの、対等でないもの(N,Q,R,Z)
3.より一般的な議論(同値関係関係を弱めたもの順序関係)
順序関係は同値関係がないと定義できない
同値関係から、順序関係という枠組みで、対等という関係をもうちょっと広く見れないかを考える
・有限集合における対等
有限集合Aに対して、それに等しい数をAの基数という(位数、濃度)
2つの有限集合が対応 ⇔ その集合に含まれる元の個数が等しい
無限集合においては元の集合という発想では考えられない
これから無限に対して濃度という概念を一般化する
有限を見てる上では無限は捉えられない
例えば、εδ論法でも、無限を証明するときにいつも有限の域で止まっている
つまり、いくらでも同じ操作ができるときにそれを「無限と思う」ということをしている
鳩の巣原理
n>mのとき、いかなる写像も単射にならない
単射じゃない写像はどう頑張っても単射じゃない
だが、写像を全射にするのはわりと簡単
というのも、f:A→Bの写像が与えられた時にf:A→f(A)に制限すれば全射
単射性を付加するのは1つだけ方法がある
f:A→B
a~a’ ⇔ f(a) = f(a’)
という同値関係で割ると、単射性を付加できる
だが、空間の構造がわからなくなるので面倒
複素数から、複素数への写像では、グローバルなコピーでローカルな単射性が復活することができる
・対等な例、そうでない例
有限集合でない集合を無限集合という
Xに含まれるもので、|X| = |Y|となるものがある場合無限と定義(デデキント無限)
この二つの定義はZornの補題を使って証明
デデキント無限は、先に無限集合を定義して、そうじゃないものを有限集合と定義する見方
自然数のときの濃度をアレフゼロと書き、2つの集合が対等な時、濃度は等しいという
アレフと濃度が等しいものを可算無限集合という
自然数と全単射が構成できれば、可算無限である
何かの直積を同値関係で割った時の不等号がミソである
実数と自然数は同じ大きさではない
というのも、実数は有理数の無限この直積なので
|R| = | (0,1) |
カントールの対角線論法で、実数が自然数よりも多いことが証明できる
カントールの対角線論方は重要な概念である
カントールの対角線論法より、自然数と実数の濃度が違うことが証明される
自然数の濃度をアレフと書き、実数の濃度を連続濃度という
自然数と全単射が作れない集合は非可算集合という
次は、具体的に構成しないで、全単射の証明を存在で主張するという方法でいく
・濃度における順序関係
より精密に可算無限集合を調べる
全単射を調べることで個数が数えられない集合にも濃度が定義できた
有限集合であれば、単射があれば濃度が高いと定義できる
大小関係が定義されたら、数学では順序関係であることを示したくなる
Bernsteinの定理
A→B:単射
B→A:単射なら、全単射が存在する
証明は難しい
集合の濃度に関する大小の二項関係は順序関係をなす
Neumannの定理
無限集合で最も最小の濃度はアレフゼロである
異なる無限の定義から出発してもアレフゼロが最小となるということ
・精密に可算無限集合を見る
可算無限集合だと何が嬉しいか?
解析学:対象物が可算無限集合
→列を持ち込める(近似することができる)
例:無理数を有理数で近似する、この近似の仕方を数列で表現できるということは可算無限集合だからできること
可測集合を列の極限で定義できる
幾何学では稠密性(RとQの関係の一般化)
可算無限この稠密なものが取れるのは可分という
開集合系の基底が可算個(第二可算公理)
近傍形が可算個(第一可算公理)
第一、第二可算公理が成り立つ空間では、Borel集合をBorel測度が定義できてその振る舞いがよくわかる
多様体は第二可算公理がないと1の分解、多様体の上での積分ができなくなる
代数学では、線形空間の基底が可算個→元を近似できる
可算個だったら自然数との対応がつくのでそこから数列が構成でき、近似できるというのが数学で多く出てくる重要なテクニックである
有理数が可算個であることを写像を構成せずに証明することを試みる
可算無限集合の有限和は可算無限集合
素数も可算無限集合である
Bernsteinの定理はとても強力
なぜなら、単射性のみから、全単射を構成しなくても全単射の存在を主張できるので
そもそも、Nで押さえられるものの濃度はノイマンの定理から全て可算無限
これからは、実数より濃度が大きい集合は取れるのか?
自然数よりも濃度が大きく、実数よりも小さいものはあるのか?
などということを考えていく
また、1/2(|R| + |N|)は存在するのか?などを考えていく
・最大値の存在定理
関数の性質は定義域の性質に強く依存する
なぜなら、例えば連続関数を定義するには、近さの尺度や大小関係がないと連続関数は定義できないので
そのうちはの1つが中間値の定理といい、つながっているものをつながっているものに移すという主張だった
最大値の原理
a,b → Rを連続関数とする、このとき最大値と最小値が存在する f(a,b) = m,Mのようなことを主張している(閉区間の像は閉区間) これは閉じた集合を閉じた集合に写しているということ
上限は開区間などのときに、最大値を拡張したようなもの
有界な集合Aは上限を持つ ⇔ コーシー列は収束する
f(a,b) = m ,Mという閉じた集合→閉じた集合という関係を表す コンパクトな像はコンパクトであるということを実数の位相の上で証明したことになる
有界な閉区間はコンパクト集合
そうすると、連続関数は、コンパクトの像はコンパクトであることがわかる
∃から始まる命題は、何にも依存せずに見つけてこなければいけないので証明は難しい
証明は中間値の定理との類似性がある
無限大という点は実数の中にはない
・実数の位相と開集合
開集合は、絶対値が定まっているから作れるのではなく、位相空間論ではもっと一般的に定義される
実数の位相について
幾何学を展開するための最低限どの仮定みたいなもの
def:δ近傍
def:開集合
どの点をとってきても十分狭い区間を見てやればそのuの中に含まれるようにとれるということ
つまり各元の近くは開集合に含まれているということ
空集合とRは開集合である
3つの条件を開集合系の公理という
開集合は、開区間を原点としていた
開区間は絶対値があるから定義できた
この絶対値を一般に距離という
距離空間は距離関数という関数から定義できた
絶対値があれば距離が定義できる
距離があれば位相空間が作れる
絶対値にならない距離があり、距離にならない位相がある
・問題演習(要復習)
任意の実数に対しては、xに収束する有理数列が作れるというのは有理数の稠密性の1つである
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「位相空間論とは一体なんなのか」
第一節 数学の3つの柱と位相空間論の役割
全ての土台
集合、基礎論、論理
幾何の土台:位相空間、距離
代数の土台:環、群
解析の土台:測度、微積
位相空間は幾何学を展開する上で最も基本的なものである連続概念の論理的な部分を扱う部分であると言える
空間の連続性に着目し、それを突き詰めて考えていくと出てくるのが位相空間という考え方
滑らかのペンを滑らせて描いた図形であっても位相空間論においては連続的なものを表しているとは限らないので、扱う対象を描くということはしない
第二節 連続概念を支えているものとは何か
位相空間とは連続という概念を扱うために最低限必要な土台である
数学科ではεδよりももっと洗練された連続の定義を学び、それは開集合を使ったものであり、これこそが位相空間の概念の始まりになる
連続という概念は開集合という概念だけを用いて定義することが可能である
つまり連続の理論は開集合の理論であると言い換えられる
第三節 開集合自体を変える
ユークリッド直線における開集合とは、いわゆる開区間やそれらの和集合のことである
純粋数学において集合とは単なる記号の集まりとしての役割しか持っていないので、Rはそれ自体では空間とは呼べず、Rに開集合の情報を与えて、初めてRは空間と呼べるものになる
O(R)はRの開集合族またはRの位相と呼ばれる
これらとRの組みがユークリッド直線と呼ばれるものだった
R上の開集合が開区間とその和集合で与えられる絶対的な理由は存在せず、別のものを与えたとしても同じように数学が展開できるかもしれない
第四節 開集合が別のものに変わった世界
一般に、O(R)をめちゃくちゃなものに変えてしまうと連続の概念はうまく機能しない
以下の条件が主流になっている
条件1 開集合の和集合は再び開集合にならなければならない
条件2 開集合の共通部分は再び開集合にならなければならない
以下のような条件を満たすものは全て連続概念の土台としてRの開集合族になり得る
開集合族を空集合と全体集合のみからなるものだとして定めると、それを密着位相と呼ぶ
開集合がRの全ての部分集合からなるものであると定義すると、これを離散位相と呼ぶ
第五節 どんな集合も空間になり得る
以上では、実数の集合Rを土台にして、そこに開集合というものを与えることで、連続概念を扱う土台となる空間を構築したが、このようなプロセスはRに限らず、どのような集合の上でも行うことができる
このように、AとOの組を位相空間と呼ぶ
第六節 位相空間の考え方が必要になるとき
開集合の情報を元もとの集合と分離して考えることによって同相の考え方が簡潔になされるようになる
同相とは、2つの位相空間の間に定義される概念である
2つの位相空間はそれぞれの集合の点が一対一に対応し、かつその上の開集合も一対一に対応しているようなときに同相と呼ばれる
ドーナッツに定められた開集合とコーヒーカップに定められた開集合が一対一に対応することからドーナッツがコーヒーカップに変形できることとして説明される
別の言い方をすると、ドーナッツ上で展開される連続理論とコーヒーカップ上で展開される連続理論は全く同じものになる
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「よくわかる集合と位相」
・集合と位相とは
・集合論その1:写像
知ってた
・集合論その2:濃度
知ってた
・集合論その3:選択公理
どれも空でないような集合を元とする集合族があった時、それぞれの集合から1つずつ元を選び出して、新しい集合を作ることができるという主張を選択公理という
選択公理を認めないと重要な定理が証明できなかったりする一方で、認めると変なことが起きたりする
・位相空間論その1:位相空間
x,yが近いのか遠いのかを判断するのが位相である
大雑把にいうと、位相は近傍の定め方である
・位相空間論その2:距離空間
距離を導入する重要な動機の1つとしてコーシー列の定義が挙げられる
・位相空間論その3:連続
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「位相空間(Collatz PDF)」
1 位相空間
連続という操作が可能な集合の特徴を考えていく
すなわち、集合にどのような性質や演算を定めれば今まで行ってきたような極限を考えることができるのか
また極限の操作を弱めていくとはどういうことか
これらを考察していくための対象が位相空間である
1.1 位相を定める
距離空間の議論と同様に、集合と何かそれに伴うペアで空間は定義される
何にせよ、空間を定めている構造を理解しようという姿勢を身につけることが大切である
何かが位相空間であるとは、付随する部分集合族が開集合系の公理を満たすことを示せば良い
離散距離によって自然に定まる位相は離散位相になっている
実際、離散距離空間ではどんな部分集合も開集合となった
数学では、何か新しいものを定めたときに、いくつかテンプレート的に定義しなければならないことがある
「位相空間として等しいとはどういうことか」「どのようにすれば位相空間の部分集合は再び位相空間になるのか」という2点である
位相空間として等しいというのは一般的には連続写像を用いて定義する
どのようにすれば、部分集合にいかにも部分集合であるかのような位相空間を作り出せるのだろうか
別にAに対して離散位相を定めて、位相空間としても良いのだが、それは部分空間らしさが抜ける
そこで、いかにも部分空間的なニュアンスの感じられるAへの位相の定め方が相対位相である、というのがこの定理の主張である
1.2 異なる位相の定め方
1.3 連続写像
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「Metric Function(Collatz PDF)」
1 距離空間
1.1 空間とは
数学でいう空間はどう理解するのが正しいのか。一つの答えとして、「ただの集合である」と言うことができる
数学者たちは元と元に別の規則を定義することで数学を発展させてきた
数学者はただの集合に規則を定義できたとき、集合を空間と呼び始める
つまり、空間とは、元と元に特別な関係が定義された集合なのである
様々な空間を理解するときにどのような関係が定義された集合なのかに注目することは大事なのである
1.2 距離関数
距離を導入するということ
素朴集合論と呼ばれるものの中では、集合に備わっている規則の中で可能なことは元と元が同じものなのか違うものなのかだけである
上のような図を見たときに、これらの絵を区別することは不可能である
元と元の間に近さを表す関係を客観的に判断できる形で導入してみる
左の図では、ある点Bの近くにいる元をAは含んでおらず、Bから少し遠いところの元はAに含まれている
しかし右側のAはべったりと全体的に元を含んでいる
このように、近い・遠いという関係を導入することで私たちが持っているような形の概念が生まれる
後述する距離の公理を満たせば、自分たちでも距離という関係を定めることができる
1.3 開集合・閉集合
集合Mに距離dを導入し、距離空間(M, d)となることで元と元の距離を測ることが可能となった
その距離関数の演算によって、元が集合のどの辺にあるのか?、集合のどの辺にある元は特別な性質を持たないか?というような集合と元の関係を考察していこうというのが次の目的である
集合と元の関係を考察するということは集合そのものの性質を考えることであり、集合の形を考える幾何学の入り口でもある
近傍とは距離空間における基本となる単位のようなもの
ここで、距離が絶対値として定義されていると、いつものεN論法の形になる
絶対値は一次元Euclid距離空間とみなせるがそれ以外の空間でも点列の収束の概念を用いたい場合、その定義では不便なのである
そこで上のような定義をすると、距離が定義されている空間ならばどんな空間でも定義されるような点列の収束が定義できる
開集合の最大の特徴はどこまで行ってもその集合から抜け出せないということである
その対となる集合として端がある集合が閉集合なのである
限りなくはしに近づくというアイデアをどう数学的に表現するかであるが、それが数列を用いた定義なのである
2 距離関数におけるコンパクト/点列コンパクト/全有界・完備
部分距離空間と部分集合は混同されがちだが、どのタイミングで距離を定めるかということに注目するとスッキリ理解できる
2.1 コンパクト
幾何学では、実数の連続性というものはなんだったのか、ということを考えながら、集合がつながっているとはどのように記述されるのかを考える
その中では、集合の性質として、コンパクト・コンパクト集合・点列コンパクト・全有界・完備などを定義する
多くの性質はのちに出てくるが同値であったり、包含の関係であることがわかる
どれを起点に理解するかは自由だが、それぞれがどのような状況を指しているのか理解する必要がある
被覆は何通りか存在する
多くの場合無数に存在し、開被覆に限っても無数に存在する
そこで特に開被覆の性質に注目してコンパクトとコンパクト集合が定義される
コンパクトは集合と集合によって特徴づけているが次は点列というものを用いて集合を特徴づける
2.2 点列コンパクト
一般の距離空間における点列の収束によって距離空間の集合の性質をいくつか定義する
これは一次元ユークリッド距離空間にある特徴なのか、一般の距離空間でも成り立つのか
それを考えるために距離空間における有界を定義する
2.3 完備・全有界
距離空間においてある程度の大きさ以下であるという感覚は2つ定義される
全有界と有界のちがいはEuclid空間では現れない
そこでもう少し集合の性質を考えるために全有界とセットで考えられる数列の性質がある
2.4 同値性
距離空間において、「コンパクト」「点列コンパクト」「全有界かつ完備」はそれぞれ同値である
これはある意味で距離空間の性質を述べているとも言える