日本語
日本語文法入門
第1章 学校で教えられない日本語文法
日本語文の基本構図はとてもシンプルで単純である
日本語文の中心となるものは述語で、日本語文の述語は三種類しかない。
動詞と形容詞と名詞である。
これらの述語を中心に構成される文をそれぞれ、動詞文、形容詞文、名詞文と呼ぶ
1)母だ台所で料理を作る
2)新緑がとても美しい
3)駅前がやけに賑やかだ
4)あの人が責任者だ
この述語にいくつかの成分がついたのが日本語文となる
学校では、日本語文の基本的な構造は主語と述語からなると教えるが、主語は重要ではない
日本語のパーツをつなげる格助詞
それぞれの成分と述語の関係をはっきりさせるのが格助詞である
格助詞はそれぞれの柱を土台に固定するためのボルトのようなもので、このボルトがなければ骨組みとなる柱を組み立て
このボルト(格助詞)の種類は全部で9つあり、が格、を格、に格、で格、と格、へ格、から格、より格、まで格と呼ばれる
ガ格は主語、ヲ格は目的語、ニ格は場所や時の到達点、デ格は場所や手段・方法や原因・理由、ト格は相手、ヘ格は方向、カラ格は起点、ヨリ格は起点や比較、マデ格は到達点などを表す
「鬼までが夜からデート(を、に、まで、が、ヨリ、から、で、へ、と)」
絶対に必要なパーツの組み合わせ
成分は述語との関係において欠くことのできない必須成分と随意成分がある
日本語文法では、このような必要最小限の組み合わせのことを文型と呼んでいる
日本語のすべての述語にはそれぞれの組みわせが存在する
日本語の文型
「〜が〜を食べる」「〜が〜を飲む」など様々な組み合わせがある
「は」は格助詞ではなく、ある特別な働きを持った助詞である
「は」は文の主題を表す
私たち日本人は無意識にこの組み合わせを応用して日本語を組み立てている
日本語ではわかっていることは省略できる
第2章 主題と解説という構造
ここまでで、日本語文の基本的な構造は述語を中心にいくつかの成分からできていることが理解できているはず
日本語文は客観的な事柄を表す部分と話者の気持ちを表す部分との2層に分けることができる
客観的な部分をコト、気持ちの部分をムードと呼んでいる
実は第1章で
見た日本語文の基本的な構造はコトを表していたのである
ムードを表す「は」
父親は台所でカレーライスを作った
これは父親を文の主題にしている
台所では父親がカレーライスを作った
カレーライスは父親が台所で作った
など他の部分を話題にすることもできる
これらの主題化は日本語を使うときに私たちが無意識に行なっているもので、提示された主題について説明するというのが日本語文の基本的な姿になる
どの主題も均等に出現するわけではなく、意味的に重要度の高い成分から主題として提示されることが多い
ガ格、ヲ格、デ格の順番など
日本語文の多くは、主題ー解説という構造である
日本語文は主語ー述語ではなく、主題ー解説という関係が基本であると言える
主語廃止論
第1章から2章の主題ー解説という考え方は三上輝さんという文法学者の理論に負うところが大きい
欧米語における主語は、主題と主格が一体化している特別な存在だが、日本語の主題は各成分であればどれでもなり得る
第3章 自動詞と他動詞の文化論
第3章では日本語の土台である述語の中心的な要素である動詞について考えていく
自動詞は自然中心であり
他動詞は人間中心の味方に立っている
日本語では人間の活動も大きな自然界の流れの1つとして捉えられている
目的語を伴うものが他動詞となる
自動詞:ヲ格成分を持たない
他動詞:ヲ格成分を持つ
ただし、いずれも起点と通過点のヲ格を除く
自動詞と他動詞のペア
「電気が消えるー電気を消す」
自動詞はある現象が生じるのを、他動詞は人間がある現象を引き起こすのを描写する
ある現象を描写するとき、変化に焦点を当てると自動詞が、動作に焦点を当てると他動詞が使われることになる
自動詞と他動詞は変化と動作に関係で結ばれている
動詞の自他による分類
解散するという動詞などは自他動詞という
4グループ
自他のぺあ
無対自動詞
無対他動詞
自他動詞
第4章 日本人の心表す「ボイス」
いよいよこの章から本格的な文法用語が登場する。その1つがボイス「態」である。ボイスを簡単に説明すると、文の成分の中で誰を主役にするかによって助詞や動詞が変化する現象。
出来事からの影響を表す「受け身文」
日本語には他の言語にはない受け身文が存在する
出来事への関与を表す「使役文」
「ウチ」と「ソト」の発想
日本語のボイスの表現では、受け身文と使役文が代表的な形式でしたが、もう1つ重要な形式があり、「やりもらい動詞」である。
具体的には「あげる」「くれる」「もらう」という3つの動詞の表現。このやりもらい動詞に日本人の心が反映されている
「思いやり」の表現
やりもらい動詞は補助動詞として使われることの方が断然多い。やりもらい動詞には日本人の思いやりや気持ちが込められている。
ら抜き言葉
ら抜き言葉は、〜られるから「ら」が抜ける現象
さ入れ言葉
第5章 動詞の表現を豊かにする「アスペクト」
文法用語で相と訳される。動きのいろいろな段階を表す形式を総称してアスペクトという。
例えば、絵を描くという動詞は1つのまとまった事態としてしか動きを表せない。そのようなまとまった1つの動きを細かく切り分け、1つ1つの段階として表すのがアスペクトである。
「動作の進行」と「変化の結果」を表す「〜テイル」
「動作の結果」を表す「〜てある」
「〜ている」と「〜てある」
動作主と「〜てある」
第6章 過去・現在・未来の意識「テンス」
話者が話そうとする事柄が過去に起きたことか、現在起きていることか、これから起きることかといったことを示す文法手段をテンスという。日本語では時制と訳される。
絶対テンス
相対テンス
絶対テンスが使われる主節に対して、従属節のテンスは相対テンスになる
アスペクトを表すタ形
現在完了形は過去の事態と現在とを繋げてみる視点がるが、過去形は過去にあったかどうかだけを問題にする
特殊なタ形
テンスが述語の最後につくことで、文の骨格であるコトが完成する。このことをどのように聞き手に伝えるのかというのが、次章で説明するムードとなる
第7章 文を完結する「ムード」の役割
6章までで、客観的な事実を構成する部分が出来上がった。この家を装飾していく。家主の志向や気持ちがこもっている部分がムードになる。したがって、基本的な骨組みにムードの表現が加わるコトで、生き生きとした文が出来上がる。
第3章でみた主題化もムードの1つだが、それ以外にもムードの表現は非常に多くあり、基本的に述語の最後につくと言える
コトに対して、自分の気持ちを述べるムード(対事的ムード)とコトの内容を相手に働きかけるムード(対人的ムード)がある
対事的ムード
対人的ムード
説明のムード「〜のだ」
願望のムード「〜たい」
同意と確認のムード「〜ね」
第8章 より高度な文へ、「複文」
第7章までで単文による文の構造が終わりました。単文というのは基本的に述語が1つしかない文のことを言う。
名刺の内容を説明する連体修飾節
文を名詞化する名詞節
様々な内容で主節を捕捉する副詞節
動詞の内容を具体的に示す「引用節」
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「日本語文法の基礎」
誰かに向けて書く文章や、ビジネス向けの会話や文章では正しい日本語であることが求められる
ポイント1 言葉の単位について理解しよう
文章:いくつかの文
段落:文章をいくつかのまとまりに分けたもの
文:まとまった1つの意味があり句点で終わるもの
文節:意味を壊さず文を区切ったもの
単語:言葉として一番小さな単位
句読点とは
句点が。読点が、
文節の分け方
文節は意味を壊さず文を区切ったもの
「ネ」や「ヨ」を入れて不自然にならない位置が区切り目
名詞・形容詞・動詞など、自立語の前は文節を区切る
ポイント2 文節の種類について理解しよう
文節には、主語、述語、修飾語、接続語、独立後の五種類がある
主語
文の中で、何が、誰がに当たる文節
述語
文の中で、どうする、どんなだ、なんだ、あるに当たる文節
主語を説明する
修飾語
他の文節を詳しく説明する文節
接続語
前後の文や文節をつなぐ働きをする文節
独立語
独立語とは他の文節とは直接関係がない文節のこと
ポイント3 品詞の種類について理解しよう
単語に分けて、自立語か、付属語か、活用があるかないかどの文法上の性質によって単語を分類したものを品詞という
自立語は単独で文節を作ることができ、必ず文節の初めにある
付属語はそれだけでは意味がわからない言葉
品詞には、動詞、形容詞、形容動詞、名詞、副詞、連体詞、接続し、感動し、助動詞、助詞の十種類がある
動詞:物事の動作、作用、存在などを表す語
自立語で活用があるよう源で言い切りの形がうで終わる
形容詞:性質や状態などの意味を詳しく説明する、自立語で活用がある用言で、言い切りの形がいで終わる
形容動詞:言い切りがだで終わる形容詞
名詞:物事の名称を表す
副詞:用言を修飾すして意味を詳しくする
連体詞:体言を修飾して意味を詳しく説明する語
接続詞:前後の語や文をつなぐ語
感動詞:感動・呼びかけ・応答などを表す
助詞:語に意味を添えたり、語の関係を示す語
助動詞:用言・体現などに付属して意味を添える働きがあるご
ポイント4 敬語について理解しよう
敬語とは聞き手や話題の中の人物に敬意を表す言葉です
尊敬語:動作主に対して敬う気持ちを表す表現
謙譲語:へりくだった言い方で相手への敬意を表す表現
丁寧語:丁寧な表現を使って敬意を表す敬語
ポイント5 文の構造について理解しよう
単文:述語が1つの文
重文:単文が2つ以上並列に重なった文
複文:1つの単文の中に単文が組み込まれている文
重複分:重文と複文が結合された文