宇宙論
約138億年前に超高温の火の玉として宇宙が誕生し、現在まで膨張を続けているとするビッグバン宇宙論は、宇宙全体の進化や成り立ちを考える宇宙論の標準理論として確立している。本講義では、ビッグバン宇宙論の基礎となる、一般相対性理論に基づく膨張宇宙の記述と標準宇宙モデルを解説し、宇宙初期の素粒子的世界から、天体形成を経て今日の豊かな階層構造を持つ宇宙へと進化する歴史を概観し、それらの観測的根拠を説明する。基礎物理法則に基づいて、ビッグバン宇宙論の基本的枠組みを理解できることが目標である。
以下の項目について講義を行う予定である。(番号は授業回数ではない。)
1. 一般相対性理論の基礎
2. 標準ビッグバン宇宙論
2.1 宇宙の概観:宇宙は一様で等方的である
2.2 TheRobertson-WalkerMetric
2.4 膨張宇宙の運動学
2.5 宇宙の年齢
2.6 距離と体積
2.7 粒子地平線と事象地平線
2.8 膨張宇宙における熱・統計力学
3. ビッグバン宇宙論の観測的基盤
3.1 宇宙膨張と宇宙論パラメータ
3.2 ビッグバン元素合成
3.3 宇宙マイクロ波背景放射と宇宙の晴れ上がり
4. 大規模構造と銀河の形成
"The Early Universe" Kolb & Turner, Addison Wesley
"Principles of Physical Cosmology", Peebles, Princeton
"Cosmological Physics", Peacock, Cambridge
「現代宇宙論」松原隆彦、東京大学出版会
「宇宙の「果て」になにがあるのか」戸谷友則、講談社ブルーバックス
「爆発する宇宙」戸谷友則、講談社ブルーバックス
1. 一般相対論の基礎
等価原理:適当な座標系をとると、時空のある1点のまわりでは重力は消える(局所慣性系)
一般相対性原理:すべての物理法則は以下なる座標系を取ろうとも、同じ形で書き表すことができる
重力 = 時空の歪み
相対論ではハンペンベクトルは上月下付き、