多様体
「なぜ多様体を学ぶか」
(1) 多様体は幾何学の対象として実際に様々な場面で現れる
(2) 多様体は現代の幾何学の問題設定の枠組みを与える
(3) 多様体の定義から、ベクトル場や微分形式の概念の定義、代数的な構造の抽出、上部構造の定式化にいたる多様体の理論は現代数学の理論構成の典型を与える
曲面論において、方程式の表す図形はほとんどの場合局所的に関数のグラフの形に書かれることがわかる
空間全体でなく、曲面の上だけで定義された曲率などの関数を取り扱う必要が生じる
また、方程式の表す図形に対して、それを記述する一般的なパラメータの取り方から曲率などを書き表すと対称性のある表示が得られることや場合によってはパラメータのうまいとり方を工夫すると図形の形がきれいに記述される
また、複素関数論においては複素関数に対してその自然な定義域が定まり、その定義域の形状を考えることにより線積分の振る舞いが理解しやすくなる
ベクトル解析では次元の高い空間上での解析が必要になる
エネルギーや運動量のような不変量があることによりこのような空間内での運動はより狭い空間に束縛される
そこで次元の少し下がった空間上でパラメータの取り方を様々に取り替えて解析を行うことが必要になる
また、各点にベクトル量が与えられている場に対しての解析を行うことが必要になるが、それはベクトル場、微分形式の定義が自然なものであることを示している
このような様々な場面に現れる対象を抽象して、多様体という構造を持つものを考えることが非常に自然である
実際に現れる幾何学的対象の中で必要な性質だけを抽象して定義としたものが多様体の定義である
このような幾何学的対象の最も基本的な性質は各点のまわりでは座標によって記述されるということである
その性質を抽象して位相多様体というものを定義することができる
位相多様体とは局所ユークリッド的ハウスドルフ空間のことである
空間とは、位相空間のことである
局所ユークリッド的とは。任意の点xに対して、xの近傍U、ある次元のユークリッド空間R^nの開集合VでU,Vが同相となるものをとることができることである
ハウスドルフとは2点を分離する開集合が取れるということである
定義
位相空間Xがn次元位相多様体であるとは、Xはハウスドルフ空間であり、任意の点xに対し、xの近傍UでR^nの開集合Vと同相なものが存在することである
座標があれば点は数値の組みで表され、その上の関数はf(x1,x2,,,,)のように表される
自然に現れてくる曲面上では微分積分を行うことができ、幾何学的性質を明らかにできたが、位相多様体上では微分は考えにくい
微分をするときは点の位置の変化に対する関数の変化の割合を考える
微分が行えることを要求すると、局所ユークリッド的というだけでなく、ユークリッド空間の開集合と同相な近傍の間の関係をきちんと整備する必要がある
こうして微分可能多様体の概念にたどり着くのである
微分可能多様体が定義されると、すでに定義した位相多様体と微分可能多様体は本質的に異なるかという疑問が現れる
いったん、解析を行う場としての多様体が定義されると、その上の常微分方程式、偏微分方程式、多様体の間の写像、多様体上の構造についての様々な問題が定式化される
多様体の定義は各点の近傍と近傍の間の関係および分離公理から成り立っている
その定義からベクトル場および微分形式が定義されるが、これらは自然に区別されているものである
ベクトル場の全体は、リー代数の構造をもち、その積分としてリー郡の作用などが考えられる
微分形式は字数付微分加群の構造をもち、ドラームコホモロジーという不変量を与える
多様体が定義されると、その上部構造として、リーマン構造、複素構造、シンプレクティク構造、接触構造、葉層構造などが定式化される
こうして新しい視点で幾何学を見直すことができるようになる
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「wikipedia-多様体-」
多様体とは局所的にはユークリッド空間、位相空間と見做せるような空間のことである
多様体上には好きなところに局所的に座標を描き込むことができる
座標のない地球をの様子に経線と緯線を書き込んで、人間が作った座標のある地図と対応させることで把握しやすくなるのと同じ
世界地図をいくつかに分けて表現し、隣り合った地図のつながりをそれぞれの地図に同じ地域に含めることで表現すれば、一枚の地図の中に同じ地域が2カ所以上書かれるのをなくすことはできる
多様体は性質の良い図形であり、円や球、多角形、多面体などは全て多様体として扱えるのがペアノ曲線やフラクタルなどは適当な地図を描くことはできず多様体にならない
多様体の定義で重要な点は、多様体の上にいかにして座標系を貼り付けるかということと、どのような座標系を用いたとしても計算に違いが現れないようにすることである
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「多様体の基礎の基礎」
4.1 多様体とは何か?
宇宙は外に空間があることを仮定せずに、宇宙そのものだけをみて研究ができる
それを可能にするのが多様体という空間概念である
多様体はそれ自身が独立した世界であり、数学者はその中だけで幾何学や解析学を成立させる術を知っている
宇宙がこの多様体であれば外の世界のことを気にする必要はない
我々は多様体を区分化し、それぞれをいったんユークリッド空間という別の世界に投影させる
外の世界は不要だが、中の世界を投影する別の世界が必要なのである
4.1.1 多様体の定
4.1.2 他要諦の定義:解釈
現代人にとっての宇宙や古代人にとっての地球のような存在は、広がりを持った空間として局所的には認識はできるが、あまりにも大きすぎてその全体像がわからないという存在である
そのような空間を念頭において上の定義を解釈していく
(M1)について
M1が述べているのはMは既に存在が確定した位相空間だ、ということである
数学的には、R^3自身やその中の単位球面のように集合として完全に特定できなくてはならない
(M2)について
地図帳づくり
地球表面は回転楕円めんである
このような対局的な形状についての知識は探検家や学者たちが隅々まで歩き尽くし、観測し尽くした上で得られた努力の賜物である
我々は一点にとどまり、あたりを見渡しただけでは地球は平面だと錯覚してしまう
M2とはそのような探検家たちの隅々まで歩き尽くし努力が既になされた状態であることを仮定する
その結果として得られた世界地図が既に与えられているのである
(M3)について
このような地図帳Aを備えた位相空間Mを多様体と呼ぶ
厳密にはペア(M, A)を多様体と呼ぶべきであるが、これは意味が込められていると思えば良い
(M4)について
ページとページのつながり
普通地図帳の各ページは上下さゆうの端が他のページと重複するようになっていて、この部分を通じてページ間のつながりを読み取ることができる
多様体の地図帳においてもこうしたページ同士のつながりは想像以上に重要な役割を果たすことになる
このようなつながり具合を仮定するのが、M4の写像に関する条件である
4.1.3 ノート
わざわざ位相空間に地図帳をセットにして考えるのは数学的に自然なのだろうか?
多様体を考えなければいけない状況というのは例えば「位相空間M自体は存在しているのだが、何らかの事情があってそのままmでは研究ができないなどの状況で、我々が直接手に取ることができるのはこの地図帳に書かれた情報のみである」といった状況なのである
また、一般に多様体の地図帳Aは位相空間Mの情報をフルに引き出すとは限らない
同じMの地図帳AとA’でも、内容が違えば、ペアとペアは異なる多様体と解釈する
4.2 多様体上の関数
4.2.1 地図帳で表現された関数の整合性
位相空間の各点に数値を一つずつ対応させる写像を特に関数と呼ぶのであった
ここでは、多様体上の関数をどのように表現し、解析すれば良いのか考える
今、位相空間M上の関数fが与えられているとき、これを自動的に多様体M上の関数fとみなすことができる
問題は、多様体Mには直接触れることができないため、地図帳Aを通して全てを察するしかないという点である
整合性を数学的な言葉で書き直してみると、ページの重なる部分において関係式が成立していることに他ならない
もちろんこの等式自体は当たり前だが、我々はそれを地図帳というシステムが満たすべき一つの整合性として解釈した
4.2.2 多様体上の関数の微分可能性
C1級多様体とは、C1級関数が定義できる多様体であると言っても良い
多様体上の連続関数
まずは多様体M上の連続関数とは何か考えてみる
これは簡単で、多様体Mはそもそも位相空間なので、単純に「開集合の逆像が開集合」と定義すれば良い
これを多様体上の連続関数と見たときの特殊性を理解するには、やはり地図帳の存在を考慮に入れるべきである
C1級多様体上のC1級関数
多様体上の微分可能性を考えてみる
無駄な一般化はさジェて、C1級関数についてのみ考える
この定義では関数fそのものが偏微分可能かということを問題にしているのではないことがわかる
関数fの偏導関数が存在するとも言ってないし、連続だとも行ってない
そもそもMの各点で実数値の偏微分係数が定まったりはしない
あくまで局所座標を計有して地図帳の各ページ上に表現された関数がそれぞれ普通のユークリッド空間で定義された関数の意味でC1級になっていると述べているだけである
別の言い方をすると、地図帳の各ページに描かれたfの値が、そのページ固有の座標系に関して連続な偏導関数を持ちますよ、と述べているだけ
C1級関数であることの整合性
MがC1級であると仮定したが、この仮定はどのように生かされているのだろうか?
世界地図帳をみたら、あるページのある地域で海抜高度がC1級に変化していた
このとき、この地域が記載されている別のページにおいても海抜高度はC1級に変化しているか?
この問題を多様体の言葉に置き換えてみる
この答えは多様体Mが定義の意味でC1級多様体かどうかに依存するのである
多様体上の関数の性質と言って良いもの
多様体上のC1級関数が与えられたとき、地図帳の各ページに表現された関数Fλたちはそれぞれ異なった形をしている
そのため、関数fそのものの偏導関数は意味を持たない
それは同じ地点での等高線の様子が地図帳のページごとの図法や尺度の違いによって変化することに対応する
このようにページごとの表現によって変化してしまうような性質は関数f本来の性質とみなされない
一方、C1級多様体上の関数がC1級であるという性質はそれぞれ異なるページごとの表現の中で共通に現れる性質として定義されている
我々はこのような局所座標に依存しない共通の性質だけを多様体上の関数の性質と呼ぶ
4.3 多様体上の関数の1次近似
最後に、多様体上の関数の局所的な変化をどのように表現すれば良いか考えてみる
すなわち多様体M上の関数fが与えられたとき、ある点pの十分小さな近傍でfがどのように変化しているのかを記述したい
もし多様体ではなく、ユークリッド空間上の関数であれば我々は即座に微分を用いる
同じことを多様体上でやってみる
4.3.1 局所座標でみた関数の一次近似
深い意味はないが、Mの次元をn=8として議論を進める
また、Mおよび関数fはC1級と仮定している
このような表現か可能かどうか?
まずx-pという記号が意味するものがよくわからない、というもの、M内にはベクトル空間のような和や定数倍の演算が定まっていないからである
地図帳での関数の記述
これだけの情報があれば元の関数fのことはわかった気になるが数学的には一つ不安な部分が残る
これらは全て局所座標の取り方に依存しているのである地図への記録の仕方次第でx,p,aは変化してしまう
したがってこの勾配ベクトルは多様体に固有の量とはみなせない
一体これで何か定量的なことがわかったことになるのか?
局所座標への依存性
ロンドンとパリがどうに含まれるページを二つ探してみると、それぞれのページの用紙上でロンドンがパリから見て上下左右どのあたりで何cm離れているかといったことは地図帳の作り手の都合で適当に決定されてしまう
しかし、地図帳に描かれた等高線の変化にある種の相関があることは直感的に理解している
その相関が何なのかを明らかにする
二つの勾配ベクトルの関係
地図長で同一点が複数ページに印刷されている場合、それぞれの点における等高線の局所的な変化はページごとに独立しているわけではない
地図帳のページには共通に描かれている地域が写像によって対応づけられている
このとき、pの周りを顕微鏡で拡大すると、ロンドンパリの写像はほとんど線型写像に見えるはずである
勾配ベクトルの関係式
誤差項が十分に小さいとすると、近似的な等式が成立している
地図帳の異なるページは対応する点pから点qへの微分係数を介して、ある関係式によって常に連動しあっている
これが我々が意識しているページ間の相関を数学的に表現したものだと言える
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「複素多様体論」
1 予備知識
複素多様体論は、可微分多様体論、多変数関数論、微分幾何学、偏微分方程式論、関数解析学、代数幾何学など様々な知識を必要とする
しかし、実は大半の部分は初等的であり、それほど広範な知識を必要としない
基本的には複素多様体から得られる有限次元ベクトル空間に複素多様体の性質を投影させることで大半の定理が得られる
つまり、コホモロジー群という対象さえ自由に使いこなせれば大半の理論は理解可能である
邪魔なコホモロジーを消したりするには∂方程式を解くことになるが、これも線形代数における連立方程式を無限次元に素直に一般化したものに過ぎない
ラプラス作用素が自己随伴であるとういことは、行列がエルミートであることと同じで無限次元という鎧をつけているために立派な理論に見えているだけである
複素多様体論の性質は、多重劣調和関数の理論や正則領域の理論に見られる凸性に多くの事柄が帰着することを指ししてしているように見える
全ての道は擬凸性に繋がるのである
・全微分
全微分可能であるというのは、pの金屏で2次の無限小を法として1次写像で近似できるということである
・微分写像
ヤコビ行列とは、関数を一点において線形近似したものである
つまり微分とは線形近似のことである
・逆関数定理、陰関数定理
逆関数定理の言っていることは、線形近似が逆を持つなら、写像自体が局所的に可微分な逆を持つということである
陰関数定理の意味は、ヤコビ行列が極大回数なら局所的には射影と思えるということである
2 多変数関数論からの準備
3 複素多様体
4 層とコホモロジー
5 解析空間
6 ドルボー複体と層係数コホモロジー
7 ドラームコホモロジーと交叉理論
8 リーマンロッホの定理
9 調和積分論
10 L^2評価式とネーデルの消滅定理
11 セールの双対定理
12 代数曲線、コンパクトリーマン面
13 Compact Riemann surfaces
14 Kahler metric on compact complex curves
15 ベルグマン核
16 複素多様体の変形
17 倉西族
18 モジュライ空間
19 Weil-Peterrsson軽量
20 Berndtssonの定理
21 余接束のZariski分解
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多様体の基礎 松本幸夫
第1章 準備
1 多様体とは
多様体は平面や曲面の概念を一般の次元に拡張したものである
特に、平面や曲面は2次元の多様体であり、直線や円周は1次元の多様体である
球面は曲がっているので、曲面上に真っ直ぐな直行座標系はかけないが、曲がった曲線座標系ならかくことができる
この座標系を球面上でどんどん伸ばしていくと球面の裏側でぶつかってしまい面倒なことになるのでごく限られた領域の内部だけ考えている
このように空間に限られた範囲に描かれた座標系を局所座標系という
局所座標系という言葉を使ってもう少し正確に述べると、多様体とはどこでも好きなところに局所座標系が描けるような空間である
2 m次元数空間
座標系を描くと、平面 = 2つのx,yの組み(x,y)という同一視ができる
m個の実数を並べた組みをm次元数空間という
R^mの距離d(x,y)を用いてR^mの開集合、閉集合が定義される
3 ベクトル空間
R^mには自然にベクトル空間の構造が入る
ベクトル空間としてのR^mを数ベクトル空間といい、その元を数ベクトルという
4 連続写像とC^r級写像
(1)f:U→Vが全単射
(2)fとf^-1が共に連続写像
のとき、同相写像という
fが同相写像であればUとVの点とは1対1に対応しており、どちらから見ても連続的に対応している
UとVの間に同相写像があるときUとVは互いに位相同型であるという
U上の関数fがC^r級関数であるとは、fの1階からr階までの全ての偏導関数が存在して、しかもf自身も含めてそれらがみなU上で連続なことである
写像hがC^r級写像であるとは、hの座標表示にあらわれる関数が全てU上のC^r級関数になっていることである
(1)f:U→Vは全単射である
(2)f:U→Vモf^-1:V→UもともにC^r級写像である
これらの条件を満たすとき、fはC^r級微分同相写像であるという
UとVの間にこの写像が存在するとき、UとVは互いにC^r級微分同相であるという
5 位相空間
多様体の定義をもっとはっきりさせるためには空間という概念をはっきりさせる必要がある
現代数学は全て集合の言葉で組み立てられている
空間にしても例外ではなく、空間の概念も全て集合論の枠内で定式化されなければならない
その結果定式化されたのが位相空間であり、現代数学で空間といえば位相空間のことを指す
R^mの場合にはε近傍を用いて開集合が自然に定義されたので開集合は天与のもののように感じられたが、本来位相空間を定義するときの考え方はそうではなくて、集合Xに開集合の全体というべき部分集合族Oを我々が人為的に指定してやるとXが位相空間になると考える
部分空間に引き継がれる位相を相対位相という
位相空間を定義するときOには位相の条件3つを満たすことのほかに何の制限も設けなかった
したがって異常な性質を持つものも含まれてしまう
このような変な空間を除外するためハウスドロフの公理というものを考える
ハウスドルフの公理「位相空間の任意の異なる2点p,qに対して、pを含む開集合Uとqを含む開集合Vであって互いに交わらないものが存在する」
ハウスドルフの公理を満たす空間をハウスドルフ空間という
多様体の議論に現れる空間は全てハウスドルフ空間である
f:X→Yが位相空間の間の同相写像であればXの任意の閉集合Cの像f(C)はYの閉集合である
またXの任意の開集合f(U)はYの開集合である
第2章 C^r級多様体とC^r級写像
6 多様体の定義
この節で多様体の正確な定義を与える
まず局所座標系をきちんと定義する
位相空間Xの開集合Uからm次元数空間R^mのある開集合への同相写像があるとき、Uとφの対をm次元座標近傍といい、φをU上の局所座標系という
Mがハウスドルフかつ任意の点でm次元座標近傍が存在するとき、Mをm次元位相多様体という
座標変換
m次元位相多様体Mの2つの座標近傍が交わっている状況において、共通部分のに属する点の関係を記述するのが座標変換である
Cr級微分可能多様体の定義
よくみたやつ
7 C^s級関数とC^s級写像
位相空間なのでふつうの定義できる
第3章 接ベクトル空間
8 接ベクトル空間
速度ベクトルはよく知られた公式で求められるが、これを一般の多様体上で考えたらどうなるのか
9 C^r級写像の微分
M,Nをそれぞれm,n次元の級多様体として、f:M→NをC^r級写像とする
この節では、点pにおける写像fの微分について考える
10 写像の局所的性質
fの微分の線型写像としての性質は点pのまわりでのfの幾何学的な様子をよく反映したものになっている
この節ではこの対応関係を調べる
11 射影空間
球面と並んで重要な多様体なのが射影空間である
第4章 はめ込みと埋め込み
12 はめ込みと埋め込み
f:M→Nがはめこみであるとは、全ての点pにおいてfの微分が1対1の線型写像になることである
fが埋め込みであるとは、
(1)fがはめこみである
(2)fの像に相対位相を入れるとf(M)はそれ自身1つの位相空間になるが、f:M→f(M)が同相写像となることである
13 埋め込み定理
Cr級多様体Mを十分次元の高い次元の数空間R^nの中に埋め込むことを考える
もしそれが実現できれば、MはR^nの中の部分多様体として実現できることになる
この節では、コンパクトな多様体について埋め込みが可能なことを証明する
準備として、位相に関する議論と、埋め込みに必要な基本的な関数を多様体上に構成することをする
14 1の分割
1の分割は多様体の研究でしばしば使われる手法である
この説ではそれを説明する
15 正則点と臨界点
写像fが与えられたとき、そのまわりでfが正常にふるまう点pと変わった振る舞いをする点に区別される
これから定義する正則点と臨界点の区別がそれにあたる
第5章 ベクトル場
16 ベクトル場
空間の各点にベクトルが割り当てられている状況がベクトル場である
これらの例を一般化して、多様体上のベクトル場を考える
17 積分曲線
Xを多様体M上のベクトル場とする
もし実際の流れに対応する速度ベクトル場であれば、そこに小さな粒pを浮かべてみると、pはXに沿って流れていき、ある曲線を描くはずである
このような物理的な一般の数学的なベクトル場についてどの程度正しいのかというのが、これから調べる問題
第6章 微分形式
18 1次微分形式
微分形式は重積分の計算から発生した極めて数学的な概念
微分形式は単刀直入に定義を述べるのが良さそう
計算しているうちにある種の直感が形成されてくるのではないか
19 k次微分形式
ここでは高次の微分形式を考える
20 外微分とストークスの定理
付録A Dpr(M)とTp(M)の関係
付録B 射影空間P^2がR^3に埋め込めないことの証明