分子工学
分子工学
Molecular Engineering
熱力学と統計熱力学
ミクロカノニカルアンサンブルとボルツマンの関係式,マックスウエル-ボルツマンの速度分布
カノニカルアンサンブルと自由エネルギー
グランドカノニカルアンサンブルと化学ポテンシャル
はじめに、速度、平均自由行程など
輸送係数
ボルツマン輸送
表面・界面の影響、応用
ソフトマターの特徴
溶液とコロイド分散系(溶液の熱力学、溶液の相分離)
界面活性剤(界面の熱力学、濡れ)
ブラウン運動と熱揺らぎ(並進ブラウン運動)
第1講 熱力学の復習
・熱力学第一法則
・熱力学第二法則
・Maxwellの関係式
第2講 ミクロカノニカル理論
粒子数Nの集合に対してエネルギーEを与えた時ここの粒子が受け取るエネルギーの分布を考える
第3講 カノニカル理論
カノニカル理論では2つの系でエネルギーのやりとりを考える
第4講 グランドカノニカル理論
グランドカノニカル理論では2つの系でエネルギーと粒子のやりとりを考える
第5講 非平衡状態での輸送
(分布→平均量→速度、平均自由行程→拡散係数と求める)
1.マクロな視点での輸送係数
(1)粒子の拡散
(2)熱伝導
(3)粘性
2.ミクロとマクロの比較
3.マクスウェルの速度分布
第6講 続き
4.平均自由行程
5.輸送係数
第7講 クヌッセン数
第8講 ボルツマン方程式
局所的に非平衡な時に使う方程式
第9講 溶液の自由エネルギー
第10講 格子模型
下に凸の二つの山の濃度で相分離する
ミクロで考えれば溶質分子と溶媒分子が引きあえば均一な溶液になるツィ反発すれば相分離するのでこれを見るために簡単なモデルを考える
1.26、厳密に求めるのはきついので近似する。
Wは一個も重ならないように置いた時の置き方の総数である
「機械分子工学第一」
機械分子工学は機械工学に関わる現象・材料の性質を原子や分子・電子レベルで捉え、それらの集合体として工学的応用を目指すというコンセプトのもと、ミクロなものについて学ぶ科目のようです。
間違っている箇所があったら指摘してください、、
熱力学は粒子を仮定しないで、巨視的な性質(熱力学の第一法則や第二法則など)だけで系についてを理解しようとする学問でした。
統計力学には、古典統計力学と量子統計力学がありますが、今回扱うのは古典統計力学です。
古典統計力学では熱力学に対して、粒子を仮定して粒子に働く物理法則(運動量保存やエネルギー保存則など)を用いて巨視的な性質を導こうという学問です。
受験でやった気体分子運動論みたいなものです。
古典統計力学は主にミクロカノニカルアンサンブル理論とカノニカルアンサンブル理論とグランドカノニカルアンサンブル理論の3つに分けられます。つまり千足先生の範囲からはこの3つの理論が出ます。
1.ミクロカノニカルアンサンブルとボルツマンの関係式
ミクロカノニカルアンサンブルは一言でいうと、「粒子数Nの孤立している集合にエネルギーEを与える」という仮定から、粒子に成り立つ物理法則や統計学を用いて式をいじくりまわして、系全体に成り立つ物理法則を導こうという理論です。
なぜ統計学が使えるかというと、粒子数がとても多いので1つ1つの粒子が取る分布にばらつきがあっても全体でみれば統計学の大数の法則が成り立ち、1つの状態に収束するからです。
カノニカルやグランドカノニカルになると仮定がちょっと一般的になるだけで基本的には同じ考え方です。
微視的状態数Wを定義して最大となるWを求めると、あるエネルギー準位に存在する粒子数の分布や気体の状態方程式が求まります。(板書参照)
ボルツマンの関係式は、熱力学で定義されたエントロピーSが、統計力学で定義された微視的状態数Wの関数でかけるという式です。千足先生は熱力学と統計力学の橋渡しになるすごい式と言っていた気がします。
2.マックスウェル-ボルツマンの速度分布、気体の圧力、入射頻度
マックスウェル-ボルツマンの速度分布は、ミクロカノニカルアンサンブル理論から導かれる、分子の速度分布です。「粒子数Nの孤立している集合にエネルギーEを与える」という仮定だけから速度分布まで求められるのはすごいと思います(感想)。
気体の圧力と入射頻度は、速度分布から積分計算で求められます。
ここからは積分計算がテストに出そうです。
3.カノニカルアンサンブル、分配関数、自由エネルギー
カノニカルアンサンブルは、「2つの系で、エネルギーのやり取りを考える」という仮定をミクロカノニカルアンサンブル理論に付け加えて、そこから何が導かれるかを議論した理論です。
カノニカルアンサンブルでは分配関数というものが定義でき、この分配関数さえ求められれば、エネルギーやエントロピーも簡単に求められて嬉しいです。
4.グランドカノニカルアンサンブル、化学ポテンシャル
グランドカノニカルアンサンブルはカノニカルアンサンブルに加えて、粒子の移動も考えます。他は変わりません。
粒子の移動も考えると、化学ポテンシャルという概念が必要になります。僕も全く理解していませんが、先生は化学ポテンシャルは「粒子を系に押し込めようとしている力の大きさ(?)」だと思っとけば良いって言っていました。
塩見先生のポイント
非平衡状態での粒子の輸送についての議論です。
1.気体運動論とボルツマン輸送方程式
粒子の拡散、熱伝導、粘性などは「流束 = 輸送係数×駆動力」という同じような形の式で表せる。
これは輸送されるものが質量、エネルギー、運動量、というだけの違いである。
粒子の拡散の場合はフィックの法則、熱伝導の場合はフーリエの本則、粘性はニュートンの粘性法則という名前がついている。
機械分子工学は、ミクロの観点からマクロを説明しようというコンセプトであった。
塩見先生の授業では、分子→分布(ミクロカノニカルでここまでは求めた)→平均量(速度)→平均自由行程→拡散係数とミクロからマクロの法則へ順番に求めていくことでミクロからマクロを求めることの意味を実感するのが目的らしい。
2.レポート課題の発展問題
ミクロカノニカルアンサンブルから導かれたマクスウェルの速度分布を用いた積分計算で、平均エネルギー、平均速度、確率最大速度が求められる。
また、他の分子と衝突するまでに分子が移動する平均の距離である平均自由行程求められる。
これは出ると思います。
3.ミクロな視点から見た輸送係数に関する問題
平均自由行程から粒子拡散の輸送係数を求められる。
分布が平衡ならば今まで通りナビエストークス方程式を使えばいいが、分布が平衡ではないときはナビエストークス方程式が使えないのでボルツマン輸送方程式というものを使う。
ナビエストークス方程式を使うか、ボルツマン方程式を使うかはクヌッセン数という概念で判断する。
ボルツマン方程式はナビエストークス方程式と同様に難しく(流体力学でのナビエストークス方程式は全て境界条件で簡単な形にして解いていたと思います)、普通には解けないのでPCで数値計算をするか、線形近似をして解く。
板書では線形近似をして解くやり方を説明している。
小穴先生のポイント
小穴先生の授業は、高分子やコロイドなどの柔らかい物質を理解する上で役立つ基礎をやりました。
1.格子模型、溶液の自由エネルギー、相分離
コロイドはほとんど溶液で存在するので、まずは溶液を理解することを目指します。
溶液の自由エネルギーというものを考えると、物体が混合するかどうかが数学的に判断できるようになります。というのも、反応はエネルギーが低い方向に進もうとするので(受験でやった熱化学)、混合前の自由エネルギーと混合後の自由エネルギーを比べてどちらが大きいかで混合するかどうかを判断できます。
混合せずに存在するときを相分離と言います。
溶質と溶媒が溶け合うかを決めているのは。分子間の相互作用である。
2.コロイド分散系(溶液との違い、分散の制御、電気二重層、デバイの遮蔽長)
3.界面張力、表面圧、3相の接触と濡れ、接触角
4.アインシュタインの関係式、拡散係数、平均二乗変位
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分子工学第二
1.金属
1.1 :自由電子論1: ドルーデ理論,電子の運動方程式,金属の電気伝導,金属の熱伝導
1.2:自由電子論2: ゾンマーフェルド理論,電子の波動性,電子の量子エネルギー,電子気体の特性
1.3:自由電子論3: ローレンツ数
2. 半導体
2.1:電子バンド構造: シュレディンガー方程式,バンド理論
2.2:電気伝導特性: バンド構造による理解,真性半導体,不純物半導体
2.3:応用: p-n接合,整流素子,トランジスタ
3.光学物性
3.1:金属・半導体の光学特性: 反射,吸収,プラズマ周波数,バンド間吸収(直接遷移,間接遷移)
4.絶縁体
4.1:結晶格子,格子熱,調和振動モデル,分散関係
4.2:フォノン,状態密度,伝播速度
4.3:格子比熱,格子熱伝導率
4.4:欠陥,不純物,界面,サイズ効果
5.応用
5.1:電子・フォノン複合問題
第一回
機械的強度:軽量性、耐摩耗性、耐熱性、結晶性
電気伝導性:金属と半導体
トランジスタをどのように組むのかや仕組みについての根本的なこと考えるのがこの授業
ガスタービンや熱電変換素子も実は材料を理解しないと作れない
新しいものを作るときは材料を考える必要がある
この講義では材料への理解を深める
1、なぜ金銀銅の表面の光沢が違うか?
2、なぜ金属は熱伝導率が高いのか
3、金属、半導体、絶縁体の違いは何か
4、トランジスタ、太陽電池の仕組み
5、電気を流す透明な材料はない?
これらの質問に答えられるようになる
6 半導体・絶縁体・結晶の熱伝導
6.1 結晶分子
結晶:原子や分子が周期的に配列している物質
6.2 格子熱
格子振動のエネルギー
ねつは振動エネルギーが大きい側から小さい側へ流れる
6.3 一次元調和振動子モデル
固有振動モードの波数と周波数の関係
原子間のポテンシャルエネルギーを求めて、運動方程式から解を出す
分散関係が求まる
6.4 熱の伝播速度
単一の波の場合:位相速度
波束の場合:群速度
6.5 分岐
分散関係は複数の分岐からなる
音響モードと光学モードでは単位格子内の原子の動きの位相にズレが生じる
有限サイズの物質でkは離散的な値をとる
7 格子
7.1 ブラべ格子
直観的には、無限個の点の配列で、どの点から見ても景色が同じ
7.2 単位格子
全てのRで並進した時に重ならずに全空間が埋め尽くさせる空間領域
7.3 ヴィグナーザイツセル
ある格子のヴィグナーザイツセルとは、他の格子点よりもその格子点に近い空間領域
作り方:ある格子点とその周りとの間の垂直二等分面で囲まれた領域
7.4 逆格子
結晶中の平面波を考える
ブラべ講師の周期性を持つ平面波の全てのkの集合を逆格子と呼ぶ
7.5 ブリルアンゾーン
逆格子におけるヴィグナーザイツセル
7.6 多次元関係の分散関係
音響分岐:3つ
光学分岐:3つ
2つの横浪の分散関係が同じであれば縮退する
7.7 フォノン
フォノンとは格子問題を量子化したもの
7.8 格子比熱
温度Tの熱平衡において、エネルギー準位iのボーズ粒子の分布関数