ファイナンス理論
10分でわかる金融工学入門
授業めも
ファイナンス(金融,金融取引と金融市場に関する諸論点)の基礎を,主に数理的な視点から講義する.金融取引と金融市場の概要を知り,金融取引に内在するリスクとリターンを同時に評価する考え方を学び,ポートフォリオの最適化や金融資産の価格付けのための基礎技術を習得する.各項目の話の中で,ときどき最新の話題にも触れる.
1.金融取引と金融市場
1-1. 金融とは
1-2. 資金調達
1-3. 証券市場
2.キャッシュフローと時間価値
2-1. 債券
2-2. 時間と価値,利回り
2-3. 投資の価値評価
3.金利の期間構造
3-1. 最終利回りと債券価格
3-2. イールドカーブ
3-3. ゼロレートとフォワードレート
4.リターンとリスク
4-1. リターンとリスク
4-2. リスク尺度
4-3. リスクプレミアム
5.現代ポートフォリオ理論
5.1. 分散投資効果
5-2. 平均分散アプローチ
5-3. CAPM(資本資産価格モデル)
6.デリバティブ
6-1. 先渡取引と先物取引
6-2. オプション
6-3. スワップ
7.デリバティブの価格付けの基礎
7-1. 裁定機会と複製ポートフォリオ
7.2.先渡契約と先渡価格
7-3. 金利スワップ
7-4. 一期間二項モデル
7-5. 多期間二項モデル
8.ブラックショールズモデル
8-1.ブラックショールズモデル
8-2.オプション価格公式
8-3.リスクヘッジとグリークス
9.金融リスク管理の基礎
7-1. リスク管理のための尺度(VaR,ES)
7-2. 金融危機と金融規制
第一講 金融取引と金融市場
1-1 金融とは
リスク管理:パフォーマンス尺度が決まって初めて議論できる
金融工学の本質:将来の不確実な利益・損失の評価、価格付け、勘や直観に頼らず、ある種の合理性・客観性を持つシステマティックな手法による評価
金融:余剰資金のある経済主体Aから資金の不足している経済主体Bにお金を融通すること
利子:借り手が支払う
利息:貸し手が受け取る
直接金融:証券会社を介す、経済主体が破産したら貸した人がダメージ
間接金融:銀行を介す、経済主体が破産したら仲介者がダメージ
1-2 資金調達
有価証券:財産権を表章したもの、それに記載された権利の行使や移転がその証券によって行われる、株券と債権に分けられる、債権で調達される資金は負債に該当、株券で調達される資金を株式
債権:資金調達を行う発行者がお金を借りた証拠として利息の支払いや元本の返済を約束して発行する証書、返済義務有り、
株式:債権とは全く異なる、投資家への返済義務なし、満期なし、確定的な利払いなし、株主は配当をもらえる
株主は会社の所有者
MBO:マネジメントバイアウト、経営陣が自ら株式を取得して株主になることで、自分たちによる経営を円滑に進めようとする手法、企業グループ内の会社の、グループからの分離独立時に使われる
銀行借り入れ:間接金融による金融調達、融資するときは元本、利率、満期を決定する
預金:投資家が銀行に貸し出した資金
定期生預金:満期がある預金、満期前に口座から引き出すとペナルティが課せられる
普通預金:満期がなく、いつでも口座から引き出せる
金融取引は、余剰資金を貸したい人と不足資金を借りたい人が出会わなければ成立しないが、探索コストが高いので間接金融を使うという市場
1-3 証券市場
証券市場:取引所取引と店頭取引がある
取引所取引:定型化された商品が取引、全ての商品を限られた場所で取り扱えないので定型化された商品を大きな取引量で集中的にさばくという考え方
店頭市場:取引所を通さない取引
債権市場:債権は発行体、償還日、クーポンレートなど何かしらの属性が異なれば別の銘柄なので非常に多くの銘柄が存在
発行市場:債権を発行する市場、額面=価格の場合、パートいう
流通市場:既発債を取引する市場、転売的な
株式市場:債権と違い、既存の株券も追加発行の株券も同じ扱いである、株式の価格は1つ
債権市場や株式市場は証券に流動生を供給している
個々の融資は市場で取引されず、基本的に流動性はない
証券化は融資のように流動性のない資産を市場で売買できるようにする仕組みの1つ、証券にして投資家に売って、そのキャッシュで別に投資する
第二講 キャッシュフローと時間価値
2-1 債権
キャッシュフローと時間価値
債権・・・資金調達を行う発行者がお金を借りた証拠として利息の支払いや元本の返済を約束して発行する証書
2-2 時間と価値、利回り
利回り・・・単位時間あたりの平均利子率
利回りには単利と複利があり、単利は利子を再投資しないで得られる利回り
複利は利子を全額再投資して得られる利回りである
2-3 複数回の将来キャッシュフローの価値
2-4 投資の価値
伝統的な投資評価法
NPV法、IRR法、回収期間法
回収期間法はキャッシュフローに時間価値が考慮されていないのでだめ
NPV・・・NPV>0なら合理的な投資と判断する。NPVの問題点はNPVの値はR次第
IRR・・・前述のNPV=0となる割引率Rを算出して、Rが資金調達コストよりも高ければ投資する
IRRが高いものに当知るのが良いと考える
実際には、将来キャッシュフローは不確実である場合が多い
また、投資には投資時点を延期できることが多い
第3講 金利の期間構造
3-0 複利利回りの計算
3-1 最終利回りと債券価格
3-2 イールドカーブ
3-3 ゼロレート
3-4 フォワードレート
第4講 リターンとリスク
4-1 投資収益率
4-2 リターンとリスク
4-3 効用関数と期待効率原理
4-4 リスクプレミアム
第5講 現代ポートフォリオ理論1
リターン = 期待収益率
リスク = 収益率の標準偏差
の2つを指標として資産選択を検討する
分散投資とシステマティックリスク
投資先の数とリスクは統計学みたいに√Nに反比例して小さくなる
リスクのうち投資先ごとに独立な部分(あんシステマティックリスク)は投資先を分散させるにつれて低下する
リスクのうち投資先に共通の成分(システマティックリスク)はいくら投資先を分散させても低下しない
このように投資先を分散することでリスクが低減することを分散投資効果という
個別資産の収益率とポートフォリオ
収益率が同じ方向に動く資産を組み合わせるとリスク高く、逆は低くなる
分散投資効果により、様々な資産に投資することでポートフォリオのリスクは小さくなり、ポートフォリオ選択問題ではこのような分散投資効果をとことん追求する
どのポートフォリオを選ぶべきかというと、効用を最大にするポートフォリオを選ぶべきである
期待効用が最大となるのは接点のポートフォリオである
平均分散モデル(Markowitzのポートフォリオ選択問題)
平均分散モデル(Tobinのポートフォリオ選択問題)
分離定理
最適ポートフォリオは接点ポートフォリオTと無リスク資産Fの組み合わせで構成される
第6講 現代ポートフォリオ理論2
接点ポートフォリオの性質
接点ポートフォリオには特別な性質がある、ポートフォリオの分散と今日分散式など
線型性が成り立つので、ポートフォリオの期待収益率は常に各資産の寄与に分解できる
一方、ポートフォリオ全体のリスクは各資産の寄与に分解できるとは限らず、ある条件を満たすことが必要
標準偏差をリスクとして選ぶと、条件を満たすのでポートフォリオ全体のリスクを各資産の寄与に分解できる
CAPM(均衡時における資産価格間の関係式)
均衡状態における証券について考える
仮定
1、全ての投資家はリスク回避的で平均分散モデルで投資を考える
2、全ての投資家は証券のリスクとリターンと共分散について同一の期待を持つ
3、全ての投資家は同一の利子率で任意の金額の貸し借りができる
4、市場は完全である
最適ポートフォリオ
家庭より、全ての投資家の接点ポートフォリオが同じポートフォリオになる
Tobinのポートフォリオ選択問題では全投資家の最適ポートフォリオは接点ポートフォリオと無リスク資産の組み合わせて構成
接点ポートフォリと無リスク資産の構成比率が効用関数によって異なるだけで、全投資家のリスク性資産は接点ポートフォリオ
以上より接点ポートフォリオが市場ポートフォリオである
CAPM
均衡における資産間のリスク・リターンの関係式
第7講 デリバティブ
デリバティブは株式、債券、金利、などの伝統的な金融商品から派生して生まれた金融商品のこと
代表的なものとして、先物、先渡、スワップ、オプションなど
一年後に100万円になるはずの株を95万円で買うという契約を先渡契約という。
購入側をロングポジション、売却側をショートポジションという。
先物契約は概念的には取引所で行う定型化された先渡し契約のこと
差金決済:現物と先物価格をやりとりしないで、その時点における現物の価格と先物価格の差額だけをやり取りする決済方法
スワップ取引は将来あるキャッシュフロー列を別のキャッシュフロー列と交換する取引
金利スワップ、通貨スワップ、ベーシス・スワップなど
金利スワップでは定期的な固定払いと変動払いを交換する取引が主流
キャッシュフローを決めるには元本が必要だが、交換は金利のみで元本の交換はしないので想定元本という。
オプションは将来にある証券をある価格で取引する権利を表彰する証券、買い手はショートポジションという。この権利を得るために書いてはオプションプレミアムを売り手に支払う。
コール・オプション:ある資産をある特定の日にある価格で買える権利
プットオプション:ある資産をある特定の日にある価格で売れる権利
ヨーロピアン・オプション:権利行使はオプションの満期日のみ可能
アメリカン・オプション:オプションの満期日までいつでも可能
ITM:もし現時点でオプションを行使したら利益が出る状態
OTM:現時点でオプションを行使したら利益が出ない状態
ATM:原資産の現在価値が行使勝ちに等しい状態
NTM:ATM付近の状態
損益を表す関数をペイオフ関数という
ヘッジ:オプションとその原資産を組み合わせたポジションのこと
スプレッド:行使価格あるいは満期が異なるコールオプション同士を組み合わせたポジションのこと
バーティカルスプレッド:行使価格が異なるオプションを組み合わせたポジション
ホリゾンタルスプレッド:満期が異なるオプションを組み合わせたオプション
コンビネーション:同じ原資産のコールオプションとプットオプションを組み合わせたポジションのこと
ストラドル:同じ原資産で行使価格が同じコールオプションとプットオプションを組み合わせたポジション
レバレッジ効果:デリバティブでは想定元本金額を取引することは多くない
現代は担保付きデリバティブ取引が結構
第8講 デリバティブの価格づけ
金融商品の価格づけ
将来に発生する不確実なキャッシュフローの現在価値を決定すること
裁定機会
コストゼロで、リスクなしに利益を上げることのできる投資機会のこと
完全市場
・証券は無限分割可能、どのような量でも取引できる
・個々の投資家の取引は市場価格の影響しない
・取引にコストはかからず、税金も発生しない
・投資家は空売りもできる
無裁定価格
裁定機会が存在しないように付けられた価格のこと
複製:金融資産Xのキャッシュフローと全く同じキャッシュフローを生成するポートフォリオYが存在するときYはXを複製するという。このときYはXの複製ポートフォリオという。
自己充足:ポートフォリオと外部の間で資金の流出入がないとき、ポートフォリオは自己充足であるという
つまり、デリバティブXの自己充足な複製ポートフォリオYを求めることができればデリバティブXの価格がわかる
無裁定価格の線型性:金融商品の無裁定価格は線型性を持つ
先渡価格はどのように決まるか?
金利スワップの価格とスワップレート
スワップ取引:将来のあるキャッシュフローを別のキャッシュフローと交換する取引
自己充足な複製ポートフォリオ
第9講 デリバティブの価格づけ2
二項モデル:将来の原資産価格の変動を二項分岐するツリーモデルで表現したもの
将来のある状態に達した時のみ1円を受け取れる証券をArrow Debreu証券という
AD証券による複製
全てのデリバティブが複製可能な市場を完備市場という。
株式と無リスク資産による複製
三項モデル
第10講 デリバティブの価格づけ3
多期間にこうモデルにおけるオプション価格式とCRRの公式という。
第11講 ブラックショールズモデル
安定市場:安定資産の利回りrは機関を通して一定
以下を仮定
・市場には1つの危険資産と1つの安全資産だけが存在する
・危険資産に配当はない
以下は全てリスク中立確立のもとで連続時間モデルとして考える
ブラックショールズモデル
ブラックショールズモデルでは微小時間における瞬間的な収益率は正規分布に従うと仮定する
しかも瞬間的な収益率は時系列的に独立と仮定する
ここで、算術収益率ではなく、対数収益率で考えてみると、どのような分布に従うかを考える
伊藤の公式
テイラー展開して、高次の項を無視する
ブラックショールズの公式(解析的なオプション価格式)
方針
・ヨーロピアン・コールぷしょんとプットオプションの価格式はBSモデルではどのように表現されるのかを考える
・手がかりはCRRの公式とBSモデルに関する数奇である
ロジック
期間分類数のパラメータのnが無限大に行く時、多期間二項モデルがBSモデルに収束するように設定すると、その時のCRRの公式はBSモデルのもとでのオプション価格式に収束する
コール価格式の導出
プット価格式の導出
ブラックショールズの公式
ここまでで求めた連続時間モデルにおけるヨーロピアン・コール・オプションおよびヨーロピアン・プット・オプションの価格式をブラックショールズの公式という
BS公式による複製ポートフォリオ
BS公式の振る舞い
BS公式は多くの変数に依存するので振る舞いは複雑で、ここでは1つ1つの変数の動きと価格の動きを見る
デリバティブのリスク指標(グリークス)
リスク感応度
リスクの源泉となる変数が1単位動いた時の価格の変化量
リスクヘッジ
損失を被るリスクを回避・低減すること
グリークす
オプション価格vをテイラー展開して、オプション価格の変化をいくつかの偏微分を使って表現できるようになる
デルタ:原資産価格Sが微小量変化した時のオプション価格の変化率
ガンマ:ガンマはリバランスのタイミングの目安の1つとなる
シータ:満期Tが微小量変化した時のオプション価格の変化率
ロー:金利rが微小量変化した時のオプション価格の変化率
べが:ボラティリティが微小量変化した時のオプション価格の変化
まとめ
最後までの流れ
最初の方の複利利回りや連続複利利回りを計算しておく
初めの方が大きいとIRRは大きくなる
リスクプレミアムは
シャープレシオは定義見ればいける
5-3,6-1は大事
6-2は
——————経済の仕組み----------
構成要素と取引から
3つの主な要素
・生産力の成長
・債務の短期周期
・債務の長期周期
これらの3つの要素を考えることで経済を予測できる
経済は取引の積み重ねなので取引について見ていく
経済市場は買い手と売り手が取引して動く
経済は全ての市場の積み重ね
人、会社、銀行、政府機関が取引をする
最大手は政府機関で、中央政府(お金の支出)と中央銀行(クレジットのコントロール)がある。
クレジットは経済の重要な要素である。というのも変動しない。
クレジットが発生すると借金が発生する。
クレジットは、支出を増やし、経済を推し進めるので重要である。
収入が増えるともっと借りることができ、もっと支出を増やせ、この好循環が経済を回す。
債務は5~8年の周期と75~100年の周期がある。
生産性は少しずつ関係する。
クレジットがないと、生産性と労働時間の増加しか経済を成長できない。
しかし、借りることが可能なら経済に変動が起きる。
この意味でクレジットはお金とは違う。
クレジットのある経済では支出はクレジットを増やせば増加できる。
クレジットは返済ができないときは悪い要素になるが、返済できるならば支出を増やす良い要素となる。
価格の上昇はインフレを引き起こす。
利子を高くすると、お金を借りる人が減るので、一般市民の支出が減り、デフレになる。また、不景気になり、インフレの兆候がなくなると、利子を引き下げる。この流れが経済活動のカラクリである。この短期債務の流れをコントロールするのが中央銀行である。
債務が増えていても、取得と資産価値が増えているので危険はない。でもこれは長続きしない。というのも何十年も経つと、負債の方が多くなり、債務負担が支えきれなくなり、支出が減り始め、バブルが弾ける。
つまり長期負債変動のときは利子を下げても手遅れである。
債務負担を縮小するには4つの方法
1、支出を縮小(緊縮策)
2、債務を不履行
3、資産を富裕層から再分配
4、中央銀行が新しい紙幣を印刷する
中央銀行が政府の債券を買えば、お金がバラまける。
デフレとインフレのバランスを保つのが経済の安定を招く。
授業めも2
近年、ビッグデータ・機械学習の登場によりビジネスが大きく変化してきている。
経済工学IIにおいては、金融業におけるこのような変化について概観し、具体的な事例についてその背景とともに解説する。
そして、金融業界におけるビッグデータの利活用の現在と今後について考えていく。
第1週 イントロダクション
第2週 企業間ネットワーク分析(1):企業間関係がもたらす影響
第3週 企業間ネットワーク分析(2):複雑ネットワーク分析
第4週 企業間ネットワーク分析(3):企業間関係と情報の伝播
第5週 株式市場と高頻度取引(1):日本の株式市場
第6週 株式市場と高頻度取引(2):日中の株価変化
第7週 株式市場と高頻度取引(3):高頻度取引と株価形成
第8週 テキスト分析と企業評価(1):財務報告と企業評価
第9週 テキスト分析と企業評価(2):財務報告に含まれるテキストの分析
第10週 テキスト分析と企業評価(3):テキストの評価と業績予想
第11週 マクロ経済分析(1):マクロ経済分析におけるビッグデータの役割
第12週 マクロ経済分析(2):ナウキャスティング
第13週 マクロ経済分析(3):中央銀行の役割と情報発信、市場の反応
第1講
オプション:将来いくらで買うという権利をやり取りすること
オプションの価値の分布が分かればいいが、わからないので、正規分布を仮定するのがオプション理論である
金融業界の業務
・普通銀行:預金業務、融資業務、為替業務、金融商品の販売
・証券会社:ブローカー業務、ディーリング業務、アンダーライティング業務、セリング業務
・信託銀行:普通銀行の業務が可能、信託業務、その他の業務
金融機関におけるデータ分析
・マーケティング
新規金融サービスの開発
金融商品の販売を目的としたマーケティング
新規融資の獲得
・リスク管理
融資先の信用力評価
自分自身のリスクの把握と対応策の検討(バーゼル規制)
・資産運用
資産運用における運用戦略の立案
融資に関わるデータ分析
・融資業務
個人や企業に対して融資を行う業務
融資によって受け取る金利が金融機関の収益源となる
資産運用に関わるデータ分析
・資産運用業務
顧客もしくは金融機関自身の資産を運用する
顧客の資金なら運用報酬、金融機関自身の資金なら運用の成果が収益となる
一般論:データセットの性質
1、量
2、リアルタイム性
3、バリエーション
4、定性情報
5、正確性
6、メンテナンスのしやすさ
資産運用における変化:クオンツショック
・クオンツ
定量的な手法を用いて市場動向や企業業績の分析を行い、投資戦略を開発する専門家のこと
・クオンツファンド
定量的な分析に基づいて運用されるファンド
・クオンツショック
バリュー指標を利用していたクオンツファンドが大きく損失を被った
資産運用における変化:スマートベータ
・スマートベータ
単純な加重平均の株式指数ではなく、企業の財務情報やバリュー指標など、一定のルールに従って加重した株式市場
・中長期的には一般的な株式指数よりもパフォーマンスが良いとされている
第2回
金融機関や一般企業の間には、様々な取引関係が存在している。これらの関係をネットワークとして捉え、分析方法やどのように影響するかを見ていく
金融危機
1、住宅ローンの中でも破綻可能性が高いものをサブプライムという。そのため、ローン金利は高く設定されていた。不動産価格が上昇し続けており、これららの住宅ローンは破綻の可能性が低いと考えられていた。
2、また、これらの住宅ローンは金融商品nに加工され、さらに広範な金融機関に販売された。金融機関も利回りが良いことから積極的に購入した。
3、2006年ぐらいから住宅価格が下落し、これらの住宅ローンの返済が滞り始めた。その結果、サブプライムモーゲージの価格は暴落し、多くの金融機関が多額の損失を被った
4、その中、リーマン・ブラザーズが破綻して他の金融機関に対しても同様の懸念から金融システム全体への懸念へと拡大
5、インターバンク市場は機能不全となり金融機関からの短期的な資金調達が困難となった
6、金融機関は有価証券など保有する資産を売却し、現金の確保を行った。その結果、金融市場における資金価格の下落を導く結果となった
7、米国の大きな金融機関が破綻や合併などによる姿を消し、世界経済が停滞に向かうことになった
バーゼル規制
国際的な銀行システムの健全性の強化と銀行間の競争上の不平等の軽減を目的として策定されたもの
格付け
格付けの付与には様々なアプローチがあるが、企業の財務情報などを用いた定量分析とそれ以外の情報に基づく訂正評価を組み合わせることが一般的
マートンモデル
企業価値は時間とともに変化すると考える
企業の破綻の構造モデル
企業価値がある値を下回った時に、その企業がデフォルトすると仮定して評価を行う
破綻の影響
・連関
1つの銀行の破綻がバランスシート上のつながりを通じて他の銀行の破綻を引き起こすこと
・感染
広範な金融機関の破綻の恐れが金融機関からの引き出しを伴う取り付け行動へ繋がったもの
・相関
外征定期な要因による資産価格の暴落を原因とする金融機関の破綻
システミックリスク
特定の金融機関や市場が機能不全になった時その影響が金融システム全体に波及し、金融危機を起こすというリスク
金融システム全体が抱えるリスク
第3回
企業間ネットワークとその分析方法について
・経済活動の1つの単位である企業についてその企業がどのように経済に影響を与え、与えられているのかを調べる
・複雑ネットワーク分析による分析手法を適用し、これらの影響を考慮した運用戦略の構築やリスク管理手法の高度化について考えてみたい
・企業を評価する際には、個別企業単位で評価することが多かった
ここでは、企業間関係情報を重みなし有向グラフとして扱う
ネットワーク内における位置:中心性
ノードの重要度を測る指標として中心性がある
・次数中心性
・離心中心性・近接中心性
・固有ベクトル中心性
・パワー中心性
・媒介中心性
次数中心性:つながっているエッジの数
離心中心性・近接中心性:離心中心性は、自分以外のノードへの距離の最大値の逆数、近接中心性は他のノードまでの距離ん総和の逆数
固有ベクトル中心性:接続行列の第一固有ベクトル、次数中心性のようにつながるノードを同等に評価するのではなく、つながるノードによって重みをつける
固有ベクトル中心性は、中心性が高いものがたくさん繋がってればより中心性が高いでしょ、という考え方
パワー中心性:次数中心性と固有ベクトル中心性の中間のようなもの
媒介中心性:最短経路の数農地、とあるノードを通る経路の数
企業間関係における中心性の高い企業
にゅう次数中心性が高い⇨自動車メーカー、電機メーカー、商社
出次数中心性が高い企業⇨部品メーカー
離心中心性⇨食品系
固有ベクトル中心性⇨次数中新世に似た企業群
媒介中心性⇨サプライチェーン上位間に位置する企業
ネットワーク内ノードの分類
ネットワーク中の結びつきの強いノード群を特定したいときにもじゅラリティを最大化数量にグループ分けをする
ネットワークの構造分析
ネットワークがどのような構造を持っているかを調べたい
前のページのようにサブネットワークを導出した時これらのさぶネットワークがどのような構造を持っているか分析したい
ここからは複雑ネットワーク分析の手法を用いてネットワークの構造について考える
ネットワーク構造の評価指標
・密度:グラフにおいて貼ることのできる最大のエッジ数に対する実際のエッジの数の比率
・推移性:友達の友達は友達か?
クラスター性:推移性を持つ3つのエッジのくみが、グラフの中に多く含まれる性質
スケールフリー性
一部のノードがたくさんのノードとエッジでつなげっており、その他の大部分のノードはわずかなノードとしか繋がっていないという性質
ノードの次数分布がべき乗分布に従うという性質
スモールワールド性
任意のノードが中間にわずかな数のノードを介するだけで接続されるという性質
グラフの平均最短長Lがグラフの中のエッジの数nに対して、対数程度の緩やかさで増加する時、スモールワールド性を持つという。
他の社会ネットワークとの比較
他の社会ネットワークと比較すると、企業間関係ネットワークは密度が低く、平均最短長は長い、推移性も低いという傾向が見られる
第4回
今回の講義では、ネットワークを通じて、影響が伝播していくことについて見ていく
特に企業の間のネットワークを通じて、株価の変化が連鎖していくことを見ていく
サプライチェーンに通じた影響の電波
タイの洪水によって日系工場の操業停止に
トヨタ自動車と大豊工業の関係
任天堂に関する企業の例
サプライチェーンを通じた影響の伝播のモデル化
企業は関連する企業から影響を受けるため、企業間ネットワークの情報を利用すると、つながりを介して影響を考慮できる
産業によってサプライチェーンにおける位置が異なる
産業連関表
産業ごとの生産・販売などの取引額を集計した表
販売元産業⇨販売先産業の流れを表している
たては、その産業が作るためにどの産業のものをどれくらい使ったかを表す
レポートはなんでも良いが期限は2週間後
第5講
はじめに
株式売買の6~7割は自動(アルゴリズム)と言われている
東京証券取引所では、一日役3000万件の注文
1秒間に1190件の注文がある
最も最近取引が成立した価格が株価という
東証が注文を受け付けているのは8〜15時の7時間
8〜9割は機関投資家が出した注文では?
コンピュータを利用することで何が変わったか?
・株式売買の自動化によりトレーディングに関わる業務が効率化
ゴールドマンサックスでは数百人いたトレーダーが2人になった
・コンピュータの処理能力を活用したトレーディングの高度化
様々なトレーディングアルゴリズムが開発されている
・コンピュータの処理能力の速さを競う、高頻度取引のスタイルも登場している
トヨタ株の売買状況
売買高は大きく変化していないが、注文数は増加傾向である
理由
一回の売買における株数が小さくなっている(プログラムを使うことで細かく売買できるようになった)
一回の売買における注文の数が増えている
株式の売買には大きく3つのタイプの注文がある
すぐに売買が成立する注文(成り行き注文)
すぐには売買が成立しない注文(指し値注文)
キャンセル注文
徐々にキャンセル注文の比率が上昇してきている
日中の株価変動
1分だけ切り取ると、200件の注文がある秒も全く注文がない秒もある
アルゴリズム取引の存在が大きく影響している
超大企業の株では、注文の約半分は直前の注文から数ミリ秒以内に市場へと出ている
大きな注文が発注されても、売買の成立のよってあまり株価が変化していない
株式売買の仕組み
株式はどこで売買される?
東京証券取引所がメイン(80%以上)
売買参加者とその目的
参加者によって売買目的や頻度が異なる
個人投資家、機関投資家、高頻度取引参加者
売買するアルゴリズムを作ってるのは証券会社が多い
コロケーション利用有無で注文処理に要する時間が異なる
コロケーションサーバーは取引するたのアルゴリズムを載せるサーバー
使用する場合は1ミリ以下、未利用の場合は数ミリ以上
機関投資家の売買手段
・アルゴリズム以外の取引手段もいろいろ存在
トレーダーはなるべく良い価格で売買できるように取引手段を選択
・プリンシパル取引
一言で表すと総体での1:1取引
・ダークプールでの取引
大手証券会社が提供するメイン市場とは別の取引システム
注文板
ある金融商品を買いたい(売りたい)と言う人が取引所に注文を送ると下のような注文板に注文が並べられる
売り注文と買い注文が一定のルールに基づいてマッチングされ売買が成立する、これを約定という
売買注文
投資家は以下の条件を指定して、株式の売買注文を出す
売買の方向、売買数量、売買価格
指し値注文と成り行き注文の違い
成り行き注文:即座に約定する価格での注文、すぐに約定するが指値で待つより不利な価格
指し値注文:並んで待つ価格での注文、ずっと価格は動かないかもしれないし、不利な価格に動いてしまうかも
板は投資家の意思を反映したもの
状況によりその直後の注文の出方は大きく変わってくる
投資家は板の状況を見ながら注文を出している
ビッドアスクスプレッド
売り注文の最も安い値段⇨ベストアスク
買い注文の最も高い値段⇨ベストビッド
ビッドアスクスプレッド:ベストアスクとベストビッドの差
売買成立のためのルール
売買成立の順番は、基本的に最もアグレッシブな注文が優先される
価格優先ルール
時間優先ルール
・バッチオークション/コールオークション
ある取引時刻を指定し、その時刻までに出た注文を一括して処理する方法
・連続オークション方式
注文を受け取るたびに売買注文を処理する方法
東京証券取引所では、9:00,12:30と11:30,15:000がバッチオークション方式である
値幅制限
株価が1日のうちで大きく変化しないように値幅制限を設けている
フラッシュクラッシュ
2010年5月6日に米国市場で発生した非常に短い時間での株価の急落・急反発が発生した
複数の要因によって引き起こされ、いまだにその原因は明らかでないとしている
第6講
株式の売買の現状により深く考えていく
・東京証券じょは売買システムをなぜ更新するのか?
・高頻度取引やアルゴリズム取引はどのような売買を行っているのか?
東証arrowhead
東京証券取引所の注文売買システム
それ以降、様々な点で更新が行われている
システムの信頼性の向上
システムの利便性の向上
処理能力の向上
株式市場と流動性
株式市場としては、いつでも売買できる環境が整っていることが望ましい
なので証券取引所は注文板に注文が多くある状態を理想にしている
本源的価値と株価
・本源的価値の仮定について
全ての投資家が同じ情報を共有し、その価格づけに合意している価格
全ての投資家は理由なく、本源的価値よりも高くは買いたいと思わないし、安くは売りたいと思わない
・市場において、本源的価値を探索する活動を価格発見という
・本源的価値と株価が一致している時、価格が効率的であるという
・本源的価値が探索されるためには流動性が必要
・株式市場としては、注文ばんにある注文を多くすることによって売買を成立しやすくしたい
・株式の本源的価値と取引価格の差を取引費用という
流動性が多いほど、投資家の間で交換される情報が増え、今の価格が根源的価値に近づいていく
指し値注文を出す人は流動性の供給者
成り行き注文を出すのは流動性の需要者となる
流動性の需要者は供給者に取引費用を支払っていると考えることができる
マーケットインパクト
ある株式に対して大きな売り成り行き注文が入ると
・一時的には指値注文を約定させることで株価が大きく下落
・その後本源的価値に向かって株価が上昇していく
市場が効率的にであるためには以下の状態が望ましい
・一時的インパクトが小さい
・一時的インパクトによる株価の乖離の継続が短い
株式市場と流動性
市場の流動性を示す概念
・即時性:取引したいタイミングで取引できるか
・タイトねす:より低い取引費用で売買できるか
・デプス:必要な数量を売買できるか
・回復力:本源的価値が変化しないときに、価格が一時的に変化したとき、元の価格に戻るか
・情報効率性:本源的価値が変化したときに価格が迅速に新しい本源価値に近づくかどうか
本源的価値が誰にもわからないので、これらの値を推計するのは難しい
銘柄の間での板付の違い
スプレッドが狭い、板が熱い、スプレッドが広い、板が薄い
呼値幅変更
・市場参加者の売買コストを抑制する目的で売買できる値段の刻みの変更を行った
・変更によって株価の動きが滑らかになっていった
・変更によって鼻ッドアスクスプレッド、実行スプレッドは有意に小さくなっている
実行スプレッド
約定価格と約定直前の仲値の差
実行スプレッド=|約定価格 - 約定直前の仲値| * 2
呼び値幅変更の効果
・売買高は大きく変化していないが、約定件数が大幅に増加している
マーケットメイカー制度
・株式市場が流動性向上させるために設けた制度
株式市場がマーケットメイカー(証券会社など)を指定し、マーケットメイカーは注文板に常時指し値注文を出しておかなければならない
マーケットメイカーは指値注文を出すことによって株式市場からインセンティブを得ることができる
・マーケットメイク戦略
株式市場に流動性は供給することで、その取引費用を獲得する戦略
買い指値注文と売り指値注文を市場に出しておくことで両方の注文が約定すれば収益が獲得できる戦略である
これで取引を成立させるにはどうすれば良いか?⇨高頻度取引
板で、1つの待ち行列がなくなった時に並べば、一番速く前に並べる
ゆえに高頻度取引が重要になってくる
高頻度取引(HFT)
・コンピュータの処理能力を活用して、高速・高頻度に取引を行うことにより収益を獲得する市場参加者
・他者よりも速く注文を出すことによる利益獲得を狙った取引全般のことを指す
・高頻度取引のためのインフラ投資
1ナノ秒でも速くするために莫大な金額が動いている
高頻度取引はもはや、いくら投資できるかという勝負になっているのでここで勝負してはいけない
アルゴリズム取引
莫大な売買注文を処理するために、アルゴリズムを利用して発注を行うもの
・注文を分割発注をすることでマーケットインパクトを抑制しつつ、売買を行うことができるはずである
・本源的価値が変化しないときは一時的マーケットインパクトによって株価が動き、時間とともに元の価格に戻ることを繰り返す
トレーディング結果の評価
・1日の間での株式売買をどのように評価するか?
・TWAP(Time Weighted Average Price)
・VWAP
第7講
今回はより詳しく株式売買データを分析するコトによって得られる、株式売買の現状について話をする
株式売買と株価の変化について少し詳しく見ていく
短間隔注文が発生するきっかけ
どのような状況で短間隔注文が出るのか?
・集中して発生する傾向が見受けられる
⇨何かのイベントをきっかけに発生してそう
日本市場における注文間隔
超大企業の株では、注文の約半分は直前の注文から数ミリ秒以内に市場へと出ている
注文間隔の変化
・アローヘッド高速化による注文間隔の変化
・アローヘッド高速化によって注文間隔の短い山がさらに短い方向へ移動
アルゴリズム取引の研究
アルゴリズム取引の研究では、取引の特定方法がポイント
アプローチ1:発注サーバー情報などから売買主体を推定
アプローチ2:何らかの代替指標や特徴に基づき、取引を推定
・直前との注文間隔が短い注文に注目して分析してみる
日本市場における注文間隔
注文間隔の確率分布には多峰性が見られる
短間隔注文の特徴:比率の日毎の差異
・日によって短間隔注文の出方に違いがあるか?
→短間隔注文が出やすい銘柄は日によらず出やすく、日によって比率の水準が大きく変わることもない
板の状況を表す指標
・注文行動に影響を与えそうな情報を定量化
1.ハーフスプレッド
2.板の厚さ
3.約定回数
4.日中のボラティリティ
5.売買高
6.TOPIX100ダミー
これらはどれも有意に意味がありそう
短間隔注文の特徴:注文タイプ
短間隔注文はどのような注文を出しているのか?
キャンセル注文の確率が他注文より高い
キャンセル注文の多さは先行研究での高頻度取引の特徴と一致
短間隔注文の特徴:注文サイズ
短間隔注文はどのような注文を出しているのか?
1単位(注文がだせる最小単位)での注文の頻度が低い
長間隔での注文主体は、注文を細かく分割するニーズが強いことが示唆される
短間隔注文の価格形成への影響
短間隔注文は、板の変化や大きな注文をきっかけに発生している可能性が考えられる
以下のイベントが発生前後で注文間隔がどのように変化するかを調べてみる
・ビットアスクスプレッドの拡大
・最良気配における注文量の変化
・大きな注文や約定の発生
イベント発生と注文間隔
・スプレッド拡大直後に注文間隔が短期か
・考えられる短期化の原因
スプレッドが開いたことに反応して注文が集まりやすい
スプレッド拡大約定注文は大きなサイズの注文であることが多い
短間隔注文の偏り
・スプレッド拡大直後に連続的に生じる短間隔注文は、起点となった約定注文と同方向の注文である比率が高い
スプレッド拡大前後(売り約定)の価格変化
・スプレッド拡大後に
売買注文の反応時間に対するモデリング
・Hawkes過程
ランダムに発生するイベントを表現するためのモデル
イベントの発生するかの末いはイベントの発生によって変化されるようになっている
・多次元Hawkes過程
各イベントの発生強度が、過去に起きたイベントから受ける影響を表現できる過程
対象市場とデータ:売買システムのリニューアル
2015/9にリニューアルされ、高速化が進んだ
分析結果の味方
累積カーネルを通して結果を確認
累積カーネルの挙動は、コロケーション使用者と未使用車の差だと考えられる
高頻度取引とイベント・ニューす
・適時開示発表直後に注目
発表後1秒で価格は大きく動き、30秒程度で落ち着く
・企業の決算発表など、何らかのニュースイベントが起きると価格は急激に変化
・イベントに即座に反応するのはその銘柄のトレードに重要
第8講
決算短信のテキストマイニングによる企業評価
・機械に専門的なテキストを読ませる際の「読ませ方」の工夫について金融における実例を通じて学ぶ
・テキストを機械学習するための作業プロセス
1、辞書構築
2、分かち書き
3、要素抽出
4、分類
4、評価
難しいテキストほど、各プロセスで様々な工夫が必要となる
機械学習がハマるデータ
・機械学習とデータには相性が存在
・同種・多量のデータが相性が良い
テキストデータとデータ収集
・機械によるデータ生成ができるようなデータであれば、多量のデータを収集できるため機械学習に馴染みやすい
・テキストはこのような方法でデータを生成するのが難しいことが多い
形態素解析と分かち書き
・日本語を機械に読ませるためには分かち書きが必要
・分かち書きをするためには辞書を用いて形態素解析を行う必要がある
テキストの分析手法
・テキスト分析の金融分野における用途は今の所大きく分けると分類と評価値の付与の二種類
・分類:テキストを一定の法則に従ってグループ分けする、教師ありの2値判別モデルや、トピックモデルなどが該当
・評価値の付与:テキストの内容を定量的に評価する、強制やセンチメント分析などが該当
テキストは次元すうが非常に大きくなるので、少ないデータ数では分析手法に応じて適宜要素を絞って次元を減らしていく工夫が必要となる
テキスト分類
テキスト分類:あるテキスト群をその地ピックやテーマに応じて分類する
トピックモデルによる分類
・教師なしでテキストの分類を行う手法として地ピックモデルがある
テキスト特性の理解
・データ数が少ないテキストを分析するためにはその特性を理解し、目的に応じた工夫が必要
・財務諸表と企業価値
企業の価値は、これまでの企業活動の貯蓄(BS)と今後の収益性(PLなどから推定)するのが一般的
業績変化の要因
将来業績は企業を取り巻く様々な要因で変化しうる
全てを予測するのは不可能だが、多様なヒントが存在
業績の報告
企業の企業活動に影響を及ぼした要因と結果を決算短信等の財務報告で報告する
財務報告テキストの種類と特性
・財務報告:株主などのステークホルダーに対し、企業の財政状態及び経営成績などを適時適切に報告すること
・メインは賃借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本など変動計算書(SS)、キャッシュフロー計算書(CS)
⇨定量情報が主であり、企業評価の主たる情報源として活用されてきた
第9講 財務報告に含まれるテキストの分析
本日の流れ
・テキストの分類と決算短信
ーテキスト特性によるルールベースでの分類
ートピックモデルによる教師なし分類
ーSVMによる教師あり学習
・経営環境文の評価
ー単語の極性によるセンチメント付与
ー経営環境文の特徴にあった評価とは?
テキストを分類する場合は分類の目的に合う特徴好みを要素として抽出する
決算短信の作り
定量情報によるサマリー
経営成績・財政状況の概況
今後の見通し
注記
2017年3月以降決算短信様式の自由化に伴って内容の簡素化が可能になった
よって定型的な分析が難しくなった
文章のテーマに適した分析目標の設定
分析対象の文章の記載方法に一定のルールがある場合はルールベースで分類を行うことが最も簡単で確実な方法
トピックモデルによる分類
教師なしでテキストの分類を行う手法としてトピックモデルがある
トピックモデルは単語の共起性を利用して共起性の高い単語軍をどの程度含んでいるかによってテキストを分類する方法
どんなトピックかは自分で推定する必要がある
第10講 テキストの評価と業績予想
本日の流れ
経営環境文の評価2
・単語に対する極性付与と文章の評価
・イジングモデルによるモデル化
経営環境文と業績予想
・経営環境文の「自然さ」を何が表すか?
・業績予想の誤差に及ぼす効果の検証
極性辞書を用意して、極性単語をピックアップ
極性単語とイジングモデル
極性+1の単語を↑、−1の単語を↓とミナスと文章は↑と↓が連なっているように見える
イジングモデルは、隣接するスピンと外場との相互作用を記述
イジングモデルは相互作用項と外場項からなる
イジングモデルをテキスト評価に使う場合
相互作用項は、いいことと悪いことを交互に記載する傾向ならJは負?
外場項は、マクロ経済環境による圧力?
スピン鎖の長さを一定にするため、ブロックスピン変換をアナロジーを用いる
エネルギーは最もあるべき状態からのずれとも考えられる
まとめ
テキストの評価をするために物理学で利用されているモデルを利用してモデルを試作
金融では、様々な定量データ、分析手法が存在→テキストの評価結果に独自性があるか、慎重に検討する必要がある
有意性があるかどうかが重要である
なぜ回帰分析を使うかというと、統計的に有意であることが簡単に証明できるから
証明しないとあまり価値を見出せない
また、証明するときは他の指標も入れる必要がある
というのも、独自性を主張するため
どの企業に入るにしろ、データサイエンスの基礎を学んでおく必要がある
第11講
金融機関におけるデータ分析
お客:マーケティング
自社:リスク管理
経済環境:ファンダメンタル
市場環境:投資家の行動
マクロ経済学とは
数多くの人間の経済の営み全体を大雑把に見た姿を指している
一人の経済の営みや一企業の経済の営みを対象とする学問はミクロ経済学
マクロ経済学は集計量の系列データを取り扱う学問といっても良いかも
マクロ経済分析の準備
・景気循環
・物価とインフレ率
・株価・金利・為替
・マクロイベント
経済成長トレンドは周期の長い変動要因を反映しているとされるが、経済成長トレンド周りの景気循環は主として短期的な需要要因を反映している
日本銀行の目的は
1、物価の安定を図ること
2、金融システムの安定に貢献すること
第12講 なうキャスティング
ナウキャスティングとは何か?
・ナウキャスティングの背景
・マクロ経済統計の課題
・ナウキャスティングの手法
ナウキャスティングの背景
今のマクロ経済変数をリアルタイムに予測する方法論
日経平均株価、金利、為替などの経済データはリアルタイムに知ることができるが、GDPやCPIなどは通常半年以上後になって発表される
速報性に優れるデータを用いて、未公表の経済指標の働きを予測する手法の総称
ビッグデータの利用、統計モデルの利用など
色々なモデルがある