資料1-03 解題
#Vol.2
【資料1-03】
《解題》
原資料は、同じ表題の「vol.1」【資料1-02】に続く「vol.2」として編集・発行された小冊子で、体裁は「vol.1」と同様、B5判・孔版印刷(ガリ版刷り)・袋綴じ簡易製本(長辺ホチキス止め)。ページ数は20ページ(表裏表紙を含む)となっている。
発行日については、冊子冒頭の「はしがき」に「1969.7.26」の日付が記されていることから、時期的にはこの当日かそれ以後、夏休み中に設けられた登校日(部落問題に関する講演会など)に合わせて発行・配布されたものとみられる。
発行部数は不明だが、表紙に青色スタンプで付されたシリアルナンバーから推定すると、650部~700部かそれ以上とみられる。
本資料で「記録」が対象とする期間は、1969(昭和44)年6月25日の「講演会粉砕」事件に始まり、7月7日の警官隊導入に至るまでの“騒擾と混乱”の過程である。
これ以降、部落解放同盟による糾弾集会(7月10日)を挟んで全校的な高まりをみせた「期末テスト中止」をめぐる“豊高内部の「闘争」”については、上記「はしがき」では「第3巻におさめられる予定」との予告が記されているが、実際にはその後第3巻(vol.3)が発行されることはなく、当該時期の「記録」は、同年9月24日発行の「豊陵新聞」168号紙面上に掲載されることになる。[→【資料1-04】]
本資料の発行者については、「vol.1」【資料1-02】の《解題》で特記したように、同じく「豊陵新聞編集局・局員」有志。その“自主刊行物”として編集・制作され、限られた範囲で配布されたものである。
「記録」本文の作成に際しては、参加した局員有志が分担して取材・執筆に当たった。先の「vol.1」の時期とは異なって、いずれも豊高校内の各所において、一般生徒の目の前で次々と生起する出来事の全体を「記録」にとどめていくためにも、時々の現場に居合わせた局員相互間での頻繁な情報交換や取材メモの突き合わせといった“自主編集”体制が最高度に力を発揮したことは想像に難くない。
なお、以下では本資料の「記録」本文とは別に、7月7日の警官隊導入に関する主要各紙の新聞報道記事(同日夕刊)を【参考資料】として収録した。
いずれも、この日の衝撃的な「事件」により、一挙に「豊高紛争」の内実が一般に知られることとなった当時の時代情況を今に伝える、恰好の資料といえるだろう。(佐々木記)
資料1-03 解題
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