イギリスの特別なニーズ教育と学校図書館の関わり:社会背景と学校図書館調査事例をもとに
イギリスの特別なニーズ教育と学校図書館の関わり--社会背景と学校図書館調査事例をもとに
<Papers>Relationship between Special Needs Education and School library in England : Based on the social background and the case study of school library
イギリスの特別なニーズ教育に対して学校図書館が学校のなかでどのような位置づけで支援に関わっているのかを明らかにすることを目的とした。まず,文献調査で①社会背景,②社会と学校の関わり,③教育に関わる体制を軸に特別なニーズ教育と学校図書館の関わりの背景を明らかにした。 次に,事例調査として,イングランドの中等学校と初等学校のラーニングリソースセンターに携わるスクールライブラリアン8名を対象に①特別なニーズ教育に対するスクールライブラリアンの認識の程度,②スクールライブラリアンと他の職員との連携,③スクールライブラリアンが行っている支援についてインタビュー調査を行った。 その結果,学校職員の特別な教育的ニーズをもつ生徒に対する意識や職員間の密な連携は,イギリスの社会背景ともつながっていることがあきらかになった。多民族社会という状況のなかで,政府が教育を含めた社会の問題として「エクスクルージョン」対策に取り組んでいる。そして,学校図書館支援組織団体による支え,研修講座の支えがある。調査した学校図書館では,SENCO との連携を通して特別な教育的ニーズをもつ児童生徒への支援が行われ,それが,学校全体でのとりくみのひとつともなっている。
This study aims to survey the relationship between Special Educational Needs (SEN) and school libraries(SL) support in England. At first, I investigate the relationship between the society and the SL, as well as how SNE and SL are intertwined in the educational system through documents. Second, I interviewed eight school librarians who worked at learning resource centers of primary and secondary schools about three perspectives. ① The school librarians' understanding of SNE, ② Cooperation between the school librarians and their colleagues, ③ The school librarians' providing support on SEN. As a result, I found that these school librarians gave appropriate support according to various needs from the students with SENCO(Special Educational Needs Coordinator) and other school staff. Behind the SL support, there are social supports. ①The government work on the exclusion problems, ② Existence of the school library services, ③Availability of the teachers' in-service training. Due to these support circumstance, SL support could be one of the whole school approaches for the students with SEN.
<読み取りの視点:該当文章を読むうえで、どのような問いを立てるか>
まつど.icon
①なぜ学校図書館も含めた学校全体での支援の実践が難しいのか?
②なぜ学校図書館からの支援という発想がでないのか。
③なぜLDを抱える児童への学校図書館からの支援が必要なのか。
④学校教育だからこそできること、そして学校教育だからできないこと、卒業した後の支援の仕方は?
⑤読字障害でなくても、本を読まない人はたくさんいるが、支援を必要としているかの区別はどのように司書が判断すればいいのか。
⑥必要な配慮を誰のために用意するのか?リソース分配の問題
<読み取りの視点に対するポイント:あなたが立てた読み取りの問いに対する答え>
まつど.icon①そもそも本を読むことはマッチングから難しい。中学でLDだからよりレベルの低い本として絵本を紹介できた。むしろなんらかのハンデを背負った人に対する支援の方がやりやすいのではないか。むしろ、ある程度レベルが上がってくると、自力で探さないといけない(障害の有無を問わず、推薦が難しくなるのではないか)②③イギリスでは、マイノリティの比率が増加しており、多民族国家の側面があり、教育においても移民問題に対して対応する必要があり、「特別なニーズ教育」への議論が盛り上がったが、日本はそういった流れがあまりないから、ノーマライゼーションや特別な教育ニーズ、インクルーシブ教育に対する理解が少ない。だから学校全体での支援の実践が難しいし、研究の蓄積も少ない。 ④特別なニーズ教育 読み聞かせは、年齢で足切りされてしまう。本を読むこと自体が目的なのではなく、生きるのに必要な知見をどのように効率的に取得するのかという部分が重要なのであって、継続的なフォローとして、テクノロジーによるフォローなどをもっと前面化してもいいのではないか。たとえばオーディオブックの提供する。⑤教科教育の先生との連携。⑥余力次第。ベストエフォート。
<提言:著者のメッセージ(結論)>
まつど.icon学校図書館の場で実際に対応する図書館担当者が特別な教育的ニーズについての知識を体系だてて学べ、支援に関連した「図書館と情報活用スキル」と「資源と読書支援」についてのアイデアを整理して、現場に持ち帰ることは意義があり、学校図書館支援の支えのひとつになりうるのではないか。
<疑問・意見>
まつど.icon抱える問題を解決するのに、ド直球の本を薦める(そのために100冊ぐらい読む)みたいなことしても結局読まないような大人もいるわけで、そういうサイクルが回ってない大人にならないために、学校図書館がなにができるかというと楽しい読書経験を支援するぐらいがせいぜいではないかという気がした。探究学習のようなものは、やはり教科教育と連携するタイプの支援がより重要なのではないか。だから、評価を担わない教師の専門性から図書館に対してどんな印象をもつように変化したのかという部分が気になる。 自認として本とどういう付き合い方をするのが自分にとって望ましいのかというものを他者と共有するなどをしたときに、自分が本が読めないという状態をどう認識すればいいのか。
本を読むという習慣は重要なことなのだろうか?自分は最近までラノベを読めなかったが、読めないままでも問題はなかった。今はアニメを観るようになってから、続きが知りたくて手に取るようになってハマって、高校生のときは全然興味がわかなかったタイプの本も楽しめるようになった。あくまで娯楽である。ゲームと同じである。TRPGやアニメ、漫画などでも同じような概念が学べるならメディア論的な観点で達成したいことはクリアできるのではないか。そういう意味で、図書館が何を達成したいかという本質部分に戻って、いまいちど視聴覚資料などのあり方を考えるべきではないか。
たとえば評論文が読めるようになることで対話力が上がるので、本を読ませないという目標があったとして、これも小学生向けの本を紹介して読書サイクルがまわっていくのだろうか。面白いと思うのだろうか。とても疑問である(教科教育との連携が必要である)。 読むという行為は、書くという行為と関係がある。書くスピード、読み上げるスピードでゆっくり読むというだけでも読書が楽になるのではないか。
↑まつど.iconなんだか文章がおかしい
情報量が多いので年をとるとアニメや映画を観れなくなるという話とも繋がりそう。
学校図書館では対応しにくい部分、たとえば教科書をデジタル化して、個別でやさしめの教材も教科書にのせて個別授業などで対処しないと、読書への苦手意識はなくならないのではないか。
薬袋 善郎(著)『基本からわかる英語リーディング教本』 に構文解析をすることで、ほとんど文章が読めなかった生徒(チャーチル)が読めるようになったという話があるが、読字障害は改善が可能なのだろうか。思考をするうえで困らないのか。知り合いにも本や文字による情報伝達よりも、対話の方が得意という人がいて、本が読めなくても、そういう方面にスキルを伸ばしていくという選択もあり、TRPGなどは有用ではないか。自分にとっては、対話は効率も悪いし、ほとんど忘れるしで嫌いだけど。