Appleクラスルームについて
作成日:2021年5月24日 (更新:2021年5月29日)
対 象:学校ICT担当者向け
https://scrapbox.io/files/60ab9a5bf6c5ef001c770e8c.jpeg
Apple クラスルームとは、先生iPadのアプリ「クラスルーム」から、生徒端末の画面確認や、開くアプリの指定、データの共有ができるアプリです。
Apple 純正のアプリということもあり、動作は安定していて、痒いところに手が届いている印象があるにも関わらず、その活用はあまり聞こえてこないアプリです。
おそらく、設定が一筋縄でいかないのが原因でしょうか。
多治見西高等学校附属中学校ではこのアプリが縁の下で支えています。
https://scrapbox.io/files/60ac535721bf05001d877f01.png
生徒が開いているアプリや画面の様子を確認できることがお分かりでしょうか。
「オフライン」は同じWi-Fi環境にいない端末、「画面オフ」は端末がスリープ状態です。
さて、ここからはクラスルームを設定するための2つの方法を紹介します。
ご覧になっていらっしゃる方々のお役に少しでも立ちますように。
方法1:Apple School Manager(以下ASM)から設定する場合
以下の準備が必要です。
⓪ ASMに学校登録をする。(申請から認定まで数日かかります)
① ASMで生徒も先生も管理 Apple ID を作成し、そのアカウントでiPadへログインする。
② ASM上で管理Apple IDのクラス設定をする。
③ 先生側も生徒側もBluetoothをオンにしておく。
④ Wi-Fiがオンで、先生と生徒が同じWi-Fi環境内にいる。
⑤ 先生側のiPadに「クラスルーム」のアプリが入っている(生徒側はアプリ不要)。
⑥ 生徒側端末で先生の監視を許可する(プロファイルから強制的に許可させる方法もあります)。
これらの設定ができていると、クラスルームが使える、、、はずです。
特に大変なのは①、②です。
その設定方法は2つあります。
1つ目はCSVで生徒データやクラスデータを作り、それをSFTPツールでアップロードする方法です。
もう1つは手作業で1つずつ管理IDを作成し、クラス設定も手作業で1つずつ行う方法です。
しかし、どちらにしてもなかなか大変です。
Apple のサポートページもあるのですが、結構分かりにくいんですよね。
だから使っているところが少ないのでしょうか。
さて、設定ができたとして、現在の仕様と今わかっていることについて触れさせてください。
以前のクラスルームはMDMを利用するか、下で紹介する「方法2:手作業で設定」しないと使えなかったのです。
しかし、MDMなしでもできるように仕様変更されていました(いつの間に?)。
これぞ待ち望んでいた仕様変更!
そう思って共用のiPadをあれこれ開いたりしてみるのですが、、、あれ?
確認できるiPadとそうでないiPadがある?どういうことでしょう🤔
・・・ということで、ついでにいろいろと検証してみました。
教員機(iOS14.5.1)でMDM無し機を①、MDMありでASM先生情報あり機を②、MDMありでASM先生情報無し機を③とします。
生徒機(iOS14.5.1)でMDM無し機を❶、MDMありでASM生徒情報あり機を❷、MDMありでASM生徒情報無し機を❸とします。
補足) MDM・・・Mobile Device Management(遠隔管理システム)
学校の設定や指定アプリなどをネット経由で流すためのシステムのことです。
それぞれの設定からクラスルームで生徒端末の状況がわかるのかをチェックします。
<結果>
①と❶ → ○ ①と❷ → × ①と❸ → ○
②と❶ → × ②と❷ → ○ ②と❸ → ×
③と❶ → ○ ③と❷ → × ③と❸ → ○
なるほど🤔
MDMからのASM情報ありと無しが混ざっているときは認証しないらしい。
確かにAppleの公式ページには、「管理対象Apple IDおよびモバイルデバイス管理(MDM)ソリューションで「クラスルーム」を使用することもできます。」とある。
「および」とは、そこで「切り分ける」と捉えれば良いのかな?
個人的にはきっとAppleはこの方向にアップデートしようと考えているという読みが当たったので嬉しいのですが、色々考えることは増えました😅
このクラスルームの仕様に、iOSのバージョンがどこから対応しているかを確認したところ、生徒端末がiOS13.5以降から対応しているようです。
教員用端末は最新版の方がいいのかな。
少なくとも教員用端末はiOS14.5.1 で可能なことは確認しました。
https://scrapbox.io/files/60ab9a1605947e001c5fa852.jpeg
生徒に「ああ、表示が変わったね」と言ったところ、「え?どこですか?」
おや?生徒には気付きにくいのかな?
監視中は生徒iPadの、Wi-Fiマークと充電マークの間にクラスルームマークが表示されるようですね。
なお、教員が生徒の画面確認中はAirPlayのマークが表示されます。
加えて、ASMのクラス設定をしておくと、Apple のスクールワークも正常に使えることを確認しました。
方法2:手作業で設定する
ASMが使えないという場合は、手作業でクラスルームを設定する方法もあります。
その方法を以前、動画にしましたので紹介しておこうと思います。
こちらの手順は
① クラスの設定をする(動画をご参照ください)。
② 先生側も生徒側もBluetoothをオンにしておく。
③ Wi-Fiがオンで、先生と生徒が同じWi-Fi環境内にいる。
④ 先生側のiPadに「クラスルーム」のアプリが入っている(生徒側はアプリ不要)。
⑤ 生徒側端末で先生の監視を許可する(プロファイルから強制的に許可させる方法もあります)。
https://youtu.be/rHPVxX2QXnk
(最後の注意4の部分の補足)
動画を作成した時点では、手動でクラスルームを設定するとスクールワークが使用できなくなっていました。
しかし、「スクールワークの設定ができている」=「方法1ができている」の意味なので注意4は不必要になりました。
別件です。
MDM以外はどれも無料でできます(MDMも頑張れば千円ちょっとでできないこともないらしい)。
しかし、iPadの台数が増えると方法2の手作業で設定はあまり現実的ではないかもしれませんね。
2021年5月(?)アップデート
クラスルーム:バージョン3.4.1 より、教員機と生徒機が同じWi-Fi環境下にいなくてもモニタリングできるようになりました。
https://scrapbox.io/files/60b1fe41ff9ce300225a87b7.jpeg
教員のクラスルームアプリで、生徒を選択すると「接続」が増えました。
教員と生徒が同じWi-Fi環境内にいない時に、これをタップすると、生徒を呼び出します。
下の写真は生徒機です。
https://scrapbox.io/files/60b1feb5b0e1280022b81380.jpeg
プロファイルでクラスルームの監視を強制許可していても、別Wi-Fiからのアクセスの場合は生徒自身の承認が必要みたいです。
当然だとは思います。
生徒が家にいてiPadの画面を本人の許可なく見ることができてしまったら、先生にとっても生徒にとっても良いことはないでしょう。
続けて、生徒iPad画面の確認をしてみようとすると、
https://scrapbox.io/files/60b1ff53b8533a001c5493ef.jpeg
さらに許可が必要になるようです。
二重でロックをかけてある感じですね。
あ、承認と許可が必要なのは毎回かどうかを調べるのを忘れました。
また次回調べます。
以上、Apple のクラスルームについてでした。
結構わかりにくい内容だったと思います。
もしかすると、Apple School Manager を使えるようにすることが最大のハードルかも??
どこかで見かけたのですが、「これからのオンライン授業の形を考えると、同じWi-Fi環境下にいなくてもクラスルームを使えるようになるかもしれない」と。本当にそうなっていくのでしょうか?そこまで見えなくてもいいような気がしますが、、、とはいえ、今後の動向は注目しておきたいです。
2021年5月(?)のアップデートでほんとにそうなりました😅
<後日追記> 一応、Appleサポートページのリンクも貼っておきます。