追記的週報 【2026年第9週/第10週】
【0663】 『データを正しく見るための数学的思考』 ジョーダン・エレンバーグ(日経BP 2015)という本¹ が気になる。704頁(かなり厚い)。原書タイトル=『How Not to Be Wrong: The Power of Mathematical Thinking』(まちがわない方法――数学的思考の力)。著者が詩人でもあるというところにグッとくる。そして、翻訳書の書誌ページに記載された惹句 〈『ファスト&スロー』 の数学エッセイ版〉 という文言にも。➣Quatna magazine のサイトに、著者をフィーチャーした記事² がある。
¹ https://bit.ly/3OCfah4
² https://bit.ly/3uxBicp
【0658】
◉𝕏 の運用のしかたを変えてみることにする。
◉科学誌(ジャーナル)に掲載される新知見の軍事利用の応用については生成AIは語らない(出力しない)ことを知る。
◉『地球全史スーパー年表』(岩波書店2014)⁴ はデスクの前に貼ってあり重宝している。そろそろ改訂版を出してくれるとうれしい。
◉写真ファンが展覧会を日々ハシゴしてそのインプレッションを投稿するような試みを探す。
◉今、「科学マンガ」をものしている描き手はどこにいるのか?
◉愛用するボールペン 「エナージェル」(ぺんてる)の新シリーズ³ が発売されることを知る。
◉「わが家のトランプ」 というフレーズ。
◉『フィールドワークのちから 「いまここ」 を抜け出す人類学』(亜紀書房2025)² を読みすすめる。248頁。ティム・インゴルド入門としても読めそう。
◉生成AIとの対話において、ワンターン(=1回のやりとり)で興味深い出力が得られるわけがない(自己への戒め)。
◉『中学校学習指導要領 〈平成29年告示〉 解説 理科編』¹(紙版)を読む(というか漫然と眺めていく)。使われている文体にも慣れてくる。 #zap
¹ https://bit.ly/494fb5B (PDF)
² https://bit.ly/48IfEJQ
³ https://bit.ly/4aT7KNI
⁴ https://bit.ly/2YU5ulY
【0662】 ネイチャー 2026-02-26号¹ のカバーストーリーのコピーは、「A MANNER OF SQUEAKING」――「squeaking」は、「キーキー鳴く」「きしむ」「チューチュー鳴く」といった意味。このコピーはもう何かの地口でしょうと思って、生成AIに尋ねたところ、案のじょう、"a manner of speaking" という英語の定型表現――「言ってみれば」「まあ比喩的に言えば」の意――が元ネタのもよう。➣「きしみ音の発生のしくみ」 に関する論文がこの号に掲載されていることに関係する。「きしみ音」 の例として研究者が対象としたのが、「バスケットボールシューズが滑らかなガラス板の上をすべる様子」 とのこと(「キュッキュッ」というあの音)――だから、カバーイラストはバッシュ?の裏側の写真ということになる。➣論文タイトルは、「軟質材料と硬質材料の間の摩擦界面における「きしみ音」」(Squeaking at soft–rigid frictional interfaces)² というもの(何やらむずかしげ)。解説記事はズバリ、「バスケットボールシューズできしみ音が鳴る不思議な機構」³。こちらをまず読む。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4aXlh75
² https://go.nature.com/3MT1KfT
³ https://go.nature.com/4aNYD0H (PDF)
【0661】 『フィールドワークのちから 「いまここ」 を抜け出す人類学』(亜紀書房2025)¹ を読みすすめる。第5章では、フィールドワークの現地でつけていたフィールド日記(の断片)が生の状態で収録されている。人類学者による未編集のフィールド日誌は以前から読んでみたいと思っていたテクストなり。➣同様に、「人類学者の手書きのノートを活字化したもの」 という触れ込みの、日本語で読める書物には以下の2冊の存在を確認している:①『フィールドノートⅠ 鶴見良行著作集 〈11〉』(みすず書房2001:402頁)² &②『フィールドノート II 鶴見良行著作集 〈12〉』(みすず書房2004:562頁)³。図書館で借りたものの、途中で読み止めてしまった案件。今なら読めるかもしれない――再び挑もう。
¹ https://bit.ly/48IfEJQ
² https://bit.ly/4cCRjUU
³ https://bit.ly/3XJhtBc
【0660】 外れ値(アウトライアー)に注目せよ――エイズを治癒に導く(かもしれない)新アイデアについて2本の論文がネイチャー 2026-02-05号¹ に掲載されている。アイデアの内容はとりあえずさしおくも、対象者が患者――マウスとかサルではなく――ということは、臨床応用もそう遠くはないという印象はまあ受ける。しかも2本の同時掲載だし。➣個人的にグッとくるのは詳細ではなく、新知見のそもそもの出発点にある。きっかけは2009年に報告されたひとりの感染者。このHIV感染者が白血病治療のために幹細胞移植を受けたら、その後、定番の抗ウイルス薬の服用をやめてもウイルスの増殖がぶり返さなかった(通常は服用をやめるとぶりかえす)。この人は 「ベルリン患者」(the Berlin Patient)というニックネームで呼ばれていて(まあドイツ在住者だったのだろう)、解説記事² には本名も明かされている。偶然見つかった、つまり外れ値的なひとりの患者をその後コツコツ調べていった先に今回の2本の論文の成果があるということになる。同じような構図は例えば――自殺率の低い地域(つまり外れ値)を調べていったら、自殺率を低める要因が推定されたとか――に通じる。この事例については一般向けの本⁵ にまとめられている。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4kmkMYv
² https://go.nature.com/4c94ikr (解説記事:PDF)
³ https://go.nature.com/4cKg6K2 (1本目:「複合免疫療法後のHIV-1制御の相関因子」)
⁴ https://go.nature.com/3OyBdFq (2本目:「CD8⁺ T細胞の幹細胞性はHIVウイルス血症の介入後制御に先行する」)
⁵ https://bit.ly/3ot0h3J (『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある』 岡檀(講談社2013))
【0659】 『遊べる、学べる、役立てる 地理院地図の深掘り』 今尾恵介(PHP研究所2025)¹ という本を図書館から借りてくる。192頁。漫然と眺めていて、この本は、購入して座右に置き、ゆるゆるとつまみ読んでいうべき本と判断する。➣書評² を見つける。
¹ https://bit.ly/4nURlxJ
² https://bit.ly/4hcj4HD
【0657】 『わたしたちの不完全な人生へ』 ヴェロニク・オヴァルデ(新潮社2025)¹ という本を読む。連作短編集。144頁(薄めの海外文学本はいい)。➣連作なので頭から読んでいく。語りのユニークさ、ときにくどさが心地よかったりする。登場人物の発言がカッコ書き(「……」)で表記されないのも印象的。➣ときおりふわっと差しはさまれる、〈人生の原理〉 のような軽めの、あるある的な、警句的な表現にグッとくる――例えば:
彼はもともと人間にはたいして期待していなかったので、失望することもあまりなかったのである。(p016)
崩壊するときも、成熟し開花するときも、人は物事がじわじわ進むのを好まない。雷のような一撃を、はっきりとした始まりを、特別な出逢いを、ぐるりと方向を変えるのを野込むのである。自発的に罪を赦したり方向転換するのが好きなのである。(p023)
ゼネストのとき運転しているのはいったいどんな人なのだろう、と彼女はいつも考える。(p027)
人の輝きにはどこか不可思議なところがある。それはかならずしも完璧に均整のとれた要素の組み合わせで生じるわけではない――それではいわば数学的な美しさになってしまう――それより不調和すれすれだが、そうはならない組合せから生まれるのである。(p125)
¹ https://bit.ly/3LewWW7
▶▶追記的週報 【2026年第7週/第8週】 https://bit.ly/3O3aTmA 【0645】~【0656】