追記的週報 【2025年第47週/第48週】
【0595】 NHKニュース 「エアバス機に不具合 全日空の国内線95便がきょう欠航」¹ に遭遇する。➣〔世界中で〕およそ6000機が影響を受ける可能性がある〔…〕という報道が正しくて、実際に航空機がこれだけの数飛ばないとしたら、一両日の地球の大気中のCO₂の量は減るだろうか? ➣のちにささやかな科学論文のネタになるのではと推測する。911のときには米国内で数日間にわたって飛行機が飛ばなかったと記憶しているけれど、その際には確か、論文となったはず。
【0594】 読まなければよかったと後で後悔する本がある、『楽しい終末』(文藝春秋1993)とか、『博士の愛した数式』(新潮社2003)の後半部とか、同じように書物の毒気に当てられる経験は誰しもするのだろうかと記憶をたどってみるに、大学時代に当時はやっていた落合信彦氏の著作を読んだ友人が「ソウルオリンピックは開催できないと思うぜ」などとつぶやいていたことを思い出す、ヤマダくんは今どうしているだろうか、今なら危険を感じた本は途中で読むのをやめる、といいつつも、ダークよりな本には相変わらずひかれるところがある、うつ病を発症した研究者の日記とか、サイコパスを自認する人の手記とか、後者は入手してパラパラやってそろそろ手放す段階に移行しつつある。 #発作的乱文 【0593】 『楽しい終末』 池澤夏樹(文藝春秋1993)¹ の再読を検討する。369頁。単行本版を若いころに手に取って、そのダークなトーンにアテられて、以後しばらく氏のテクストから遠ざることになる原因となった本。今なら突き放して読めるか。期待半ば。
【0585】
◉早朝、裏山(梶原あたり)でウグイスの鳴き声を聞いたような気がする。謎。
◉英語の文法書が好きだ。いま手元にあるのは、『関係詞の底力 英語を使いこなすためのマストアイテム』 佐藤ヒロシ(プレイス2011)⁶ という本。223頁。詳細目次⁷ も見つけた。◉生成AI(の有料版)を使い始めてから、Google検索の数が減ったことは明らか。◉この季節になると金属軸のボールペンの出番は少なくなる――冷たいから中指が。最近の普段づかいはエナージェルまたはフローチューンの芯(青色)を uniball ZENTO の軸に入れたペン。◉フードコートで勉強している若い人・年輩の人は何を勉強しているのかに興味を引かれる。◉科学誌サイエンティフィック・アメリカンは書き手がサイエンスライターの記事から読むようにしている。◉『理科年表』 が刊行される時節。この本を面白く読んでいる人の手記など読んでみたい。◉生成AI時代になって、「問い」 を作ることの重要性が高まっているとにらむ。◉『さみしくてごめん』(大和書房2025)⁵ を読みすすめる。エッセイ集。240頁。この本もタイトルで損をしているとみる。◉以前読んだ 『小さな天体 全サバティカル日記』 加藤典洋(新潮社2011)⁴ を再読する計画を立てる。本の途中でトーンが変わる(ダークになる)ことを思い出す。その直前までで読み止めることにする。◉朝のコンビニエンスストアでコピーを取る。脇にある新聞ラックが目に入る。スポーツ紙は人事まわりの記事が一面なのだな。ストーブリーグだから?◉誰も知らない/気づいていない/AIも提供できない 「おもしろさ」 を見つけて差し出すこと。◉サイエンティフィック・アメリカン 2025-12号³ の目次が公開された。◉スタイリッシュな歌を集めた歌集を探す。アンソロジーでも。◉「詩と科学の生まれるところ 大岡信 詩人 × 中村桂子 生命誌研究館副館長」² というウェブ記事に遭遇する。◉科学の基礎の基礎の記述を押さえておくべく、「中学理科用語集」 なる本を入手することを思い立つ。◉精神疾患から復帰した人の手記を読みたい。◉『明治大正史 世相篇』 柳田国男(角川ソフィア文庫2023)¹ をランダムに読みすすめる。736頁。初版は1931年(昭和6年)。だれか、「平成令和史 世相篇」 を(リアルタイムで)書いてくれないものか。 #zap 【0592】 『超新版 ティッピング・ポイント 世の中を動かす 「裏の三原則」』 マルコム・グラッドウェル(飛鳥新社2025)¹ を読みすすめる。400頁。➣ここでいう 〈裏の三原則〉 とは、原書のタイトルを見ると明らかであり、それは、①Overstories、②Superspreaders、③Rise of Social Engineering の三つである――それぞれ日本語で、①「空気感」、②「スーパースプレッダー」、③「ソーシャル・エンジニアリング」 と訳されている。似たタイトルの旧著 『ティッピング・ポイント いかにして 「小さな変化」 が 「大きな変化」 を生み出すか』(飛鳥新社2000)² でも3つの原則が挙げられていて、それは 「少数者の法則」、「背景の力」、「粘りの要素」 だったりする。➣2冊の本の内容は別ものであって、近刊が旧著の改訂版ということではない。このあたりややこしい。邦訳版のタイトルは別のものにすればよかった。たとえば月並みに、『還ってきたティッピング・ポイント』 とでも?
¹ https://bit.ly/4dLRJtZ (原書タイトル:『Revenge of the Tipping Point: Overstories, Superspreaders and the Rise of Social Engineering』) ² (原書タイトル:『The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference』)
【0591】 『世界一クールな気候変動入門 情報を正しく判断するために』 ジョン・クック(河出書房新社2024)という本¹ を入手。176頁。個人による書評ブログ² で遭遇した。➣マンガ形式で、ポップな筆致で気候変動問題まわりを説明している。意外と網羅的。翻訳も丁寧(とみる)。翻訳者の一人による学生向けの解説テクスト³ もウェブ上にある。➣初読時に感じたこと:ビジュアル本であり、ページ面がゴチャゴチャしていて、どこにメッセージの力点がおかれているのかよくわからない印象を受ける――でも考え直す。この本は、手元において、おりにふれて手に取って読むべき・眺めるべき本なのだ。つまみ読みが適しているような気がする。おそらく、手に取るたびに、別の角度から読めたり考えたりすることができるような気がする。繰り返して読むことで、科学的態度とは何か、とか、科学懐疑派の考え方などもわかるような気がする。一粒で二度おいしい本かもしれない。個人的には原書も手に入れたい。邦訳と比べて読んでみたい。
【0590】 再読時に途中で読み止めたい本は他にもある。例えば小説で、『博士の愛した数式』 小川洋子(新潮社2003)¹ という本も個人的にこの部類に入る。初読時には(まあ当然)最後まで読んでしまった。➣そろそろ記憶もうすれてきたので、素晴らしい前半部のみで読み止める計画を考える。心する。
【0589】 『死刑制度を問う 仏教・浄土真宗の視点から』(春秋社2024)という本¹ が気になる。194頁。『みすず 読者アンケート2024 識者が選んだ、この一年の本』(みすず書房2025)で2人が言及している本。➣もちろん、本の終わりに書かれてあるであろう結論から読む。著者は、浄土真宗本願寺派前門主。父親も先代門主とのこと――ということは世襲なのだろうか。そもそも、「門主」 って何? エラい(役職の)人?
【0588】 毎週刊行される科学誌(たとえばネイチャーとかサイエンスとか)の論文タイトルの解読を、自分のような素人が思い立ったときに、ひとつの方法として、そのタイトルすなわち研究の成果が「答え」となるような「問い」を生成AIに作成・提案してもらうというのはどうか?➣この試みを、ネイチャー最新号(2025-11-13号 https://go.nature.com/4pcjUXM )の3番目の論文 「複数の抽象化レベルにわたって機械と人間の視覚的表現を整合させる」 を対象に実行してみる。以下のプロンプトで始める: これを読んで、論文タイトル 「複数の抽象化レベルにわたって機械と人間の視覚的表現を整合させる」 が 「答え」 となるような、「問い」 の例を3つ挙げてください。ただし、当方は科学の専門家ではありません。
➣返ってきた出力は以下:
1. 機械学習モデルの視覚表現が、人間がものを見て理解する際の「細かいレベルから大まかなレベルまで」の階層構造とどう異なっているのか?
2. 人間と同じように「物体の種別」「カテゴリー」「抽象概念」といった複数のレベルで物を見分けられる機械モデルをどう作るのか?
3. 機械が人間と同じ視覚的理解を獲得することで、「未知の状況への一般化」や「環境変化への頑健性」はどのように改善されるのか?
◆ロールモデル思考には、ハラスメントの契機があるという論考について教えてください。
◆私小説や、ウエットなエッセイには今日でも一定の読者層があるようです。その理由はどのあたりにあると考えられていますか?
◆ある文章をあなたに提示して、それに「グルーヴ感」をつけることはできますか?
◆批評家の書くテクストには 「臭み」 が漂います。読み手の気分を落ち込ませることが多いと感じます。読み手として、ダークな心持ちにならないための読み方のtipsなど知られていますか?
◆国内の孔子学院の所在場所を挙げてください。
◆他人の愚痴を聞かされることのメリットを5つ挙げてみてください。
◆JICAが最近、国民に嫌われているように見えます。その要因は、原資が税金だということを忘れて、自身の活動の説明を怠ってきたことに対する批判の目がはっきりしてきたという見立てはできますか?
【0586】 「ホットスポット」 というワードは論文のタイトルでよく見かける――グッとくる。つまり、何らかの科学的現象が起こるときに、集中して発生する部位があるということを意味している。たとえば生物のゲノム上で、DNA配列に変化が起きやすい部位も 「ホットスポット」 と言える。ゲノムは 「のっぺりとした場」 ではなく、ところどころに 「ヒダ」 がよったデコボコした場といえることがわかる。だからこそ、変異が生じる部位に偏りが生じることになる。実に興味深い。――というようなことを、ネイチャー 2025-11-13号¹ に掲載された遺伝学の論文 「ヒト変異のホットスポットは精原細胞のクローン増殖を指し示す」² を眺めていて考える。この論文には解説記事³ もある。 #素人が科学誌をよむ