追記的週報 【2025年第45週/第46週】
【0584】 『行動を起こし、持続する力 モチベーションの心理学』(新曜社2011)という本¹ を読みはじめる。240頁。➣既存の心理学研究の内容を引いて、モチベーションの諸相についてまとめているというテイの本。➣でもちょっと待てよ、と思うのは、「再現性の危機」(replication crisis)という、心理学論文をめぐるスキャンダルが明るみになったのが2010年ころなわけで、この本で引用された個々の論文の信憑性は大丈夫なのか? という疑問が素人読者のアタマにもよぎる。本のどこかにそのあたりのことの言及はあるのだろうか。「まえがき」 とか 「まとめ」 のページをまず散らし読んでいくことにする。
¹ https://bit.ly/3WI6ozN
【0583】 『中学校学習指導要領 〈平成29年告示〉 解説 理科編』 文部科学省(学校図書2018)を図書館から借りてくる。183頁。このような本を手に取る人生になろうとは夢にも思わなかった。PDF版¹ が文部科学省のホームページで公開されているけれども、ここはやはり紙版で、行きつ戻りつして読んでいきたい。➣じつは、中学校の理科の教科書を入手したものの、最近の教科書はどうも、あまりにイラストやら図版やらが満載であり、目がチラチラする。そもそも各単元で、どのトピックの、どの側面が重要なのかが捉えづらく感じる。現役の中学生はどう感じているのか尋ねてみたくなるほど。➣その点、この学習指導要領本はほぼ文字だけであり、「科学的知見のどの側面を生徒に理解させるか」 という目的がいちいち書かれていて好ましい。ちょっと腰を据えて読む。
¹ https://bit.ly/494fb5B
【0582】 ジャパンタイムズ 2025-11-11号の一面見出しの、「JAPAN'S CLIMATE FATIGUE」¹ に目がとまる。環境問題の話。➣〈CLIMATE FATIGUE〉(「気候づかれ」)は、「気候(変動対策)まわりの言説につきあうことにもう疲れた」 状況を指しているとみる。記事では、気候変動サミットに日本の首相が立て続けに非参加という事実を受けて考察を展開しているもよう(記事の最後までは読めない)。➣似たような言葉に、「museum fatigue」(ミュージアムづかれ)という表現があることを思い出す。博物館・美術館でたくさんの展示物に圧倒されてぼんやり・うんざりしてしまうココロを指す。気候づかれでもミュージアムづかれでも、何度も同じトーンで繰り返されると、受け手は対象(気候問題やら展示物)について考えたく "なくなる" という人間心理が背景にあるのだろう。➣気候変動問題を訴え続けたい専門家やメディアのなかに、語り口を多様なものにしていこうとか、リバイズしていこうとかいった努力をしている向きはあるか。探してみたい。
¹ 元記事:「Want to fight climate change? Fight ‘climate fatigue’」 https://bit.ly/49RNahI
【0581】 NHKニュース 「米 ワトソン博士死去 DNA二重らせん構造発見でノーベル賞受賞」¹ に遭遇する。➣氏がなぜコールド・スプリング・ハーバー研究所を辞めるに至ったかのてんまつについては、記者は(当然)書いていない。➣読売新聞の記事には書かれている。
¹ https://bit.ly/3Xk2bS0
【0580】 『グラフィック・サイエンス 眺めてキレイ,読んで楽しい 実例で学ぶ科学のつたえ方』(日経サイエンス社2025)¹ と題する、科学誌 『サイエンティフィック・アメリカン』 に掲載されている見開き2ページの図版記事(の翻訳版)を1冊にまとめたムック本と出会う。128頁。藤沢のジュンク堂書店の理工書の棚で遭遇。➣毎号掲載されるこの記事は、PDF版から抜き出して拡大印刷してデスクの前に貼っておきたいものもある。最新号2025-11号² には、「動物の多様な移動形態を比較するグラフ」 が掲載されている――古典的なグラフの最新版というふれこみ。
¹ https://bit.ly/3WBa9pL (別冊日経サイエンス272)
² https://bit.ly/3JMZoO8
【0579】 ジャパンタイムズ 2025-11-05号の一面見出し 「PM and CDP chief debate Cabinet picks」 を、生成AIに頼んで正規の英文に直してもらうとこうなる:“The Prime Minister and the leader of the Constitutional Democratic Party debate the Cabinet appointments.”
【0578】 『サイコパス・インサイド ある神経科学者の脳の謎への旅』 ジェームス・ファロン(金剛出版2015)という本¹ の存在を知る。260頁。パスの自覚のある?研究者のメモワールのもよう――あまり類書がない。原書はこちら³。➣書評がネイチャーやサイエンスやサイエンティフィック・アメリカンに掲載されていないかと考えて調べてみるも見つからず。専門家集団からはスルーされた本なのか。➣サイエンティフィック・アメリカンのバックナンバー(2010)に 「サイコパスの心の中」(Inside the Mind of a Psychopath)² という記事がある。読んでみる。
¹ https://bit.ly/3X9veHX
² https://bit.ly/47quUe4
³ https://bit.ly/47AJsqa (原書タイトル:『The Psychopath Inside: A Neuroscientist's Personal Journey into the Dark Side of the Brain』)
【0577】 生成AIへの問い  #Q_for_ChatGPT:
◆◆「危険運転致死傷罪」の法解釈が近年ゆらいでいるということは、法を作る際の「立て付け」に不備があったことの証左となりますが、法学者たちのあいだでどのような反省の声が囁かれていますか?
◆◆「お前がいうな」というニュアンスが生まれることを防ぐ語り方にはどのようなものがあるでしょうか?
【0568】◉『真の独立への道 ヒンド・スワラージ』 M.K. ガーンディー(岩波文庫2001)はやはり手元に置いておくべき本であると考える。178頁。見つけて買おう。◉生成AIはけっこう、ハルシネーションを返してくる。◉最近の若手の批評家の方々は外国語に堪能だったりするのだろうかという素朴な疑問。◉オートエスノグラフィーを私小説として読む試み。◉『オートコレクト』 エトガル・ケレット(河出書房新社2025)² を読みはじめる。192頁。フラッシュフィクション33篇。◉『サイエンティフィック・アメリカン』 2025-11号¹ の冊子版が航空便で手元に届く。記事のラインナップを見て、なぜこの記事群がいま掲載されるのだろう? と考えてみたくなる。◉あえてタテ書きでメモを書くということ。 #zap
¹ https://bit.ly/46PgUKs
² https://bit.ly/4lMgb1K
³ https://bit.ly/3muvu2y
【0567】 夏目漱石は科学に親しみを感じていためずらしい作家のもよう。漱石の小説のなかから、科学の匂いを直接的・間接的に発する部分を抜き出して、それらを科学的思考・科学的営みの基本事項の説明とつなぐというプロジェクトを考える。➣『漱石、近代科学と出会う』(NHK出版2016)¹ という冊子(「NHKカルチャーラジオ 科学と人間」 のテクスト)をつらつら眺めていて思いつく。➣夏目漱石の作品は青空文庫で公開されている³。
¹ http://bit.ly/2dovX5t
² https://bit.ly/47mgcEP (参考)
³ https://bit.ly/47T1xB8
▶▶【2025年第43週/第44週】 https://bit.ly/47fYOjQ