追記的週報 【2025年第39週/第40週】
【0539】 NHKニュース 「ノーベル化学賞 北川進さん“何ができるか 説明していきたい”」¹ に遭遇する。➣クォーテーションマークで囲まれた部分に注目してみる。その意味するところは、「まずモノはある(できた)→これからその使い道(応用)を考えたい」 ということと解釈する。〈応用〉 のベクトルには当然、よいものもあればよくないものもあるはず。➣科学技術の進み方を考えるに、科学的成果の応用を考えるメインの勢力は、開発した研究者も初期段階では含まれるかもしれないけれど、まあ別の組織や人物となっていくことが普通であると考えられる。悪用された場合の責任の所在はあいまいになっていく。だからこそ、科学・技術への注視は続けていったほうがいいのではないか? という当座の結論。
➣【引用】 フォン・ノイマンが、ぼくの頭に吹きこんだ面白い考えがある。それはぼくらが今生きている世の中に責任をもつ必要はないというもので、このフォン・ノイマンの忠告のおかげで、ぼくは 「社会的無責任感」 を強く感じるようになったんだ。それ以来というもの、ぼくはとても幸福な男になってしまった。▶ 『ファインマン語録』(岩波書店2016)² p111
【0520】 ◉◉◉◉◉近く大きめの地震が来ることの予想について。◉『日本で山登りはじめました。外国人の私が感じる特別な魅力』(KADOKAWA 2025)を読みすすめる。224頁。➣著者の出身国 「ロシア」 の文言を意図的に隠している(ようにみえる)冒頭部の編集方針が切ない。コラム部分を飛び読みする。この本を読んで、自分も山に登ってみたいと読者に思わせれば勝ち。◉『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』 東野圭吾(光文社文庫2023)を読みすすめる。528頁。主人公は、人間の心理メカニズムを考察・利用して行動を決めていく地頭に/世間知に優れた男という設定。「探偵ガリレオ」 の人文系版とでも。◉『ハラスメントは連鎖する 「しつけ」 「教育」 という呪縛』 安冨歩+本條晴一郎(光文社新書2007)を再読リストに。331頁。やはり名著。◉スポーツ新聞が、自ら「新聞」ではないと宣言する時代が近いか。◉『細胞の分子生物学[原書第7版]』(メディカル・サイエンス・インターナショナル2025)が県立図書館に収蔵されたもよう。◉『地図なき山 日高山脈49日漂泊行』(新潮社2024)という本を同人の各氏に薦める。◉例えば十年前なら臭みを強く感じて読めなかった本が読めていることに気づく。成長の証か。◉最近書店で台湾関連の文学やその周辺の書籍(邦訳書)を少なからず見かける。どこかの組織/団体が仕掛けているのでは。◉「世界哲学」 に関するブックレット的なテクストを探す。薄めの新書でも。◉登山/冒険系の本を読むと、心を入れ替えたくなる(少しだけど)。日々の自己の生活の規範を再点検したくなる。◉若者のテレビ離れの要因を同メディアの 「プッシュ型」 というありかたから考察しているテクストを探す。◉雑誌 『ワイアード日本版』 の読み方を生成AIに教えてもらう。◉「シンギュラリティ」 という考えは、どのような証拠的な事実が背後にあるのだろうか?◉生成AIに日々問いを/疑問文を投げかけることに慣れてきた人は、現実世界においても他者に対して気軽に問いを投げかけるようになっていくのではないかという仮説。◉科学の(新)知見を語る際に、研究者個人にフィーチャーする以外の語り口が主流となるために必要な状況について考える。◉イエズス会と科学研究の関係について書かれた本を探している。◉気候変動対策に関して、人々の心に届く言葉を(例えば論理的に、例えば情緒的に、できれば両方で)発している人物を探す。海外にいるか。◉『ソロ・エコー』(講談社2025)¹ を読みはじめる。128頁。やはり小説はこれくらいの長さでないと。◉今イキオイのある雑誌を求めて書店へおもむく。現物を手に取り編集者の熱を感じることにする(if any)。◉生成AIを普段づかいしている/使い込んでいる人でAIとの対話をリアルタイムで公開している人を探す。◉「電通PRセンター戦略十訓」 という指針の存在を知る。生成AIで引っ張り出して読む。 #zap 【0538】 科学誌 『日経サイエンス』¹ の年間購読料金は17,300円/年であり、その本国版であり、今年の夏に自分が定期購読を延長した 『サイエンティフィック・アメリカン』(英語版)² の年間購読料金は(円換算されて)14,831円/年であった。ただし後者の場合、冊子版に掲載された記事は基本、ウェブでも読むことができる。この事実が何を意味するかといえば、テクストを翻訳サイトにかけることができて(曲がりなりにも)日本語に変換して読むことができるということである。『日経サイエンス』 の定期購読者は現在のところ、ウェブからその記事(日本語)を読むことはできない。というか、そもそもウェブ上に記事があげられていないようである。
【0537】 科学誌サイエンティフィック・アメリカン¹ のバックナンバーに、ある科学・技術トピックの記事が掲載されているかどうかは、同誌のホームページから検索することはできない。というか、検索窓そのものが存在しない――それについてはまあ見識のひとつかもしれないと個人的には考えている。➣しかし実際問題として、あるトピックに関する同誌掲載記事を読みたいという状況は出てくる。Google検索でも到達できないことはない。以下のようなクエリ文で行う:(例)site:scientificamerican.com "microfilm" ➣そして、Google検索よりかも簡易な検索法として、ChatGPT を利用するほうが早いことを最近認識しつつある。以下のようなクエリ文で行う:(例)「マイクロフィルムの技術について、当該技術の黎明期において、サイエンティフィック・アメリカンに掲載された記事はありますか?」 この問いに対する出力で、よさげな記事3本の存在(1947年、1985年、2007年)がわかった。
【0536】 朝のコンビニエンスストアに立ち寄る。ここは書店も併設されている。雑誌の棚で、『週刊新潮』¹ と『週刊文春』² を見かける。それぞれ510円/550円もすることを知る(驚く)。読むべきコラムの書き手を探して。買わず。
◉いわゆる「ファンブック」の類いを手に取る、未だファンではない人たちが感じる「恥ずかしさ」があるとして、その要因はどのあたりにあると考えられていますか?
◉「分人主義」を世の中に提案した人たちは、今日でも、当初と同様に分人主義をオススメしているのと言えるのでしょうか? 昔の自分の主張を引っ込めた「分人主義紹介者」はいますか?
◉「障害の社会モデル」の限界はどのあたりにあると考えられるでしょうか?
◉この時代のこの国において、長いあいだにわたって国民に内面化されてきたマインドセットのなかで、もう疑義を差し挟む時期にきているマインドセットがあるとして、それを5つ挙げてください。
◉「障害の医学モデル」を「障害の社会モデル」へと、認識を改めてもらえそうな声がけを5つ挙げてください。
◉政権が変わる世の中のドタバタのなかで、死刑囚の死刑の執行が行われるということはわりとよくあることと考えられますか?
◉「意識高い系」というレッテルを逆転させる呼び名を考えてください。くれぐれも揶揄的なニュアンスはいれないでください。
◉巨大な望遠鏡や粒子加速器や素粒子観測装置といった、莫大な国費を投じて作られた施設が、研究者の「オモチャ」に見えないようにする施策にはどのようなものがありますか?
◉政治家の世襲には、一般大衆にとって、どのようなメリットがあると考えることができますか?
◉自民総裁選の候補者5人のうち、いわゆる二世議員には誰が該当しますか?
【0535】 ネイチャー 2025-10-02号¹ の目次が公開された。「プログラム可能な再構成を示す、切り紙に着想を得たパラシュート」² という論文に注目する。日本の 「切り紙」 アートのテクニックを応用してパラシュートを作るという基礎的な研究。解説記事³ のリード文そのまま挙げる:「今回、平らな円盤に切り込み模様を入れることで、小さな荷物を運べるパラシュートへと変形させる手法が報告されている。これは人道支援物資の投下に応用できる可能性がある。」➣わざわざ、「人道支援物資の投下」 と記しているところが切ない。「パラシュート」 と聞いてふつう最初に想像するのは、輸送機から敵陣に降り立つ 「パラシュート部隊」 では? この研究は軍事利用も可能であると素人ながら考える。解説記事の書き手はその不穏な印象を読み手から逸らそうとしているようにみえる。
【0534】 NHKニュース 「自民党総裁選 「国会議員票」獲得へ各陣営の働きかけ激化か」¹ に遭遇する。書かれてある内容はどうでもよくて、5人の候補者の写真に続いて置かれている短い文章の 「文字数」 に注目してみる。カット&コピーしてワード上でカウントしてみると(3分もかからない)それぞれ、小林氏=137文字●茂木氏=126文字●林氏=121文字●高市氏=132文字●小泉氏=122文字、となる。こういった数字をどれだけ均せるかというところに書き手(たち)のドヤ感があるのだろうと推測する。
【0533】 文語文への興味から手に取った 『完本 文語文』(文藝春秋2000)¹ に続いて、『私の岩波物語』(文藝春秋1994)² と、同じ著者(山本夏彦氏)の本を立て続けに読む。図書館から借りて、単行本版で読む。文章のはしばしから、この著者は戦中期をややゴキゲンに生きた人のように感じる(ホントはそんなことないかもしれないけれど)。➣「世間知」 という言葉が二冊を読みつつ頭をよぎる。今日の書き手で同系統のスタイルの方はいるだろうかと考える。
【0532】 NHKニュース 「日本の研究力 研究者約9割“低下感じる”【NHKなど調査】」¹ に遭遇する。➣「研究力」 の定義を知りたい。具体的な対策がいくつも提案されているのだろうか。現状認識報告をまとめたような記事にみえる。アカデミズムの方々はもう自分たちでは何とも対処できないお手上げ状態と考えているのだろうか?(「どもならん!」)➣①「国内の研究者の適正数」 についてたとえば日本学術会議は算出したことはあるのだろうか? ②ノーベル賞の数はそもそも重要なのだろうか? などの疑問が浮かぶ。自分なりに調べる/考える。
【0531】 【0207】で言及したプリーストリー(Priestley)という18世紀の研究者について、サイエンティフィック・アメリカンに伝記的テクストが存在することを突き止める。とりあえず2本。自家データベースにダウンロード済みのバックナンバーから該当ページを抜き出してコピーして読むことにする。これだけ古い号だと、当時の編集サイドにレイアウト感覚が乏しいようで(3段組でフォントが小さく)、拡大コピーする必要がある(ちなみに➊は1ページ、➋は4ページの記事であった):
➊「Joseph Priestley」
著者:ジェームズ・パートン(James Parton)
内容:プリーストリーの生涯と業績についての伝記的な紹介。
➋「Joseph Priestley, LL.D., F.R.S., and the Discovery of Vital Air—Oxygen Gas」
著者:ベンジャミン・ウォード・リチャードソン(Benjamin Ward Richardson)
内容:プリーストリーによる酸素の発見とその意義について詳述。
【0539】 NHKニュース 「不在の三笠宮家当主は彬子さまに 母・信子さまは新宮家創設へ」¹ に遭遇する。同計画はいつ頃から進められていたのかという興味がわく。記事中にある、「去年11月に百合子さまが101歳で亡くなられてから〔三笠宮家は〕当主が不在になっていましたが、……」 という記述から、亡くなられる以前に当主は決定されていたのか/いなかったのか、という疑問が素朴に浮かぶ。お決めになっていなかったとしたら、その理由は奈辺にあるのだろうかという問いが次にたつ。詳細は取材していない(しても書かれていない)もよう。
【0529】 NHKニュース 「自民党総裁選は後半に 各候補者の動き(29日)」¹ に遭遇する。➣「書かれていないこと」 にこそ注目する。このメディアは、選挙戦の始まる前から日々の報道スケジュールを同党と相談の上で決めているとみる。なので、そのスケジュールに乗らない案件は 「ノイズ」 と判断されて深く報道しないことになる。現在、国民が最も注目しているのは、ある候補者陣営による 「やらせコメント」 問題であるのは明らかなのに、かようにスルーされてしまう。結果、報道に注目する人が少なくなっていく。残念。
【0528】 『数学がゲームを動かす! ゲームデザインから人工知能まで』 三宅陽一郎+清木昌(日本評論社2025)¹ を手に取る。232頁。➣『数学セミナー』 連載をまとめたもの。数学の上級者向けとみる。それでも、3人のインタビュー(第3/7/12章)は背景知識のない者でも興味深く読めた。特に第12章は啓発される部分多し。
【0527】 近所の市立図書館へおもむく。ちなみにラブホテルの真向かいに位置する。➣館に入り、入口付近にある新聞の棚から英字新聞を抜き取って、閲覧席へ向かう。ジャパンタイムズ 2025-09-26号の見出し 「Honda pulls plug on luxury EV」 に目がとまる。シャレが効いている。➣〈EV〉 は電気で走る自動車(Electric Vehicle:エレクトリック・ビークル)の略。その高級ラインということで 〈luxury EV〉。ホンダは、それを 〈pulls plug〉 するという――「プラグを抜く」(電気自動車だから充電が必要) という表現でもって、北米で販売中のラグジュアリーEVの販売中止/撤退を決めたというニュース。➣ビジネスページ(p.03)に掲載されている。
【0526】 『アリストテレスから動物園まで 生物学の哲学辞典』(みすず書房1993)¹ という本を図書館で借りてくる。428頁。この本は実は何度も借りている――そして読み通せていない。今回あらためて手にして、やはり厚いなという印象を受ける。「哲学〈的〉辞典」 と銘打って、生物学のそこかしこに登場する印象深い語を、著者独特のユーモアでもってくるんで説明する、というテイの本――収録項目はアルファベット順に174個。個々の項目の記述を半分くらいに圧縮して、ページ総数をせめて250頁弱にしたらもっと読まれた/読まれるのではないかとひとりの科学ファンとしては思うところ。さらに薄い紙に印刷してソフトカバーで。➣原書はどうなっているのだろう。原書 『ARISTOTLE TO ZOOS: A Philosophical Dictionary of Biology』² は、1983年にハーバード大学出版局から刊行されていて、320頁とある。オリジナルでも厚いな……。➣それでも、このテクストの文体には定評があるというウワサを聞きつけたので、今回こそ、まずは、「飛び飛び読み」 で食いついてみたい。
【0525】 『読書愛好家のためのガイド(Looking after Your Books)』 Francesca Galligan(The University of Chicago Press 2025)¹ という近刊が気になる。192頁。➣本好き人のブログ 〈Kaggsy's Bookish Ramblings〉² で紹介されている。➣海外の本好きのまなざしを知るのもいいかもしれない。著者はボドリアン図書館(どこにある?)の貴重書担当の司書とのこと。邦訳されるかもしれない。
【0524】 NHKニュース 「ハマス「別れの写真だ」人質の顔写真並べた画像 新たに公開」¹ に遭遇する。➣3日経って、このニュースが世間で(世界で)スルーされている(ように見える)ことがニュースといえばニュースになりうると想像する(ややこしい)。
【0523】 ネイチャー 2025-09-18号¹ には、バイオエレクトロニクス関連の論文が2本掲載されている。「バイオエレクトロニクス」は、生物学(バイオロジー)+電子工学(エレクトロニクス)の融合分野。そもそもそういう研究がなされる背景には、生体(動物でも植物でも)が「電気を発する」、or 「電気に反応する」 という仮説/前提があるはず。そして、その電気(だいたいは微弱な電気)をとらえる(=センシングする)ための装置としてのセンサーを開発したいという欲望が出てくる。➣この枠組みは、最近入手した本 『生命場〔ライフ・フィールド〕の科学 みえざる生命の鋳型の発見』(日本教文社1988)² と響き合うところがあるではないかと思い至ってうれしくなる。少しオカルト臭を感じる科学本として図書館から借りてきたもの。➣ネイチャー掲載の2本の論文のタイトルは、「動的バイオエレクトロニクス用の長期埋め込み可能な可動式ソフトマイクロファイバー」³ と 「マルチモードのセンシングおよび刺激用の高密度ソフトバイオエレクトロニクス・ファイバー」⁴ というもの。解説記事 「巻き上げ回路を利用したバイオエレクトロニクスインプラント」⁵ がある。こちらから読む。 #素人が科学誌をよむ 【0521】 NHKニュース 「自民総裁選 5人が共同会見 いずれも“経済対策の策定が必要”」¹ に遭遇する。同じページに、「“旧統一教会ハン総裁逮捕”影響力拡大で前大統領周辺に接近か」² という記事が掲載されている。➣5人の候補者のうち、過去に旧統一教会との関連が取り沙汰された人物がいるのかいないのか生成AIに尋ねてみる。
【0519】 【0475】で言及した学術誌 「ジャーナル・オブ・サイエンティフィック・エクスプロレーション」 について、『オカルトがなぜ悪い!』(ビイング・ネット・プレス2024)にも言及があることを知る(p051~)。『オカルトがなぜ悪い!』は 1994年刊行のムック本を再構成したもの。