追記的週報 【2025年第37週/第38週】
【0518】 科学雑誌 『日経サイエンス』 の発行部数が18,000部であることを知ってささやかに衝撃を受ける。数字の出どころは、メディア向け資料(と推測される)『日経サイエンス 媒体資料2023』¹。➣危険水域ではないかと感じる。つまり、いつ休刊が発表されてもおかしくない状況と推測する(そうでもないのか?)。なので、ひとりの科学ファンとして、勝手に同誌を――国内の一般向け科学誌の存続を――盛りあげるための策を考えて提案していくことにする。
¹ https://bit.ly/4pxx7uY
【0517】 NHKニュース 「石破首相 国連一般討論演説 “安保理は機能不全”改革訴え方針」¹ に遭遇する。➣退任が決定済みの首相が国連本部におもむいて演説をして(空)約束的な発言をして帰ってくるというお約束があるという見方がある。所属政党は問わず。だいたい環境問題まわり――国民的議論も何もないのに国としての温暖化対策の数値を上げてみたり。今回の方は何を口にされるか注目してみる。
¹ https://bit.ly/48nRrc3
【0516】 一般向けの科学誌サイエンティフィック・アメリカンやノーチラス、そして専門誌であるネイチャーやサイエンスからは毎日のようにメールでニュースレターが届く。短い文章で各誌に掲載された記事やら論文の説明をしてくれているらしい――「らしい」 というのはメールボックスに入ったそれらをまともに開いていないから。登録した当時は、研究の動向を短文でジャンル横断的に知るのも面白かろうと思っていたのだけれど、毎日積み上がっていくにつれて少々うんざりしてくるところがある。➣否、それでも科学系短文には大いに興味がある――素人に対して最新科学知見に興味を持ってもらおうとする文章の文体やら言葉選びやら導入やらには注目している。➣なので提案。その日々のメールを、端正にレイアウトしたPDF版をどこか作ってくれないものか。それなら、A4にプリントアウトして、ポケットにつっこみ、日常のおりおりに眺めるようになるだろう。 #素人が科学誌をよむ
【0515】 論文タイトル 「リチウム欠乏とアルツハイマー病の発症」¹ に遭遇する。ネイチャー 2025-09-18号² に掲載されている。➣こういう論文が出ると、リチウムを含むサプリメントの売り上げが伸びたりするのだろうなあと推測する。マウスを対象にした実験の結果ではあるのだけれど。リチウム塩が脳内でどのような作用を果たしているのかこそ気になったりする。ネタ的な報告とみることもできる。➣まずは解説記事³ を読む。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4mvMqll
² https://go.nature.com/46zBxJo
³ https://go.nature.com/3K5hqex (PDF)
【0509】 ◉現役の新聞記者のなかで、自らの書く文章の文体に意識的な方はおられるのだろうか?◉科学雑誌 『日経サイエンス』 の発行部数は18,000部であることを知る³。以前の認識では2~3万部であった。◉今日の 「サウンドデモ」 と、鎌倉時代の一遍上人が組織した 「踊念仏(おどりねんぶつ)」 の共通点について考える。◉「知的散文の創造」 と題する外山滋比古氏によるテクストが存在することを知る。『清水幾太郎著作集〈19〉』(講談社1993)に添えられた月報に収録されているもよう。◉「その本/この本は、○○について述べたものではない」 という情報のありがたさ。◉『ChatGPTを活用した英語論文執筆の基本 機械翻訳を併用した最強の手法』(化学同人2024)² を読みはじめる。152頁。➣裏メッセージとして 「論文は雑に読んで構わない」 がほのみえる。意を強くする。◉『作り方を作る 佐藤雅彦展公式図録』(左右社2025)¹ を読みはじめる。この図録は展覧会に赴く前に読むのが正解と判断。◉『三文役者あなあきい伝』 殿山泰司(講談社1974)。257頁。最後のページまでファンキーな文体であった。◉マニフェストという種類のテクストは、色気のある文体で書かれうる、否、書かれるべきと考える。◉スタインベックの 『キャナリー・ロウ 缶詰横町』 が復刊されないものだろうか。新訳でも。◉イメージと、それに添えられるキャプションが同等の価値をもっていると感じられる写真集を探す。◉サイエンスライティングこそ生成AIの応援を受けて作成されるべきテクストの最右翼なのではないかという仮説。◉図書館から借りてきた本に鉛筆で書きこみがある。消しゴムでせっせとまず消す。◉「落ち着いたアナキスト」 というような人は存在するのか。◉「オートエスノグラフィー」 という流行していると聞くスタイルのテクストを散文詩として読んでみるという構想。 #zap 
¹ https://bit.ly/3H4VizN
² https://bit.ly/4mKHcTJ
³ https://bit.ly/4pxx7uY
【0514】 『細胞から大宇宙へ メッセージはバッハ』 ルイス・トマス(Lewis Thomas)(平凡社1976)という本が気になる。215頁。➣医学雑誌に連載されたエッセイ29編をまとめたもののもよう。原書(1974)タイトルは、『The Lives of a Cell: Notes of a Biology Watcher』 というもので、文末の 「生物学ウォッチャー」 という表現にも惹かれる。図書館で取り寄せることにする。翻訳書においてどこまで原文における、流麗といわれる文体を日本語に移すことに成功しているかが大いに気になる。
【0513】 論文 「地震波で検出された火星の半径600 kmの固体内核」¹ に遭遇する。ネイチャー 2025-09-04号² に掲載されている。➣同じ号には非専門家向けの解説記事³ が掲載されていて、そのタイトルは、「「火震」が示す固体の内核の存在」というもの。➣「火震」 とは何か?――火星における地震のことを指すもよう。英語で 「Marsquakes」 と書かれている。すると、地球における地面の揺れである 「地震」 の 〈地〉 は、「地面/土地」 の 〈地〉 ではなく、「地球」 の 〈地〉だったのだ――というか、そもそも英語で地震のことを 「earthquake」 というから当然であった。➣今回の報告では、火星で絶賛活動中の探査機 「インサイト」 が測定した地震波、否、火震波を分析して、その伝わり具合から、火星の地下を実際に掘ることなく(そもそも不可能だ)、火星の地下(これが 〈内核〉)に固体部分が存在するのではないかという仮説を提出しているもよう。
¹ https://go.nature.com/4meUh6A
² https://go.nature.com/46iDue2
³ https://go.nature.com/481ATqr
【0512】 小説 『トラジェクトリー』 グレゴリー・ケズナジャット(文藝春秋2025)¹ を読みはじめる。176頁。芥川賞候補作。➣表紙のタイトル文字が印象的――カタカナを明朝体で記すと、レトロ感が出ることに気づかされる。➣『スティル・ライフ』 池澤夏樹(中公文庫1991)に併録された、「ヤー・チャイカ」 という小説に手触りが似ている。ときおり差し挟まれる、宇宙に関する記述に共通した雰囲気を感じるから? 読みかえすべく、書棚から引き抜く。奥付をみると1991年の初版。たしか最近の版は文字が大きくなっていて違和感を感じたことをおぼえている。➣『トラジェクトリー』 には、表題作ともう一篇の短い小説(「汽水」)が収められている。前者を読み終えたところで読みとめる。ここで、手元にある同じ著者の小体なエッセイ集 『言葉のトランジット』(講談社2025)という本² にスライドすることにする。224頁。➣併録された短編 「汽水」 を読む。こちらのほうが好みかもしれない。ラフィかディオ・ハーン/小泉八雲の伝記本を読みたくなる。探す。
¹ https://bit.ly/46uwN9g
² https://bit.ly/41lBhvz
【0511】 原始生命の進化に関する最初期の実験である 「ユーリー-ミラーの実験」 について、最近手にした科学新書 『生命の起源を問う 地球生命の始まり』(ブルーバックス2025)という本¹ に言及されていて改めて興味を覚える。「ユーリー-ミラーの実験」 は英語で 「Miller-Urey experiment」 と呼ばれているもよう。論文としては1953年のジャーナル(専門家向けの科学誌)『サイエンス』 に掲載されているらしいのだけれど、一般読者向けには、つまり、当時の 『サイエンティフィック・アメリカン』 ではどのように語られているのか知りたくなる。➣生成AIに調べてもらったところ、同実験ズバリについての解説記事は当時は掲載されていないようであったが(それはそれで興味深いことだけれど)、サイエンス論文が発表される直前の1952年にユーリー(Harold C. Urey)が7ページほどの記事 「地球の起源」(The Origin of the Earth)を執筆していることが判明した(1952年10月号²)。これはこれで興味深い。幸い、過去180年分のサイエンティフィック・アメリカンのPDFの入手は完了している。該当ページを拡大コピーして読んでみることにする。氏の実験に至るまでの思想を垣間みることができるかもしれない。
¹ https://bit.ly/3ISNMs0
² https://bit.ly/4meeARC
【0510】 生成AIへの問い  #Q_for_ChatGPT:
◉テクストにおいて、読み手にとって、よくわからない部分が出てきたときに、読み手が少し前に戻って読み直すということは、一見すると面倒な印象を受ける場合がありますが、むしろ、ときおり読みかえしては理解が深まることを誘う文体があるとして、それはどのような文体上の工夫が考えられていますか?
▶▶追記的週報 【2025年第35週/第36週】 https://bit.ly/4mUE1bO