追記的週報 【2025年第35週/第36週】
【0508】 週末の朝は、地域の少年サッカーチームまたは少年野球チームの練習の声が近くの広場から聞こえてくる。今日はサッカーの日らしい。声のほとんどは、大人であるコーチのもの。サッカーチームのコーチは複数いるようであり、一部は時間が経つにつれてエキサイトしてくるようであり、少年たちへの指示の声はすぐに怒号になるのもお約束。近所中に響き渡る。考えてみるに、年少時代にスポーツの練習を介して怒号を浴びた子どもたちは、長じて打たれ強い大人になるという仮説。
【0507】 がんにおいて、がんを構成するがん細胞の内側では、ゲノム(遺伝子の総体)が 〈倍化〉 しているという――けっこう乱暴な話だ。たとえていうなら、百科事典のある巻のあるページのある行の記述(情報)が必要なだけなのに、まずは百科事典のセットを複数発注してしまうようなもの――「百科事典」 でゲノムをたとえている。➣ネイチャー 2025-08-28号² に掲載されている論文、「卵巣がんでは継続的に起こる全ゲノム倍加が進化可能性と免疫を形作る」¹ に遭遇する。倍のゲノムを獲得したがん細胞は大量の/過剰な情報を手にすることになるわけで、周囲のさまざまな状況の変化にも対応できるようになると推測される――そりゃあ、がん細胞がさまざまに 「進化」 していく道も拓けていくというもの。➣「進化」 とはつまり、がん細胞が、研究者が予想もしなかった機能を獲得して発揮していくことと解釈できる。➣解説記事 「ゲノムの倍加が卵巣がんの進化を刺激する」³ から読んでいく。  #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4p3gpDu
² https://go.nature.com/4fTKf9m
³ https://go.nature.com/4pkyjC7 (PDF)
【0506】 英字新聞 「ジャパンタイムズ」 の印刷版の定期購読の可能性を探る¹――12か月80,450円、6か月42,650円、3か月22,500円、1か月7,500円。かなり高価格な印象。毎日おりこまれている 「The New York Times」 の部分は必要ないので、それを除いて配達してくれて半額以下にディスカウントしてもらえるとありがたい。➣もうひとつの国内英字紙である読売新聞系の 「ジャパン・ニューズ(The Japan News)」²の場合、定期購読の価格は、3665円/月。こちらは印刷版が 〈毎朝届く〉 というのがウリのもよう――ということは、日曜日も配達されるということ。ジャパンタイムズの場合、土日は 「週末版」 としてまとめられており、日曜に配達される版はない。ただ、ジャパン・ニューズについても、同梱されている米ワシントン・ポスト&英ザ・タイムズの特別編集紙面は必要ないので、省いてもらってディスカウント可能ならばうれしい。
¹ https://bit.ly/468YHpM
² https://bit.ly/3HOnMy3
【0500】 ◉生成AIを使うそもそもの心構えのようなメッセージを、老婆心とそしられつつもビギナーに伝えようとすることばを述べている人はどこにいるだろうか?◉近くのコンビニエンス・ストアにて、『週刊文春』の表紙イラストの描き手が変わっていることに気づく。◉クールな、そして色気のある文体で書かれた処世術集の構想。◉フィクションの登場人物について、だれそれが発達障害の恐れがあるのでは? という言及は、いわゆる 「アウティング」 にはならないもよう。ならば、物故者への言及はどうか。◉新聞の購読を検討したとして、①印刷版の配達&②ウェブ版の閲覧権、に加えて、印刷版については、広告部分を印刷しないで欲しいと考える。広告部分を白ヌキあるいは黒塗りにした版を配達してもらうことは可能だろうか。◉エッセイ(随筆)がブームだときく。匿名で書かれるエッセイというものは存在するだろうか?◉作製した電子書籍を多くの読み手に読んでもらいたい著者/出版元は、コレは!という読み手候補に、その電子書籍を読める環境をプレゼントすれば/送りつければよいのではないかという仮説(時限的でも)。◉アーカイブ事業を盛り上げるためには(そもそも知ってもらうためには)、未だ成長途上の/未完成の/とりあえずの/当該アーカイブを日々使って何か楽しそうなことをしている利用者の姿が可視化されるべきではないかという仮説。◉『ヴォイニッチ写本 世界一有名な未解読文献にデータサイエンスが挑む』(星海社新書2024)² を読みすすめる。192頁。「謎を解明した」 という報告*ではない*。◉『生成AI時代の言語論』(左右社2025)という本に収録されている、「対談|生成AIとはなにか?」 は、一方の対談者のみの発言部分を続けて(まとめて)読んでいくほうがグッとくる。◉「子育てに失敗した(かも)」 という、世の親による嘆き/つぶやき(心のなか)の陰画的発言が、子による 「親ガチャに外れた」 という表現なのではないかという仮説。◉『南洋通信』 中島敦(中公文庫2019)¹ を入手&読みはじめる。284頁。解説を池澤夏樹氏が書いている。◉詩を書く人であって、詩行をつむいでいるという意識すら本人には希薄で(そもそも自分が詩人である意識も)、ただただグッとくる言葉/の並びを日々試行錯誤している書き手を探している。SNSに生息している可能性が高いか。◉生成AIの使い方をジュニア向けに指南した本を探す。 #zap
¹ https://bit.ly/4oQHObL
² https://bit.ly/41QQLZ6
【0505】 たとえば専門領域の、たとえば最新の科学誌/ジャーナルに掲載された専門的内容のテクストを、いかにして専門家ではない素人(科学ファンといってもいい)が楽しめるか、という命題がある。そして、その案をいくつか生成AIに考えてもらうことを考えてみる。➣具体的に記していく:例として、ネイチャー最新号(2025-08-29号)¹ に掲載されている論文で、「コンゴ民主共和国における都市ガリーのマッピング」² というものがある――発表されたてのホヤホヤの論文。この論文をいかにして素人が楽しめるか、そのヒントを得るべく、以下のようなクエリを生成AI(ChatGPT)のプロンプト入力欄(チャット欄)に投入する:
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以下のURLは、ある科学論文のアブストラクトを指定しています:https://www.nature.com/articles/s41586-025-09371-7
これを読んで、専門家ではない科学ファンが、論文本文を読みたくなるための 「きっかけ」 となる状況を、日常生活における気づきとして、5つ提案してください。日本語で出力してください。
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➣返ってくる出力をどう読むかは問う者しだいだけれど、とりあえず、常識的なものは返ってくる――ヒントとして使える。そこから先にどう考えるかが問われてくる。
¹ https://go.nature.com/4fTKf9m
² https://go.nature.com/4oVHo3M
【0504】 「前生物化学」 という学問ジャンルが存在する――つまり、生命が出現する以前の地球上における生物過程の誕生そのものを考える学問。言い換えると、生物過程に必要な酵素群が進化する以前の、まさにその酵素やら核酸といった分子部品の*枝葉*が整っていく世界を考えるということ。生物が登場する「前」の分子群の合成(つまり「化学」)を探求するから 「前生物化学」 と呼ばれる。➣そもそも、そうした分子群の誕生(生物の誕生ではない)に至る試行錯誤が 「どこ」 で行われたのだろうかという疑問がわく――どこかの海水中? それとも水たまりのなか? 濡れた岩石の表面? ものごとの 「はじまり」 を考えるのは、そのアイデアが証明できなくても楽しいところがある。➣論文のタイトルは、「水中でのチオエステルを介したRNAアミノアシル化とペプチジルRNA合成」¹ というもの。ネイチャー 2025-08-28号² に掲載されている。解説記事 「初期地球でペプチドが形成された仕組み」³ も読める。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/41w9lVT
² https://go.nature.com/4fTKf9m
³ https://go.nature.com/4g3jI9M (PDF)
【0503】 論文タイトル 「コンゴ民主共和国における都市ガリーのマッピング」¹ に遭遇する。ネイチャー 2025-08-28号² に掲載されている。➣〈ガリー〉 とは初めて耳にする用語。解説記事 「都市におけるガリー形成の人的被害」³ をチラ読みすると、地面が大規模にえぐられる地質学的な自然災害であることがわかる。「浸食」 の一種のもよう。日本ではあまり聞かない。途上国において、道路などを急ごしらえで、事前に十分な土地調査なしに進めてしまうと、ガリーが起きてしまうように読める。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4oVHo3M
² https://go.nature.com/4fTKf9m
³ https://go.nature.com/4oVHtEC (PDF)
【0502】 海外ニュースの読み方が変わってきたという仮説:国内のニュースサイト(新聞や放送局)に記事が掲載されるのを待つのではなく、現地のメディアのサイト(たとえば放送局のもの――新聞は有料のことが多い)を訪れて、そこで Google 翻訳なりを実行して、その出力(日本語)の全文をザラ読みすることが普通になってきたのでは? 特にストレートニュースのたぐいなら、「翻訳サイトを介した場合に発生しうる誤訳」 への遭遇の可能性も低いと想像するし、そもそも記事がAIで書かれる時代である(だから読み手による誤読の可能性を低める操作をメディア側がしているはず)。
【0501】 行動遺伝学という学問領域が最近とみに鼻息が荒い印象を受ける――人間の行動や心理の個人差に関して、これまでは環境の影響が強調されることが多かったのに対して、「遺伝」 の影響も積極的に見ていこうとする学問。性格とか知能とか精神病などに、遺伝の影響があるという立場をはっきりとる。➣ネイチャー 2025-08-21号² に掲載されている論文¹ に付されたハイライト文³ のタイトルが、「親の因果が子に報い」 というもので、こういう表現は以前はわりとタブーだったような気がするが、もう科学誌にさえ大っぴらに登場する時代であることにささやかに驚いているところ(自分だけ?)。➣論文の趣旨は、「太っている妊婦の子どもは将来病気(脂肪肝)になりまっせ!」 というもの(マウスの研究だけど)。論文のタイトル:「母親の肥満によるクッパー細胞のプログラミングが脂肪肝疾患を誘引する」¹。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/47PTRjn
² https://go.nature.com/4mQ7x2b
³ https://go.nature.com/4fQSrak
【0499】 英字新聞の見出しに興味がある。見出し英語の破格性に惹かれる。その詩学/韻文性にも。なので毎朝ジャパンタイムズの一面の見出しをチェックしている。どういうふうにチェックするかというと、世界の新聞の一面ばかりを日々更新する FRONTPAGES.COM というサイト¹ があって、そこに日本の新聞が3紙登録されていて、そのひとつがジャパンタイムズ² だったりする(ありがたい)。➣できれば毎朝、グッとくる見出しに遭遇したいものだけれど、最近はそうそうヒットが出ない。こちらの目が肥えてきたこともあるのかもしれない。➣ほかにも見出しが面白い新聞がないか探していて、その1つとして出会ったのが、『ジ・オニオン』(The Onion) という米国の新聞――諷刺新聞とのこと。残念ながら、FRONTPAGES.COM には登録されていない。でもウェブサイト³ はある。しばらくはここも日々回遊していく。
¹ https://www.frontpages.com/
² https://www.frontpages.com/the-japan-times/
³ https://theonion.com/
【0498】 虫には擬態(ぎたい)の効果を利用している種がある。つまり有毒な別の種に自分の模様が似ていることで、捕食者(鳥とか)に食べられることが防がれているという構図。進化の過程で、擬態を手に入れた種は生き残ってきたことになる。➣そうした虫(ここでは、あるスズメバチ)が有毒種にどのていど 「似ている」 ならば、擬態作戦が有効なのかを調べた研究が行われていて、ネイチャー 2025-08-21号² に掲載されている。興味深いのは、実験において3D印刷の技術が使われていること。つまり研究者が3Dプリンターでスズメバチの複製品を作って、それを敵に見せて、模様の微妙な差の有効性を見極めている。つまり、少なくとも捕食者は複製品を見て反応する(あるいは反応しない)ことがこの研究からわかる。➣論文のタイトルは、「3D印刷された刺激を用いたベイツ型擬態の適応地形のマッピング」¹。解説記事 「3D印刷が昆虫の擬態を調べる新たな手法をもたらす」³ をまず読む。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4lFbuWr
² https://go.nature.com/4mQ7x2b
³ https://go.nature.com/3JpOoG9 (解説記事:PDF)
【0497】 生成AIへの問い  #Q_for_ChatGPT:
◉日本学術会議の会員であって、一般市民に向かって、積極的に学術の重要性について語っている人は誰ですか?➣➣なぜ大衆にむかって発言する人がいないのでしょうか?
◉時差ぼけを治そうとするために、そもそもクスリに頼ろうとする構えが誤っているのではないか? という意見をもっていそうな識者はいますか?
◉文芸誌には独特の「臭み」があるという意見があります。そのでどころはどのあたりにあると考えられていますか?
◉発表前のプレスリリースの文章を ChatGPT で翻訳させると、プレスリリースの内容が世の中に漏れてしまうことになりますか?
◉マスメディアにおいて、ファクトチェック系記事を書くのは新人記者が多いような気がしますがどうでしょうか?
▶▶追記的週報 【2025年第33週/第34週】 https://bit.ly/4mfUvLI