追記的週報 【2025年第25週/第26週】
【0452】 NHKニュース 「イタリア PFAS汚染で化学品メーカーの日本人3人などに有罪判決」¹ に遭遇する。記事ではその化学品メーカー(2018年に倒産しているもよう)の名前は開示されていない(親会社が三菱商事であったことは書かれている)。一方で、同件に関する、ジャパンタイムズの記事² では企業名が書かれている。
¹ https://bit.ly/3ZTUZOr
² https://bit.ly/4kewIcY (Three Japanese nationals found guilty over PFAS pollution in Italy)
³ https://bit.ly/44NcFNp (イタリア語版ウィキペディアのエントリ)
【0451】 新しい研究者集団 〈極端気象アトリビューションセンター〉(WAC)¹ の存在を知る。何をする組織か?――極端な気象現象への地球温暖化の影響を分析する新手法――「イベント・アトリビューション」――を武器に公に見解を述べる組織とのこと。知ったきっかけは英字新聞の記事²。組織の発足に関する記事がNHKニュース³ で既に出ている。➣この新手法のテクニカルな側面が知りたいと考え、行き着いたのが以下の本:『極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか 気象のしくみを理解し、地球温暖化との関係をさぐる』(化学同人2021)⁴。少し古いけど。読んでみる。第5章 「近年の豪雨は地球温暖化のせいなのか?」 のなかに 「イベント・アトリビューション」 の文言が見える。➣そしてもちろん、サイエンティフィック・アメリカンで記事を検索してみる――以下の4本の記事が有望:
➊「その災害は気候変動のせい?」⁵
❷「温暖化と災害を結びつけるアトリビューション・サイエンスが進む」⁶
❸「気候と災害をリアルタイムで結びつける新たなサービス」⁷
❹「個々の自然災害の原因を気候変動に求めることができる」⁸
¹ https://weatherattributioncenter.jp
² https://bit.ly/4nkvDTK
³ https://bit.ly/4nka5qh
⁴ https://bit.ly/4kZa61i
⁵ https://bit.ly/3T6LXtB (When Disaster Strikes, Is Climate Change to Blame?)@2023-06-01
⁶ https://bit.ly/4nePJPf (Attribution Science Linking Warming to Disasters Is Rapidly Advancing)@2022-06-03
⁷ https://bit.ly/44kEAnw (Emerging Services Aim to Link Climate to Disasters in Real Time)@2021-12-17
⁸ https://bit.ly/44fu6Wq (Scientists Can Now Blame Individual Natural Disasters on Climate Change)@2018-01-02
【0450】 科学誌 サイエンティフィック・アメリカン の最新号が手に入ってまず注目する記事は、ジャンルは問わず、書き手が編集部員かフリーランスのライターによる記事だったりする――つまり研究者が書き手の記事ではない。また、一人称的に書かれている記事にも注目して読むようにしている。 #素人が科学誌をよむ
【0449】 『夜間飛行・人間の大地』 サン=テグジュペリ(岩波文庫2025)¹ を少し前に入手し、デスクのそばに転がしておき、おりにふれて手にとって考えたこと:特に 「人間の大地」 編は、たまたま開いたページの、たまたま目についたパラグラフ(のみ)を飛び飛びに味わうような読み方が向いているのではないか――通して読もうとするよりも、ということ。パラグラフを詩の一節のように読むというか/しがむというか。
¹ https://bit.ly/4jDAlda
【0448】 NHKニュース 「20億年前の地層から採取の微生物 鉄さびで呼吸か 東大など」¹ に遭遇する。➣前提として、20億年前(原生代)はどういう時代だったか?――「最古の生物化石」(35億年前)と「多細胞生物の出現」(6億年前)のあいだ²。だから、生き物は微生物(というか原始生命体?)として存在していた時期にあたると推測される。動物も恐竜も、ましてや霊長類など登場するはるか昔の話、というところが重要(記事には書かれていない、一般常識?)。➣「鉄さびを利用して」 ということはどういう意味合いか?――微生物の呼吸反応の 「触媒」 として鉄化合物が利用されていたということ?➣『冥王代生命学』(朝倉書店2022)⁵ における同時代に関する記述を読み直してみたくなる。
¹ https://bit.ly/4n9LqEX
² https://bit.ly/2YU5ulY (『地球全史スーパー年表』 日本地質学会=監修(岩波書店2014)による)
³ https://bit.ly/448ugyR (研究室のHP)
⁴ https://bit.ly/4bQDGkv(NHKニュース:“20億年前”地球最古の微生物? 生命の起源に迫る重要な発見か)@2024年7月18日
⁵ https://bit.ly/3Sc9lXn
【0447】 論文集 『TEN Selected Papers 津波災害を根絶する 海底防災技術の確立をめざして』(学而図書2024)¹ が気になる。166頁。➣防災研究誌 『TEN(Tsunami, Earth and Networking)』 に過去に掲載された論説&論文を集めたもののもよう。電子書籍として刊行されている。素人の読み手としては、科学誌は、個々のトピックにいつどのように自分の関心が立ち上がるかわからないので、印刷版がベースにあるといいと考える。➣同誌がまだ紙版だったころの号、『TEN vol.4 COVID-19対策技術のいま』(学而図書2023)² は購入して手元にある。ときおり開いてみる。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://bit.ly/4ng2rgW
² https://bit.ly/4lkRvNf
【0446】 芥川賞候補作を読んでみようとして入手した文芸誌 『群像』 2025-06号¹ に掲載のエッセイ 「絵画という地図を手にして」 第一回を出会いがしらに読む。➣写生文を書くワークショップを開いている小説家によるエッセイ。写生文とは言い換えると 「ネイチャーライティング」 にほかならない。新しい写生文はどのように書かれると、多くの人に読まれるようになるかに興味がわく。
¹ https://bit.ly/3ZCv0L8
【0445】 毎週木曜日は、科学週刊誌(ジャーアナル)ネイチャーの目次が公開される日。2025-06-19号¹ のアップされている。一号あたりの論文数が最近とみに増えてきた印象がある。最近は安定の25本超え。今週号は28本。そして全論文に締める生物系論文の数の割合が少しずつ下がりつつある印象がある。編集長が非生物系の出身だからか。
¹ https://go.nature.com/461va2w
【0444】 元素が存在する状態によって形を変える可能性があるというのは興味深い。たとえば、ある元素が気体のとき、液体のとき、固体のとき、の各状態を細かく見ていくと、それぞれの構造が異なるということ。そんなことを考えつつ、論文タイトル 「in situ X線回折による液体炭素の構造の解明」¹(ネイチャー 2025-06-12号)を眺める/味わう。そもそも炭素(C)が液体として存在するとはどういう状況なのか興味が湧く。➣「細かく見ていく」 方法が、〈in situ X線回折〉 という方法であることがうかがえる。X線を試料(ここでは液体炭素)に照射して、X線の跳ね返りを観測して、データを計算して、液体炭素の構造を推測するのだと推測する。 #素人が科学誌をよむ
¹ https://go.nature.com/4kKdZXM
【0443】 ◉積ん読状態であった 『小説作法』 小島信夫(中公文庫2023)⁹ をいよいよ読み始めるときが来た。432頁。➣タイトルを、『散文作法』 と読み替えて読んでいくことにする。◉『『青鞜』 女性解放論集』(岩波文庫1991)⁸ という本が気になる。368頁。檄文の書かれ方についてパターンを見つけるべく。◉図書館から借り出した 『橋本治が大辞林を使う』(三省堂2001)の再読を開始。実のところ、氏の文体/話体論のもよう。当たりくじを引いた感あり。◉サイエンティフィック・アメリカン 2025-07/08号の目次⁷ が公開された――カバーストーリーは 「グリーンランドは消滅するか?」(Is Greenland Collapsing?)。その記事よりも、「サイコパスは治せるか?」(Can Psycopathy Be Cured?)というタイトルの8ページにわたる記事に惹かれる。読む。◉ChatGPTの使い方として重宝しているのが、ある語の上位概念を知ること。◉サイエンティフィック・アメリカン 2025-06号⁵ と特別編集号⁶ の2冊の冊子が手元に届く。カバーストーリーはそれぞれ――「日光療法(The Sunshine Cure)」 と 「量子の世界へ(Into the Quantum Realm)」。➣科学誌は月刊誌くらいが読むリズムとして適当と感じる。そしてやはり印刷版で読むのがいい。◉心がクサクサしている状況にある人には、『小笠原鳥類詩集』(現代詩文庫2016)⁴ を薦める。162頁。◉「日本語関係節の成立要件(1) : 先行研究の整理とその問題点」³ という論文の存在を知る。PDFは未公開。日本語における関係詞的な言い回しへの関心から。 #論文渉猟 ◉『ブック・ウォーズ デジタル革命と本の未来』 ジョン・B・トンプソン(みすず書房2025)¹ を読みはじめる。704頁。序論でSF小説 『火星の人』² の刊行エピソードが語られている。読みたくなる。SFが苦手な科学ファンでも読めるだろうか。 #zap
¹ https://bit.ly/40E9SUH
² https://bit.ly/3ZzWKjD
³ https://bit.ly/4kTsvN5
⁴ http://bit.ly/2pveopo
⁵ https://bit.ly/3SftCKm
⁶ https://bit.ly/45D0S65
⁷ https://bit.ly/3HGtz8x
⁸ https://bit.ly/3IjdRA8
⁹ https://bit.ly/3KX1Tdu
【0442】 幻覚剤まわりの論文や特集記事を科学誌(ネイチャー/サイエンス)で最近よくみかける――なぜか? 背景を想像してみるに、幻覚剤(サイケデリック薬)は乱用の問題もあって評判が悪かった。一方で最近になって、うつなどの精神疾患に効くのではないかという報告が相次いでいるものの基礎研究が遅れていたとみる。どういうことか? (半ば実験的に)処方された患者には改善がみられるけれど、そもそもどういうメカニズムで効いていたのかがよくわからないという状況があって、ならば、幻覚剤の作用メカニズムをここいらできちんと分子レベルで詰めておこうではないか、ということで基礎研究が活発化しているとみる――だから専門誌への投稿が増えている。➣論文タイトル 「シロシビンの持続的作用には錐体細胞タイプと5-HT₂A受容体が必要」¹ に注目する(ネイチャー 2025-06-12号)。➣〈シロシビン〉 というのが幻覚剤の名前(キノコ由来)。この研究はマウスを対象に行われているので、研究の進展具合がわかる――未だ初期段階にある。ヒトでも同じ作用メカニズムかどうかは不明ということ(でもたぶん似ている)。
¹ https://go.nature.com/3ToedYB
【追記】
【0441】 『E.モラン自伝 わが雑食的知の冒険』(法政大学出版局1999)という本が気になる。366頁。➣〈雑食的知〉 という文言に引きつけられる――熊楠的。同じ著者による 『カリフォルニア日記 ひとつの文化革命』(法政大学出版局1975)も気になる。著者がカリフォルニア州にある 「ソーク生物学研究所」 に滞在したときの記録のもよう。人文系のアカデミシャン(哲学・社会学)が当時の最先端の理系研究所に滞在して、何を見て何を考えたのかに興味がそそられる。➣後者の本は、『概念工事』(工作舎1980)における言及でその存在を知る。
¹ https://bit.ly/3STC9D5
² https://bit.ly/3UWWNAJ
▶▶追記的週報 【2025年第23週/第24週】 https://bit.ly/4kdZMCi