追記的週報 【2025年第21週】
【0417】 パーキンソン病という病気がある――脳の病気。この病気では、ある神経伝達物質を脳内でつくる細胞が失われていく。この病気を治したい――じゃあどうするか? その神経伝達物質を作る細胞を別立てで用意し、脳外から脳内へ移植/補充してやれば、脳内に定着した導入細胞が神経伝達物質を作り始め、神経伝達が回復するのではないか? というロジックが打ち立てられる。➣というわけで、患者7人を対象に行われた臨床試験の結果を報告する論文がネイチャー 2025-05-22号² に掲載されている――「パーキンソン病に対するiPS細胞由来ドーパミン神経細胞の第I/II相試験」¹。臨床試験の結果は果たしてどうだったのか?――失敗例が論文になることは(まず)ない。解説記事³ をまず読む。 #素人が科学誌をよむ 【追記】 この解説記事では、細胞移植療法の歴史がざっとわかる。
【0416】 名著の呼び声が高いものの読んでいない本――『イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』 ハンナ・アーレント(みすず書房1994)が気になる。239頁。市内の図書館に所蔵されているようなので借り出して読むことにする。➣新版として、『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』(みすず書房2017)¹ が刊行されている。472頁。もちろん薄い方を手に取る。
【0415】 『ファインマン語録』(岩波書店2016)¹ を再読したくなる。404頁。この本は単行本だけれど、語録はやはり文庫で読みたい――座右に置いてつまみ読む読み方。さらにハードカバーであったりするとなおうれしい。どこかの出版社で出していただけるとありがたい。➣原書 『The Quotable Feynman』(432頁)² は当然横書きなのだけれど、版面(ページ構成)は以外と行間が広くとってある印象を受ける。もう少しミチッと詰めてページ数を少なくするのも好み。語録本なのだから。
【0414】 素人が読んでもグッとくる、〈色気〉のある専門書というものが存在する。例えば自分にとっては、『動物解剖学』 遠藤秀紀(東京大学出版会2013)¹ という本。門外漢の読み手にどこがアピールするのか考えてみるに、「学問する姿勢」 のようなものが行間から滲み出てくるように思われるところがたぶんある。136頁と薄いのもいい。➣図書館で1年に一回は借り出して、内容の詳細はわからないながらも読む(買えよ、とも思う)。今も手元にある。
【0413】 ◉サイエンティフィック・アメリカンの定期購読期間が切れた(expired)。◉エリック・ホッファー 『波止場日記』 の文体に寄せて、自らの日記をこの21世紀に書いている人は世界のどこかにいるだろうか。◉サイエンティフィック・アメリカンのバックナンバー180年分のほぼ全ての号のPDFのダウンロードが完了した。「ほぼ全て」 というのは、複数の欠号があるから(特に百年以上前の号)。◉読みはじめた 『思索の源泉としての鉄道』 原武史(講談社現代新書2014)¹ という本の書名は、森有正 「思索の源泉としての音楽」 というレコードのタイトルのもじりであることを知る。◉高校生の自分に出会ったら(無理だけど)いろいろ確認したいことや言い聞かせたいこと、アドバイスしたいことがある。◉サイエンティフィック・アメリカン 2025-06号の目次¹ が公開された――カバーストーリーは 「日光による治療法」 #zap