追記的週報 【2024年第29週】
【0104】 ネイチャー 2024-07-18号¹ に掲載の論文 「太陽光発電により持続的飛行を行う超軽量な小型無人航空機」² に目がとまる。➣〈持続的〉 の部分は、具体的には何分/何時間か知りたいところ。機体の総重量は4.21 gと書かれている。どれほどの積荷を運べるのか論文要旨には書かれていないが、例えば、培養した病原体を詰めた小型計量のガラス製アンプルくらいは運べるかもしれない。このドローン的移動体が地上に衝突するとガラスも割れて中の病原体が外部に撒き散らされる。つまり、生物兵器のヴィークルとして使えるということ。 #素人が科学誌をよむ 【0103】 NHKニュース 「世界各地でシステム障害 影響は一部継続も収束へ」¹ に遭遇する。ウィンドウズ搭載パソコン用のセキュリティーソフトのアップデートに伴う不具合だけで、世界中の飛行機が飛ばなくなる。➣「航空機が飛ばない→ジェット燃料の使用が減る→排出されるCO₂が地球レベルで削減」 という構図を透かしみることができる。これは今後、ファナティックな環境団体が使う手段の一つになると想像/危惧する。どこかの美術館やら遺跡やらでペンキをぶちまけている場合ではない、と考える人たちはいるはず。情報テロの戦略の1つとして、PCまわりのソフトウェア環境のシステムダウンが標的になりうることがはっきりした。 #セカイ 【0102】 ネイチャー 2024-07-18号¹ に掲載の論文 「フェロトーシス性トリガー波による大規模な細胞死の発生」² に目がとまる。固有名詞は一切無視してタイトルをつづめると、〈……波による細胞死……〉 となる。言いかえると、細胞の死が波のように広がっていくという現象が生物にビルトインされているらしいということ。そしてその波状拡散的細胞死が生物の発生段階で何らかの役割を果たしているらしいという仮説。➣「そこにあったもの」 が 「消えてゆく/退場する」 ことで何らかの機能が新しく生まれる、という構図が興味深い。 #素人が科学誌をよむ ▶追記:この論文は、生体内で細胞死が波状に広がっていく現象を捉えたものだけれど、このメカニズムが解明された暁には、逆に人工的に利用することで、がん細胞が集まった悪性腫瘍に対して応用することで、がんの消滅が期待できるかもしれないと考えてみる。➣「生物の発生段階」 と 「腫瘍の形成段階」 なんてほとんど隣どうしの現象ではないか。
【0101】 ピラミッドの頂点に立つ――ネイチャー 2024-07-18号¹ に掲載の論文 「巨大なステム群四肢類は後期古生代氷期のゴンドワナ大陸の頂点捕食者であった」² に目がとまる。この号のカバーストーリーでもある。➣サンショウウオに似た2億年前の生物の化石発見の報告――体長は約2.5 m。➣〈頂点捕食者であった〉 という断言に注目する。〈頂点〉 ということは、当時も 「生態系ピラミッド」 が存在していたという仮説がそこにある。けれども、そのサンショウウオモドキがピラミッドの頂点であったとなぜわかるのか?――ただ体の大きさだけから、というわけではあるまい。解説記事³ がある。まずはこれを読む。 #素人が科学誌をよむ 【0100】▶【0096】 への追記:近くの図書館で、『現代語訳 吾妻鏡〈1〉 頼朝の挙兵』 五味文彦+本郷和人=編(吉川弘文館2007)¹ を借りてくる――「鎌倉時代の歴史書に記述の星を“超新星と特定” 東大など発表」 というNHKニュースを受けて。➣該当箇所は以下(p.084):〔六月〕二十五日、庚午。戌の刻、客星が北東の方に現れた。(色は)土星の色の青赤で、星の光の穂があった。この星は寛弘三年に出現してから、その例がないという。➣1181-06-25の19:00~21:00ごろの出来事。注をみると、〈客星〉 とは 「新たにみえるようになった星。彗星もしくは新星。」 とある。➣同じページをつらつら眺めていると、鶴岡八幡宮の造営の準備がなされていた時期にあたるもよう。 【0099】 麻薬の作用を中和して何とする?――ネイチャー 2024-07-18号¹ に掲載の論文 「ナロキソンと協同的に作用するμオピオイド受容体調節薬」² に目がとまる。➣論文解説記事³ の冒頭に、「オピオイド危機」のあまりのあまりさに米国では多額の研究費がこの分野に投じられているという趣旨のことが書かれている。なるほど、国民の放縦が科学研究費のバブルを引き起こすこともあるのだ。➣乱用オピオイドの代表例が 「フェンタニル」――そもそも鎮痛薬、これを米国人が乱用して社会問題となっているという構図。なぜ乱用されているかというと、モルヒネ様の作用があるから――モルヒネは依存性のある麻薬。タイトル中の「ナロキソン」なる化合物は、オピオイドの作用を食い止める(「中和する」)効果があるもよう。ナロキソンを使えば、オピオイド過剰摂取による死亡例は減るかもだけど、乱用者数の抑制には寄与するのか?と素人ながらに考える。今回の報告は、ナロキソンの作用をさらに高める化合物を発見したよというもの。マウスでの実験――ということが意味するのは、ヒトに使われる医薬品になるのはまだ先ということ。 #素人が科学誌をよむ 【0098】 ジャパンタイムズ 2024-07-19号の一面見出し 「Japan and Pacific islands deepen ties」 に遭遇する(記事本文¹)。➣日本のどこかで開催されていて、閉幕したばかりの 「島サミット」 なる国際会議の話。あまり話題にならなかった気がする。政府&外務省の広報不足? 盛り上げを広告代理店に(あからさまに)頼めなくなった状況では、官庁の広報能力/センスが如実に結果に反映されてしまうことを感じる。➣国が主催する国際会議というのは、政権が変わった場合、「事業仕分け」 の対象になったりするのだろうか、とふと思う。 #コトバ たとえばアイヌ社会では能力のある者を嫌ったとも伝えられます。ようするに将来、格差を生みだしていくような能力のある者は疎外し、摘み取ってしまうということだろうと思います。(瀬川拓郎)▶「討議1|考古学にとっての『万物の黎明』、その接続・影響・未来」 in 『グレーバー+ウェングロウ 『万物の黎明』 を読む 人類史と文明の新たなヴィジョン』(河出書房新社2024)p180
他人の不幸を喜ぶ真理は、言いかえれば、他人の幸せを妬むということでもある。これもまた、小さなコミュニティで暮らしていた時代においては、出る杭を叩き共同体の均衡を維持する点で有効だったかもしれない。▶『意思決定が9割よくなる 無意識の鍛え方』 茂木健一郎(KADOKAWA 2022)p100
【0096】 NHKニュース 「鎌倉時代の歴史書に記述の星を“超新星と特定” 東大など発表」¹ に遭遇する。➣〈鎌倉時代の歴史書〉 とは 『吾妻鏡』(あづまかがみ)のこと。該当箇所を確認すべく、図書館へ赴き、『現代語訳 吾妻鏡〈3〉 幕府と朝廷』 五味文彦+本郷和人=編(吉川弘文館2008)² を借りてこよう。 【0095】 NHKニュース 「黙秘に「ガキだよね」発言 取り調べは違法と認め国に賠償命令」¹ に遭遇する。原告が、横浜地方検察庁の検事による取り調べを違法だとして訴えていた裁判をめぐる記事。「この裁判では、取り調べを録音・録画した映像の一部が法廷で再生され、江口さんの弁護士がその後、ネットでも公開するなどして話題となっていました。」と書かれている。この一文があえて書かれているということはつまり、書いた記者=報道機関もまた、違法性を感じていて(そうは書けないけど)、記事を読む人たちに対して、検索して動画を観てみるといいよと促していると推測する。当然、その動画² を YouTube で見つけて視聴する。検察・警察による容疑者の取り調べ時の映像を部外者が見る機会はなかなかない。原告の弁護士が入手した経路を想像する。 #コトバ 【0094】 全てを理解する必要はない――ネイチャー 2024-07-11号¹ に掲載の論文 「ショウジョウバエの免疫細胞はPPO2タンパク質の相転移を介して酸素を輸送する」² に目がとまる。全てを理解する必要はない、というか素人にはできない。ただ、〈相転移を介して〉 という部分にだけ注目する。「相転移」 とは、分子生物学かいわいで最近流行りの概念で、要するに、「タンパク質の、環境への溶けこみが変化すること」 と解釈しておく。➣〈~を介して〉 なので、要するに、相転移が起きたら状況Aへ、相転移が起きなかったら状況Bへ、と相転移という現象が 「スイッチ」 の役割を果たしていると考えてみる。生物界では分子レベルでさまざまなカタチのスイッチつまり 「切り替え機構」 が存在する。機械的な考え方だ! そうした機構の1つが新たに特定の状況(=ハエの免疫機構)で確認されたという報告だと考える。 #素人が科学誌をよむ 【0093】 ネイチャー 2024-07-11号¹ に掲載の論文 「dsRNAの形成は優先的な核外輸送と遺伝子発現につながる」² に目がとまる。タイトルからストレートに考えてみる。➣〈dsRNA〉(二本鎖のRNA)は一本鎖のRNAよりそりゃあ安定だろう(酵素の攻撃を受けないだろうから)。だから、〈優先的〉 に核外へと運び出される数も多いだろう。核外へと出たRNAの数が多ければ、そりゃあそれが発現される(=タンパク質へと翻訳される)量も多いだろうと、ごく当然のことを述べているように読める。➣否、こんな素人考えのラインで論文化されたわけではないはず。何か深みがあるはず。もうすこし考えてみたい。 #素人が科学誌をよむ 【0092】 反転している――ネイチャー 2024-07-11号¹ に掲載の論文 「地震波形変化の逆転による内核の逆戻り」² に目がとまる。〈逆転による……逆戻り〉 と 〈逆〉 が2回も登場する。〈内核〉 とは地球内部の構造体を指すのだろう。そんな大規模なモノの動きが 〈逆〉 になっているということだけでもうグッとくる。➣見えないところ(=地下)で起こっている(かもしれない)運動に惹かれるところがあるのかと自己分析してみる。地学の最新知見をまとめた新書を書店で探したくなる。 #素人が科学誌をよむ 【0091】 英字新聞の見出しを読むのが好きだ。毎朝、その日の世界中の新聞一面を見ることのできる FRONTPAGES.com というサイトで日本の英字新聞ジャパンタイムズの一面を眺めることを習慣にしている¹。ウェブページには、ジャパンタイムズのほかに、毎日新聞² と読売新聞³ の一面も写り込む。7月17日の両紙朝刊の一面トップ記事の見出しが ”ほぼ同一” であることにあきれる。いずれも、「共和 トランプ氏指名 副大統領候補 39歳バンス氏」 であり、文言・レイアウト・写真までそっくり。日本の新聞社はテンプレ的に記事を作っているという噂は本当なのかと勘繰ってしまう。両紙の整理部の人たちはライバル紙の見出しを見てどう感じるのかに逆に興味がわく。”かぶっちゃったな~” でおわりだろうか。読み手にとっては、毎日でも読売でもまあほとんど同じなんだなという印象を残す。独自性はいずこに。 #コトバ 【0090】 ネイチャー 2024-07-11号¹ に掲載の論文 「華南海鮮卸売市場におけるSARS-CoV-2のサーベイランス」² に目がとまる。➣まずこの論文を書いた研究者35人の全員が中国の国立(とおぼしき)研究機関に所属する者であることを抑えておく必要がある――「中国の研究チームが、中国国内で出現したウイルス感染症」 の研究をしたという構図。➣不思議なことに、論文にはつきものの 「考察/Discussion」 の項がない。ならば、こういう議論を呼びそうな論文こそ、解説記事(News & Views)が書かれるべきだと思われるがそれもない。謎。 #素人が科学誌をよむ 【0089】 NHKニュース 「市役所で男が油のようなものまき火をつける 4人けが 愛知 高浜」¹ に遭遇する。〈油のようなもの〉 という表現に注目する。「1人が重傷」 という表記もある。重症を引き起こすほどの威力ということ。「アレ」 ではないのか? おそらく 「油」 の種類をはっきり書いてしまうと模倣犯が現れることを忖度して、報道機関が明記を控えていると考えるがどうか。仮にそうだとして、パターナリズム/「寝た子を起こすな」 的な配慮の有効性について考える。 #コトバ 【0088】 NHKニュース 「トランプ氏 共和党大統領候補に 副大統領候補は39歳」¹ に遭遇する。➣記事には、T氏の対抗馬であり、民主党から次期大統領候補になる(なりたい)予定の現職大統領の言葉として、T氏側(=共和党)で選ばれた副大統領候補を形容して、「彼はトランプ氏のクローンだ。何の違いもない」 と述べたと書かれている。➣〈クローン〉 という語に注目する。科学分野でよく使われる言葉でもある。要するに 「同じモノ」 ということ。現職大統領は 「クローン」 という語を悪い意味(罵倒/あてこすり?)で使っていると推測される。➣生物学でなぜ 「クローン」 が重要視/重宝されるのかというと、「条件が整えられるから」 と言える。ある生き物でも細胞でも、「同じ性質/構成」 のもの=クローンが(大量に)手に入ったら、あとはそのクローン群をさまざまな条件/環境に置くことで、クローンの反応を見ることができる、ひいては生物学的メカニズムの解明につながるというわけ。 #コトバ ■