書籍_ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」_川村隆
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私がこの言葉を聞いたのは、三〇代のころです。当時の私は日立工場に勤めていて、たしか設計課長に昇進したときのことだったと思います。日立工場長だった綿森力さんが、工場の執務室の窓の前でこう言いました。「この工場が沈むときが来たら、君たちは先に船を降りろ。それを見届けてから、オレはこの窓を蹴破って飛び降りる。それがラストマンだ」――そのときから、私の胸に「ザ・ラストマン」という言葉が深く刻まれています。【序章より】
大企業サラリーマン幹部職には心に響く言葉が多い。
健全な競争は必要だ
企画管理部門は、サービス部門
現状維持だと思った瞬間に衰退が始まる
経営にも「未病」の状態がある
分析、評論ではなく「実行だ」
15分考えて決められないことは決められない。普段から15分で決める癖をつけていけ
語弊を恐れず言えば、たいていの改革は、スピードさえあれば何とかなるものです。
私も会長職を退いたときは、自分の荷物をまとめて、すぐに会長室から出ました。会長としての私の役目は終わったわけですから、当然です。社員からは慰留されましたが、会長室が「川村室」になってしまったら、組織はあっという間に腐敗していくでしょう。 男も女も引き際が肝心というのは、なにも恋愛にかぎった話ではありません。
経営者がとくに大事にすべき考え方──「現状維持をめざすと衰退する」
企業にとって一番難しいが大切なことは、稼ぐ力増強のための平時からの改革です。
どんな企業であっても、再生するための原則は次の二つです。 ・出血を止める ・キャッシュを生む事業を見つける この二本柱に沿って、戦略を立てていきます。
「稼ぐ力」というとストレートで、少し下品な表現かもしれませんが、聞き手の心には響きます。聞き手が「ん?」と引っかかるような、短くて印象的なフレーズを選ぶのがポイントです。メッセージ性のある話し方が必要なのです。
しかし、戦術は変えても戦略を変えてはいけません。 戦略はどんなに情勢が変わってもグラグラしてはいけないものであり、朝令暮改していいのは戦術だけです。
社長が、出世レースの最終ゴール(ポスト) などとは考えません。「業績を伸ばす」という専門職を請け負うのが社長の任務です。
2024/4/13