書籍_グレタ・ニンプ_綿谷りさ
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普段の自分であれば、間違いなく自発的には手に取らないテーマ。「妊娠・妊活・出産」という話題だ。個人的にこのテーマには強い苦手意識があり、あまり触れたくない、どこか怖いという感覚すら抱いていた。
しかし、読書会の選書という機会があったからこそ、本作に出会うことができた。実際に読んでみると非常に面白く、まずはこの作品に出会わせてくれた読書会という機会に、心から感謝したい。
本作を読んで感じた具体的なポイントは、以下の通り。
秀逸なコメディセンスとエンタメ性
ストーリーが非常に巧妙で、純粋に読み物として面白い。
全編を通してコメディセンスが光っており、退屈させずに読ませる力がある。
終盤の展開には映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』へのオマージュと思わせるような場面もあり、カルチャー好きの人間としても非常に楽しめる内容であった。
「主張」と「作品クオリティ」の絶妙なバランス
背景にフェミニズム的な言いたいことや、現代社会への主張がある作品であることはよく理解できる。
一部の評論家が言う「主張ありきの作品は、政治的な意図が勝ちすぎて作品としての完成度が下がる」という意見に、私自身も日頃から同意している。
しかし本作に関しては、日本社会へ一言申したいというテーマ性を持ちながらも、エンタメとしての品質が非常に高く、そのバランスが絶妙であった。
リアリティと安全運転のバランス感覚
男性主人公の心理描写やビジネスシーンの描写に違和感がなく、この精緻な描写が作品のクオリティを高めるポイントになっている。
野球で言うところの「ビーンボール(危険球)」を投げるようなきわどいテーマに挑みながらも、書き手が細心の注意を払っていることが伝わってくる。
三谷幸喜氏に触れた部分など、一部でやや踏み込んだ描写も見受けられたが、全体としては大事故にならないよう、絶妙なバランスを握りしめながら書かれている印象を受けた。
読書環境について
今回はKindle Paperwhiteで通読した。
目が疲れにくい非常に地味なデバイスではあるが、本作のフォントの表現はしっかりと表現されていた。
まとめ
テーマへの苦手意識から絶対に自分では選ばない本であったが、小説としての面白さとクオリティの高さに引っ張られ、最後まで楽しく読み切ることができた。食わず嫌いをせず、読書会という場で本作に触れられたことは、本当にありがたい体験であった。
2026/5/10