映画_ブルータリスト_ブラディ・コーベット監督
https://www.youtube.com/watch?v=R1GX69lByjk
ホロコーストを生き延び、アメリカへ渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートの半生を描く伝記ドラマ。新天地で再出発しようとする彼が、移民を取り巻く過酷な現実に直面する。『シークレット・オブ・モンスター』などのブラディ・コーベットがメガホンを取り、ベネチア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得。主人公をオスカー俳優のエイドリアン・ブロディ、彼の妻を『博士と彼女のセオリー』などのフェリシティ・ジョーンズが演じるほか、ガイ・ピアース、ジョー・アルウィン、ラフィー・キャシディらが共演する。
映画『ブルータリスト』を観てきました。期待値が高かった分、正直なところ少し肩透かしを食らったというのが率直な感想です。
監督のこだわりが光る演出
本作では、始まり方、インターミッションの挿入、パンフレットの活用、そして序章・前半・後半・エピローグ構成構成など、監督のこだわりが随所に感じられました。そうした点では、映画としての表現や構成に強い意志を感じることができ、映画としての挑戦的な試みを評価できます。
アメリカ社会・歴史
移民はつらい、差別、富豪、暴力、クスリと依存症を描く大作アメリカ映画、という風格はあった。
感情移入の難しさ
しかし、個人的には感情移入がしづらく、物語に深く入り込めなかったのが残念でした。テーマ自体は重厚で、アメリカという国や世界の歴史、そして2025年を生きる私たちが考えるべきことを突きつけてくる作品ではあるのですが、キャラクターに対する共感や没入感が薄れてしまったように思います。
映画館での鑑賞体験
私は新宿のTOHOシネマズ歌舞伎町で鑑賞しました。上映時間が13時15分から17時までと長めで、まさに「半日を使う」感覚の映画でした。スクリーン自体はそこまで大きくなかったものの、客席は満席。観客の期待の高さがうかがえました。
アカデミー賞の評価について
本作がアカデミー賞の主要賞を受賞するのは、正直少し違和感を覚えます。ホロコーストを題材にした映画としては『リアル・ペイン』の方が観やすく、映画としての完成度も高いのではないかと思いました。もしかすると、私自身の映画の好みが変わってきたのかもしれません。
「実話かどうか」で変わる受け取り方
本作を観る際に、「これは架空の話である」と知っているか、「実在の人物の物語」だと思って観るかで印象が大きく変わると感じました。私の場合は最初からフィクションだと理解していたため、感動の度合いが少し下がったのかもしれません。知らずに観たら、また違った印象を持ったのではないかとも思います。
まとめ
映画『ブルータリスト』は、映像表現や構成に工夫が凝らされた意欲作でしたが、個人的には感情移入がしづらく、満足感は今ひとつでした。アートとしての挑戦的な側面は評価できますが、物語の面白さや感動を求める観客にとっては賛否が分かれる作品かもしれません。
2025/2/24