ユーザの演奏のベロシティ変化を考慮するドラム演奏表情付けシステム
◎関晋之介, 北原鉄朗(日本大学)
本研究は,キーボードの演奏パートを考慮してドラムパートのベロシティを自動で決定するドラム演奏システムの構築を目的としている.既存のドラム演奏システムのほとんどは再生されるリズムパターンのベロシティ (音の強弱) が一定か事前に決められているため,人がドラムを演奏することを前提としたジャンルでは演奏の違和感につながる可能性がある.そこで大局的なベロシティ変化と局所的なベロシティ変化の 2 つに分かれるベロシティ表情付け手法を用いたドラム演奏システムを構築した.大局的なベロシティ変化では人間同士でのセッション演奏データをもとに重回帰分析を用いてドラムパートの次小節のベロシティ平均を予測し,局所的なベロシティ変化ではドラムセット内の各楽器に応じてベロシティ平均からの偏差を算出する.ピアノ奏者が本システムを用いてジャズのスタンダードナンバーを演奏する実験を行ったところ,一部の曲については,キーボードパートとドラムパートの大局的なベロシティ間の相関に関しては人間同士の演奏に近くなった.一方,人間同士での演奏でも正の相関が見られない楽曲が存在するなど,提案手法の一般性については課題が残った.
ベロシティだけでなくタイミングのズレ(スウィング)も考慮できるとグルーブ感が増してさらに面白くなると思いました(平井・駒大)