第3回ビジネスと知的資産・知財法研究分科会 September 04, 2009
September 04, 2009
第3回ビジネスと知的資産・知財法研究分科会
昨日、第3回ビジネスと知的資産・知財法研究分科会が開催された。テーマは、丸善の知的資産経営報告書から学ぶ。資料は公開されている丸善の知的資産経営報告書(丸善は、知的資本経営と言っているが)。
テーマの検討のため、東京大学知的資産経営総括寄付講座特任准教授犬塚篤先生が指摘する知的資産経営の問題点のいくつかを参考にした。
問題点1・・知的資産とは何か・・・必ずしも明確ではない。
知的資産には、さまざまな定義があり、明確ではない。ただし、それらの共通点を探ると、「知的資産」に関する合意として、概ね「将来価値を生み出す無形資産の総称」ということらしい・・・。知的資産とは,知的資本から情報的資産を差し引いたものであると指摘する人もいる(紺野, 1998)。
では
● 丸善がいう知的資産は何か?・・・(丸善は・・知的資本経営と言っている
O “何でも知的資産”では,もはや科学にならない(犬塚先生)
問題点2 知的資産→将来価値のメカニズムはどうなっているのか?
O 企業が採る行為によって,知的資産の価値は上下する.
O 価値はユーザーが決める。
O 知的資産は,ただ持っているだけでは価値を生まない→知識資産同士を組み合わせる「活動」や,それによって生み出された「構造」が観察できるはず
●丸善の場合はどうなっているのか。
このようなガイドラインに従い、意見交換をした。
様々な指摘があった。
資料1の図2における、最上位の「企業価値」を「コーポレート・ブランド」に置き換えてみたらどうなるか。その下位にある、すべての経営資源は、ブランド要素となる。丸善の知的資産経営は、コンテクスト・ブランディングに見える。
報告書には、「外部環境」の分析がない。(実際は外部環境の分析はしたであろうが)。
なぜ、知的資産経営なのか・・・「昔はやはり文化を売っていますというプライドを持っていた」・・・それが「会社からはいつも数字のプレッシャーがあるだけ、」・・・知的資本マネジメントの導入により、「自分達は何を売っているのか」に気づき・・・「もう一度、丸善になる」ということになったのではないか。社員のモチベーションを上げるために知的資産経営は有用である、ということなのだろう。
他にも有益な意見が次々と交わされた。
第4回は11月を予定している。ご興味のある方、参加してみてはいかがでしょうか。