創造のヒント(トレンドを追う) January 15, 2007
創造のヒント(トレンドを追う) January 15, 2007
プロ論3(徳間書店)には、創造のヒントが様々紹介されている。知財創造の法則をプロ達が述べているので紹介したい。
まずは、トレンドとの関係。トレンドとは、「流行」とか「動向」であるが、トレンドを追うことで新しい創造が可能かと言えば、必ずしもそうではなさそうだ。
漫画家の楳図かずお氏は、「よく売れている人の作品をたくさん読んで成功しようとす人がいますが、そんなもの読まない方がいい。今ウケているものをやっても遅いんですから。そうではなくて、ウケていないものを狙うこと。いちばんバカにしているものが、実はいちばんバカにできないものなんですよ。」と言う。
一方で、放送作家の高田文夫氏は、「面白いものは、昔のものに全部つまっているんだ。そんなに新しいものは生み出せない。僕は古典や子どものころ聞いたラジオが大きかった。先人にはヒントがある。それを、いかに今の時代と組み合わせるか。だから時間感覚が必要なんだ。」と言う。古典や先人から得たヒントを時代に合わせることで新しくリニューアルされる。
また、もう一人の放送作家、小山薫堂氏は、チャンスの見極めにつき、「偶然力」が大きいと指摘しつつ、「いい偶然があるのに、気が付いていない人がいかに多いことか。でも偶然力は養うことができる。僕はいつもネタを拾いなさいと言っています。これは使えそうだな、何かのきっかけになるな、と思ったタネはどんどん人生のポケットに入れていく。あまりあれこれ考えず、偶然に面白いと思ったタネを大事に持っておくんです。」と言う。氏はさらに、創造について、天才料理人を育てたプロデューサーの話として、「経験する期間、模倣する期間、創造する期間」を作ったとの紹介をしている。経験で実践的知識を学び、模倣でそれを確かめ、最後に自身のオリジナリティを発揮するというのであろう。
アーティストの村上隆氏は、「スポーツと似ていて、毎日トレーニングをして基礎体力をつくるんです。だからこそ試合という極限状態でトリックプレーができる。どうしてできたかと聞かれても、基礎トレーニングがあって体が自然に動いたということでしかないんですね。いちばん大事なのは基礎。体が切れ味よく動くようにしておく。モチベーションを高くもっておく。すごくテクノロジカルです。アイデアが浮かぶ瞬間というのは本当にコンマ何秒でしかない。」と言う。
古典や先人の知識を学び、様々な経験を通じて、役に立ちそうなタネ(ネタ)を常に吸収、時代感覚を養うため、トレンドはみつつもそれを追わず、常日頃からトレーニングして基礎体力をつけておくと、突然アイデアが沸き起こる。それを逃さず、新時代に適合した新規知として創造していく。
プロの方々、違う言葉で共通のことを言っているようですね。