切り餅事件特許第4111382号出願経緯
平成14年10月31日・・出願 (特願2002-318601号)
平成15年 8月 6日 出願審査請求
平成16年5月27日 出願公開
平成17年 5月27日・・拒絶理由通知
同年 8月 1日・・手続補正書、意見書及び手続補足書を提出
同年 9月21日・・拒絶理由通知
同年11月25日・・手続補正書、意見書及び手続補足書を 提出
平成18年 1月24日・・拒絶査定
平成18年 2月27日・・拒絶査定不服審判請求(不服2006-3586号事件)
同年 3月29日・・請求項等の手続補正書及び審判請求理由を変更する 手続補正書を提出
同月31日・・手続補足書を提出
平成20年 2月19日・・拒絶理由通知
同月29日・・請求項等の手続補正書、意見書を提出
同年 3月24日・・特許すべきものとの審決
同年 4月18日・・本件特許権の設定登録
出願当時の発明品(角形・丸形の餅を開発した)
https://gyazo.com/8f92b69154e190b92b5e0f11a1110139https://gyazo.com/02eb6c95a9c667cc2d4a92cfe4eb616c
出願時の特許請求の範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角形の切餅や丸形の丸餅などの小片餅体の載置底面ではなく上側表面部に、周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする餅。
【請求項2】
角形の切餅や丸形の丸餅などの小片餅体の平坦頂面や載置底面ではなく上側表面部の側周表面に、周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする請求項1記載の餅。
【請求項3】
角形の切餅や丸形の丸餅などの小片餅体の載置底面ではなく上側表面部に、周方向に連続させてほぼ環状とした若しくは周方向に沿って複数配置してほぼ環状に配置した切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の餅。
【請求項4】
丸餅などの輪郭形状がほぼ円形の小片餅体の上側表面部の周辺傾斜面である側周表面に、この輪郭縁に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする請求項2記載の餅。
【請求項5】
丸餅などの輪郭形状がほぼ円形の小片餅体の上側表面部の周辺傾斜面である側周表面に、この輪郭縁に沿う方向を周方向としてこの周方向に連続させてほぼ丸環状とした若しくは周方向に沿って複数配置してほぼ丸環状に配置した切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする請求項2,3及び4に記載の餅。
【請求項6】
切餅などの輪郭形状がほぼ方形の小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する若しくは周方向に配置された一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする請求項2記載の餅。
【請求項7】
切餅などの輪郭形状がほぼ方形の小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に連続させてほぼ角環状とした若しくは周方向に沿って複数配置してほぼ角環状に配置した切り込み部又は溝部を設けたことを特徴とする請求項2,3及び6に記載の餅。
【請求項8】
前記切り込み部又は溝部は、周方向に連続させてほぼ環状に設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の餅。
出願公開により、平成16年5月27日に上記内容が公開された(その間、補正はない)
https://gyazo.com/32797b4d37d905029ef76c3c1c886056
https://gyazo.com/98634b7cea7c0892d2360967a1285478
引用文献1には、包装された餅体であって複数個の餅片に分割可能とする脆弱部を有 するものが記載されており(請求項3)、周囲に周方向に沿って脆弱部が形成されてい る慶事用の菱餅も記載されている(図3)。また「特に、小片状で食したり、薄片状で食したりする場合の餅体に適用することもできる。」との記載もある(発明の詳細な説 明の段落【0006】)。
さらに「脆弱部とは、その部分において餅体を容易に分割できるように形成した部分 をいう。具体的には、切り込み......をいう。」(発明の詳細な説明の段落【0011】) と記載されていることから、引用文献1には周囲に切り込み部が形成されている菱餅が 記載されていると認められる。
引用文献1に記載された発明と本発明を対比すると、引用文献1に記載された発明に おける餅が菱餅であるのに対し、本発明では切餅、丸餅などの小片餅体であることで相 違し、さらに、刊行物1に記載された発明における切り込み部が全周あるいは小分けし た場合には2側面に形成されているのに対し、本発明では切り込み部が周方向に複数配 置されていることで相違する。
しかし、引用文献1に記載された、全周、あるいは小分けした場合に2側面に切り込 み部を有する菱餅を全周に切り込み部を有する切餅に適用すること、あるいは周方向に 複数配置することは、当業者が容易に想到できるものである。
引用文献1には、焼き餅を容易に均一に焼くことができるという記載はないが、周方 向の脆弱部を残して適当に小分けして焼けば、当然に均一に焼くことができることから、 本発明が、当業者の予想し得ない程度の効果を奏するとも認められない。
よって、本発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明する ことができたものである。
https://gyazo.com/33b633e4a66f2d69b444038c9a021053
https://gyazo.com/651cf193e42901d81845d89d74560f3b
https://gyazo.com/792c362d9d9030de6c3589c8a1cf2c92
切り餅事件:特許査定された特許請求の範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又 は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側 面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は 溝部を設け、この切り込み部又は溝部は、この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周 方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に 形成した切り込み部又は溝部として、焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側 が下側に対して持ち上がり、最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化し た中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制 するように構成したことを特徴とする餅。
【請求項2】 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の載置底面又 は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に、この立直側 面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状の切り込み部又は溝部を 設けたことを特徴とする請求項1記載の餅。