ミニバスケット事件
ミニバスケット事件
平成23年7月14 大阪地裁平成22年(ワ)第11899号 不正競争行為差止請求事件不競法2条1項3号・商品形態の模倣
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争点
(1) 被告商品は,法2条1項3号にいう他人の商品の形態を模倣したものに当たるか (争点1)
(2) 原告商品の商品形態は,法19条1項5号イにいう日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品の商品形態に当たるか (争点2)
(3) 被告は,法19条1項5号ロにいう譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず,かつ,知らないことにつき重大な過失がない者に当たるか
(4) 損害額
商品形態の模倣に関する条文
(定義) 第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
(適用除外等) 第十九条 第三条から第十五条まで、第二十一条(第二項第七号に係る部分を除く。)及び第二十二条の規定は、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない。
五 第二条第一項第三号に掲げる不正競争 次のいずれかに掲げる行為
イ 日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
ロ 他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
裁判所の判断
(1) 法2条1項3号は,他人の商品形態を模倣した商品の譲渡行為等を他人の 商品が最初に販売された日から3年間に限って不正競争行為に当たるとした ものである。その趣旨は,法1条の事業者間の公正な競争等を確保するとい う目的に鑑み,開発に時間も費用もかけず,先行投資した他人の商品形態を 模倣した商品を製造販売し,投資に伴う危険負担を回避して市場に参入しよ うとすることは公正とはいえないから,そのような行為を不正競争行為とし て禁ずることにしたものと解される。
このことからすれば,最初に販売された日の起算点となる他人の商品とは, 保護を求める商品形態を具備した最初の商品を意味するのであって,このよ うな商品形態を具備しつつ,若干の変更を加えた後続商品を意味するもので はないと解すべきである。
そして,仮に原告が主張するとおり,原告商品が原告先行商品の改良品 部分的な手直し品ではなく,新しい商品であるとすると,この場合に法2条1項3号による保護を求め得るのは,原告商品の形態のうち,原告先行商品 の形態と共通する部分を除外した固有の部分に基礎をおくものでなければな らないというべきである。
本件で,原告が,原告先行商品のうち「コスモバスケット L」を平成11 年2月から販売していたことは,前提事実(2)のとおりである。
そうすると,原告先行商品と原告商品の形態が実質的同一である場合には, 原告商品の形態の模倣は,法19条1項5号イに該当するというべきである。
原告が保護を求める商品形態を具備した最初の商品は,原告商品ではなく,原告先行商品である。前記(1)のとおり,原告先行商品のう ち「コモバスケット L」が最初に販売された日は平成11年であるから,原告商品が販売された平成20年3月時点では,最初に販売された日から3年 を経過していたことが明らかである。
したがって,被告の行為(前提事実(3))は,法19条1項5号イに該当する。