ドラゴンソード事件
ドラゴンソード事件
不正競争行為差止請求事件不競法2条1項3号・商品形態の模倣
https://gyazo.com/585251f819b7ccd5f0c1d4703842f1b9
地裁判断不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」
不正競争防止法二条一項三号にいう「模倣」とは、既に存在する他人の商品の 形態をまねてこれと同一または実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい、 行為の客体の面において、他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合に形態が同一であるか実質的に同一と言える程に酷似しており、かつ、行為者の認識において、当該他人の商品形態を知り、これを形態が同一であるか、実質的に同一と言える程に酷似した形態の商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要し、それをもって足りるものであり、行為者の意図としては、当該他人の商品の形態を参考にして、あるいは大幅の改変を加えて新たな形態の商品を作り出したものと認識していたとしても不正競争行為に該当することを免れない
地裁判断「模倣」・・改変の程度と同一性
すなわち、商品形態の創作性を問わず、商品販売開始後三年間に限って模倣商品 の譲渡等を不正競争行為とした本号の趣旨は、他人の商品の形態をそのまま模倣す ることによって、他人が、費用、労力をかけて開発した成果である商品の形態を許諾なく利用して、開発のコストを節約する一方で商品の開発につきものの失敗の危険を小さく抑えつつ、当該商品を開発した他人と、同じ商品について市場で競争しようとすることは、競争のあり方として不当な行為であるので、そのような行為を 不正競争とすることにより商品を開発して市場においた者の先行利益を一定の期間保護することにあるところ、既に存在する商品の形態とこれに依拠して作られた商品の形態とが完全に同一ではなく、両者の間に相違点があるとしても、その相違点が当該商品全体からすると微細であり、商品全体として観察すれば、両者の形態が 実質的に同一と認められる場合には、競争のあり方として不当なことは、両者の形態が完全に同一である場合とかわりがなく、また、客観的には他人の商品の形態と 実質的に同一と認められる商品形態を他人の商品形態に依拠して作り出した以上、 主観的に単に参考にしたにすぎないとか新たな形態の商品を作り出したものと認識 していたとしても、競争のあり方としての不当性にかわるところがないからである。
高裁判断不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」
不正競争防止法二条一項三号にいう「模倣」とは、既に存在する他 人の商品の形態をまねてこれと同一または実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい、客観的には、他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合 に、形態が同一であるか実質的に同一といえる程に酷似していることを要し、主観的には、当該他人の商品形態を知り、これを形態が同一であるか実質的に同一といえる程に酷似した形態の商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要するものである。
高裁判断「模倣」・・改変の程度と同一性
ここで、作り出された商品の形態が既に存在する他人の商品の形態と相違すると ころがあっても、その相違がわずかな改変に基づくものであって、酷似しているものと評価できるような場合には、実質的に同一の形態であるというべきであるが、 当該改変の着想の難易、改変の内容・程度、改変による形態的効果等を総合的に判 断して、当該改変によって相応の形態上の特徴がもたらされ、既に存在する他人の 商品の形態と酷似しているものと評価できないような場合には、実質的に同一の形態とはいえないものというべきである。
高裁は「模倣」ではないと判断
原告商品は頭部が一個の通常の竜であるのに対し、被告商品は胴体 の両端に頭部のある双頭の竜であるという相違点が存するところ、被告商品の製造、販売時において、双頭の竜を表したキーホルダーが存在したことを認め得る的確な証拠はなく、
また、双頭あるいは複数の頭を有する竜のデ ザイン自体がよく知られたものであることを認め得る証拠もないこと、
原告商品、 被告商品とも、基本的には、洋剣と竜のデザインを組み合わせたものであって、商品としての形態上、竜の具体的形態が占める比重は極めて高く、被告商品において 洋剣の柄部分側と刃先側に表された竜の頭部が向き合っている形態は、需要者に強 く印象づけられるものと推認されることからすると、被告商品における竜の具体的形態は、被告商品の全体的な形態の中にあって独自の形態的な特徴をもたらしているものと認められること、
本体部分の大きさの違いもわずかであるとはいえず、表面部分の面積を対比しても、ほぼ一(原告商品)対二(被告商品)程度の違いがあり、量感的にも相当の違いがあることからすると、
高裁は「模倣」ではないと判断
原告商品の形態と被告商品の形態との間に前記のとおりの共通点が存すること、及び、原告商品の製造、販売当時(平成六年一月)において、原告商品の基本的構成である、本体部分において、全体が金属製で偏平であり、柄及び刃体と鍔部とが交差して縦長の概略十字形で表面側の十字の中心部分に宝石状にカットされた円い形状の ガラス玉がはめ込まれている双刃の洋剣に、竜が、洋剣の刃先部分から、刃体、鍔部、柄部と上方に向けて左巻きにほぼ二巻き螺旋状に巻きついた状態に表側、裏側 共に浮彫りされている形態、あるいはこれに類似する形態を有するキーホルダーが 存在していたことを認めるに足りる証拠がないことを考慮しても、被告商品の形態 が原告商品の形態に酷似しているとまでは認め難く、実質的に同一であるとは認められない。
ドラゴンソード事件
https://gyazo.com/5a0fb990bb0c6e233bbd9ae2c83cb2a6
地裁・・・模倣
相違点が当該商品全体からすると微細であり、商品全体として観察すれば、両者の形態が実質的に同一と認められる場合には、競争のあり方として不当なことは、両者の形態が完全に同一である場合とかわりがなく・・・他人の商品形態に依拠して作り出した以上、 主観的に単に参考にしたにすぎないとか新たな形態の商品を作り出したものと認識 していたとしても、競争のあり方としての不当性にかわるところがない
高裁・・・模倣でない
相違がわずかな改変に基づくものであって、酷似しているものと評価できるような場合には、実質的に同一の形態であるというべきであるが、 当該改変の着想の難易、改変の内容・程度、改変による形態的効果等を総合的に判 断して、当該改変によって相応の形態上の特徴がもたらされ、既に存在する他人の商品の形態と酷似しているものと評価できないような場合には、実質的に同一の形態とはいえない