2020/特許要件の演習
2020/特許要件の演習
株式会社ツカモトは、化粧品の研究・開発・販売をしている会社である。
代表取締役社長 塚本 歩の息子である製品開発担当部長の塚本進一が、部下の松宮 俊明とともに開発したパック用シートは、空前のヒットになった。
その成功により、部長の塚本は常務取締役に昇格し、松宮は新たに開発部長に昇格した。塚本常務と、松宮部長は次なるヒット商品を目指し、今度は、手の甲に貼り付けるタイプのパック用シートの開発にとりかかった。
試作品を作り、社長秘書の川崎に試してみるように頼んだ。秘書の川崎は、元々開発部のメンバーだったため、開発のための知識は有していた。試してみると、ある問題が発覚した。手の甲用パック用シートは、夜間寝るときに装着するのであるが、寝ている間に手の甲から剥がれてしまうのだ。
塚本常務がどうしたものかと思案していると川崎が、こんなものを作ったと言ってその試作品を持ってきた。それは、ミトン型の手袋であったが、脇に沿ってファスナーが縫い付けられ、ファスナーを開くと、手袋が手のひら側と甲側とに分かれて開くようになっていた。甲側の裏側にパック用シートを装着し、手の甲に載せてから、ファスナーを閉じるようになっている。
ミトン型手袋内にパック用シートを装着することで、寝ている間にパック用シートが剥がれてしまう問題は解決された。
このファスナー付きミトン型手袋は、ボランティア団体(NPO)の活動で川崎が手の障害者用に作ったものだった。塚本常務と、松宮部長は、川崎が作った手袋を、手の甲用パック用シートに組み合わせで販売した。もちろん、販売前に、手袋と手の甲用パック用シートの特許出願はしておいた(2020年1月20日)。 この商品もまた、大ヒットとなった。
川崎は、その後、ボランティア団体でファスナー付きミトン型手袋を紹介したところ、評判はとてもよかった。そこで、手の甲用パック用シートとは別に、障害者向けの手袋をボランティア団体が販売することとなった。
手袋の出願は、2020年1月20日だったのだが、その一週間前、その手袋を川崎の所属するボランティア団体のリーダーの大森が障害者施設への新年の訪問イベントで、障害者に紹介していた。
川崎は、リーダーの大森には、まだ黙っていてねとは言ってあった。また、ボランティア団体の内部規定で、秘密保持契約が結ばれていた。川崎は、共同出願人となった株式会社ツカモトの塚本常務に報告するとともに、大森に対して、なぜ、公表したのかと問うた。大森は、とても良い手袋だから、早くみんなに使ってもらいたかったと言い、さらに、川崎に言われたように、皆に見せるとき、「黙っていてね」と言ったから大丈夫と言った。
演習1 株式会社ツカモトの特許出願は、登録可能か?
おまけの問題・・・川崎の発明は、職務発明と言えるか、検討しなさい(第6回の授業を振り返り考えてみましょう)
演習2
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