☆文型学習のメリットと限界
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ネイティブは5文型という言葉を知らない
2018年にケンブリッジ大学公認の英語指導資格CELT-Sを取得しましたが、学習コースの中にはSVOCといった記号は出てきませんでした。(ただし文中の言葉の並べ方は教えるように指示されてました。)また有名な文法書Grammar in Useでも文型は見たことがありません。文科省のお金でカナダブリティッシュコロンビア大学でESLのことを学ばせていただきましたが、やはり文型は出てきてません。
おそらくネイティブは絵本や、日常的な話し言葉の中で自然に覚えるのが自然かもしれません。
5文型の源流
5文型の源流は、1904年 Onionsが述べた「述部の5形式」が定説となってます。Cooper and Sonnenschein(1889)が最初と見る向きもあります。日本ではOnionsを学んだ細江逸記の英文法汎論(1917)が紹介しています。つまり5文型は100年前に日本に紹介され、それが連綿と続いているわけですね。
現行の指導要領での5文型の取り扱い
文部科学省が出している現行の指導要領では、文型ではなく、文構造という言葉が使われています。この理由の一つには、文型を用いた機械的な文の分類を排除すること、また二つ目には、主語の後の、述語の形式が多岐にわたるため、従来の5文型ではとられられない性質の文もとらえさせようという意図からです。
文型は5つ以上と見る考え方もあるが一長一短
Onionsと細江の5文型、Quirkの7文型、安藤の8文型などがありますが、それぞれ一長一短があります。5文型は分けきれない文が多いのがデメリット。しかしメリットもあり、初学者にとって、5つに絞った文の並べ方について学習はしやすい。わけです。7文型や8文型はいろいろな文を拾って分類しやすいですが、デメリットは英語を外国語として学ぶ環境にいる初学者にとっては分類パターンが多すぎて自分の中でパターン化しずらいです。つまり初学者にとっては難しいのです。
じゃどうするか=5文型をベースに、柔軟に受け入れる
日本の初学者にとって文型とは意味をとるために利用すべき時短ツールの1つにすぎません。伝統的な考え方、分類方法に必ずしも縛られる必要もないでしょう。とっつきやすい5文型をうまく活用しながら、合わないところは、まあまあそんな英文もあるよね。ぐらいの柔軟性で付き合うのがいいと思います。言葉は、理解・利用・活用できてなんぼですから。
He was (in poor health )なら「彼は健康がすぐれなかった」これはSVCでいいのではないでしょうか。
He(was proud of)her. なら、「彼は彼女を誇りに思っていた」SVO扱いでいいと思いますし、
I (want to=wanna) go there someday. なら「僕はいつかそこに行きたい」want toは助動詞扱いでもいいと思います。
言葉を体系化する完全な学習方法はない。文型という時短ツールを使いながら言葉の曖昧さを受け入れ、丸覚えするものはしよう。
5文型とは多種多様な述語形式を「わかりやすく(ただし不完全に)切り取った」ものです。そのパターンの少なさからくる初学者へのメリットもあれば、不完全さによるデメリットもあると思って付き合うのがいいと思います。意味順で並べていくものもありますがこれとて不完全です。英語学習者は多かれ少なかれ言葉の曖昧さを受け入れつつ学んでいくものと思います。
個人的には、初学者向けには
1)誰が どうする <どのように、どこ、いつ、なぜ>
2)誰が=ナニだ
誰が=ドンナだ
3)誰が→どうする→何を(人を)
4)誰が→与える→誰にー何を
5)誰が どうする { 主語ー述語 }
あたりかなあと思っています。
最後になりますが、全ての英文を5文型に押し込めることは不可能です。不可能ですが、学びやすくする時短ツールの一つと考えましょう。