客観主義
このようにしてメッツは、自然主義のもうひとつの形である「客観主義 objectivism」を最終的に擁護することになる。すなわち、「人生の意味」はある程度客観的に決まるとするのである。「客観主義者にとっては、物理的世界における出来事は、〈それ自体において in themselves〉意味を持つのであり、主観的な命題的態度の対象であることとは独立に意味を持つのである」。すなわち、 人が自分の人生に満足しようがしまいが、そのようなこととは関わりなく、その人の「人生の意味」はある程度客観的に決まるとするのである。ではその客観的な諸性質とは何かということだが、それはその人生に内在するところの 「善・真・美 the good, the true, and the beautiful」である。善・真・美を兼ね備えた人生こそが、客観的に意味を持つ。そうであるがゆえに、「聖人的善行、 知的達成、美的創造 moral supererogation, intellectual achievement, and aesthetic creativity が人生の意味の中心的源泉である」と人々に信じられているのだとメッツは言う。その点において、マザー・テレサやマンデラの人生は客観的に有意味である。 /icons/hr.icon