それいけ百獣の王、ではどこへ行く
「俺は強い!もう誰負けない!!」
ライオンはそう雄叫びを上げました。
昔は、勝負を挑みに来るやつもいましたが、もはや誰も戦おうとしません。
ライオンがいつもの日課である散歩を終わらせたとき、自分の後ろに誰もいないことに気がつきました。
怖くでわざわざ近寄ろうとするやつがいないからです。ふとそれに気がついたとき、悲しくなり、友だちが欲しいと思いました。
でももう誰も僕のことを気にかけてくれたり、話しかけたりしてくれるやつはいません。
ライオンは悲しくなって、海で一人、考えていました。
「もう誰も傷つけたくない」
何日もかかけて考えていると、遠くの方でキラキラと何かがはねているのが見えました。
それはお魚でした。
その日からライオンは、お魚と友だちになろうとしました。あるときは泳いだり、あるときはお魚の群れに入ろうとしました。
海は心地いいもので、すぐにお魚ともお友達になりました。そこから何年も経ってライオンはライオンではなくなりました。
それは一匹の大きな魚、クジラになっていました。もう誰も傷つけたくないという優しい思いが、ライオンに奇跡を与えたのでした。