5本指の塔:神の右手/神の左手
ウスタゴーから続く街道の間に5本指の塔と呼ばれる塔がある。塔は南からそれぞれ、親指、人差し指、中指、薬指、小指と呼ばれている。それぞれの指の間は約10〜12マイル程度の間隔で続く。これは牛が荷車を引いて約1日かかる距離だ。この街道を行き来する隊商は塔ごとに野営して夜を明かす。野営の間、塔のてっぺんでは目の良い使用人や奴隷、用心棒が交代で見張りをする。
5本指の塔より東側は山脈が連なり、痩せて荒れた土地が続いている。片や西側は、点在する大きな街を拠点として、豊かな穀倉地帯が広がっている。5本指の塔について、東側の人間は神が左手で山の土を盛り上げたとされ「神の左手」と呼び、西側の人間は豊かな土壌を右手ですくいあげたとされ「神の右手」と呼んでいる。
ウスタゴーからの街道でムラにもたらされるのは、様々な生活用品と食料、牛、そして小麦である。小麦はムラが挽いて小麦粉にし、ウスタゴーにもたらされるか、あるいはムラの偏屈だが腕の良い醸造家連中によって高い度数の酒に加工される。品質が良く、輸送のコストが低く抑えられる酒はウスタゴーからの商人にとってかなり魅力的な商品だ。
ウスタゴーからの隊商は、以下の編成が一般的である。
・幌馬車1台とそれをひく馬1頭
・小麦いっぱいの荷車5台とそれをひく牛5頭
・商人1〜3人
・使用人(または奴隷)6人
・使用人兼用心棒2人
ムラへ小麦を届けた隊商は、様々な商品も売り、そして帰りの荷物には酒を買って積み込む。酒の価値は小麦とムラでの売り上げでは相殺できないほど高くつくため、めいっぱい買い込んでも、小麦の荷車でひとつ半くらい積めれば上等である。よって、帰り際には牛と荷車も、ことによったら奴隷も売りに出されることがある。
そんなわけで、帰りの隊商は牛と荷車が3頭立てぶん減っていることが多い。ムラではこの牛を、干し肉にして冬に備えたり、風車では補えない労働力として利用したりしている。