末摘花
末摘花(すえつむはな)とは、
いまのところこの巻がとても印象に残っている。末尾ふくめて短編小説みたいイタロー.icon
『源氏物語』に登場する女性の一人に対する通称。不美人でありながらも生涯光源氏と関り続けた女性の一人。「末摘花」とは、源氏がこの女性につけたあだ名で、彼女の「鼻が紅い」こととベニバナの「花が紅い」ことをかけたものである。「末摘花」から「若菜上」まで登場。 常陸宮と呼ばれるれっきとした皇族の一人娘だが、後ろ盾である父親を早くに亡くし困窮していた。僧侶となった兄と国守に嫁いだ叔母がいるが、経済的な援助は見込めず、あばら家となった屋敷で年老いた女房たちと暮らしている。 極端に古風な教育を受け、頑固で一途、純真そのものの深窓の令嬢。源氏物語で最も細かく容貌を描写された女性で、美男美女ぞろいの源氏物語の中では異色の不美人である。「髪は素晴らしいが、座高が高く、やせ細っていて顔は青白い、中でも鼻が大きく垂れ下がってゾウのよう、その先は赤くなっているのが酷い有様」と酷評されている。 「表着(うわぎ)には黒貂(ふるき)の皮衣(かわぎぬ)、いときよらにかうばしきを着たまへり」と奇抜なファッションであるが、非常に高級なクロテン(セーブル)の毛皮に香を焚き染めて着ている事により、父宮ありし日の裕福さと亡き後の没落が見事に表現されている。
こういうところすごいな。よく引き合いにプルーストがだされるのもわかるイタロー.icon
おとなしく実直な性格だが、滑稽なまでに古風で堅苦しく、世間知らずの面を露呈する。昔気質で気の利かない性質の為、引き取られてからも源氏を「こちらが恥ずかしくなる」と度々閉口させた。このように一見家柄以外に取柄のない彼女だが、頑迷さは純真な心の裏返しであり、源氏に忘れられていた間も一途に彼を信じて待ち続けた。それに感動した源氏によりその後二条東院に引き取られ、妻の一人として晩年を平穏に過した。