語用論
実際の会話の中での言葉の意味や用いられ方を研究する
これは少しあいまいで、よくない定義かもしれないRRM.icon
中間言語語用論
中間言語語用論は,Dell Hymesらが提唱した伝達能力(communicative competence)という考えがもとになっています。伝達能力という考え方は,linguistic competenceに重点をおくあまり,ことばをとりまく社会的要因を無視(あるいは軽視)してきた,Chomskyらの生成統語論に対するアンチテーゼとして生まれたと言っても過言ではありません。Hymesは,外国語を習得する際は,文法や語彙,発音といった言語的能力(linguistic competence10)だけでなく,相手との関係や場面に応じて適切な表現をする力である,語用論的能力(pragmatic competence)も重要であるとし,これら2つを統合したものが伝達能力(communicative competence)であるとしています。
ハイムス(Hymes)は、社会言語学の文脈でよく出てくる人
比較的新しい分野であり、言語学の標準的な教科書で取り上げられるようになったのは、1980年代
オースティンの考え
言葉は、それを構成する語や句がもつ意味を足し合わせたより、はるかに大きな内容を持っているはずだ
何かを陳述するために言葉を使うのではなく、何かを行うために言葉を使うはずだ
ことばを発するときに私達はどのような行為をするのか、またどのようにして行為が成功もしくは失敗することになるのかを明らかにする
行為遂行の仮説
これはオースティン自身が否定した
この欄は、これ以上今は詳しく書かないRRM.icon
自分がまだうまく理解できていないし、オースティンの本も読めていないので
用語
構造的あいまいさ
文の構造として、修飾・被修飾・主述の関係が曖昧になっているということ
抽象的意味
ある言葉が言語学的に取りうるすべての意味
平たく言えば言葉が一般的に使われるであろう意味一覧
たとえば犬なら
動物の一種としての犬
(比喩として)なにかに対して従順、忠実な態度を示すもの
他人の秘密などをかぎ回って報告する者。スパイ
などの複数の意味が存在する
それらの意味の集合を、犬(という言葉)の抽象的意味という
言語構造ではなく、声の調子や動作や表情などの発話行為に含まれる表現のこと
話者の発言の解釈(意図)には、2つのレベルがあるとされる
発話の意味
レベル1
構造的あいまいさを解決し、抽象的意味から文脈に沿った意味を決定したあとに発生する、文字通りの解釈
効力
レベル2
話し手のコミュニケーションの意図のこと
文字通りの解釈(発話の意味)と一致するとは限らない
人は文字通りの意味より多くのこと、もしくはまったく違うことを伝えようとしている事が多い
もし聞き手が~
発話の意味も効力も理解できるとき
コミュニケーションはうまく成立していると言える
発話の意味を理解するが、効力を理解できないとき
コミュニケーションにおいて一番問題が発生しやすい
発話の意味を理解できないが、効力を理解するとき
文脈やパラ言語、状況などから、発話の意図を汲み取ったような場合
発話の意味も効力も、理解できないとき
まったくコミュニケーションができていない
ここまでの議論は、オースティンの考えを元に展開されており、話し手の言ったことと、伝えようとしていることを別のものとして分離した
新しい登場人物
グライスの理論は、発話の受け取り手がどうやって言葉から意味を取り出すのかを説明することだった
実はグライスは的確な会話を推奨するために、この原則(会話の格率)を提唱したわけではない
この原則から外れるような会話がいつ、どのように、行われるかについて注目した
「一つの会話に複数の目的があり、それらが競合しているとき」
では具体的にはどのような場合か?
行動指針の無視
質の格率には反するようなことを言うが、含意の点では真実を述べているとき
行動指針違反
相手が誤解するようにわざと仕向けているとき
行動指針遵守からの離脱
行動指針を守る気がわざとないようなとき
政治家の答弁や相手に伝えたくない情報があるときなど
行動指針の遵守不可能
誤解させたり、含意を生み出そうとする意図が話し手にないのに、発生してしまう
言語活動の何らかの不完全さのために起きる
(いろんな意味で)的を得た話し方ができないなど...
その後、他の研究者によって5つ目の場合が、導入された
行動指針の留保
会話に参加している誰もが誰に対しても、行動指針を守ることを期待しない場合
宗教的、社会的な決まりから、あることを直言をすることが避けられるなど
グライスの言う「含意」とは?
実際に使われた言葉が、本来持っている意味を超えて伝えるもう一つの意味レベルを使ったコミュニケーション手段
効力のうち、発話の意味と一致しないようなもの、と考えても良い?RRM.icon
含意を生み出すのは文ではなく発話
文脈の存在する会話ということ
含意の性質
無効処理が可能である
ある時点では含意をしておきながら、あとの時点で含意を否定できる
含意を生み出している語句はたびたび順番の入れ替えや辞書的な言葉の置き換えが不可能だったりする
人間は含意を見分けたり、行動指針違反がどのパターンであるかを判定する能力があるのか?という問題が残った
後から調べる
間接的な言い回しは労力を必要とし、危険を伴う
話し手にとっては産出するのに時間がかかるし、聞き手にとっても認知的な処理の負担がかかる
聞き手は話し手の伝えたいことをちゃんと理解しない可能性がある
合理性を想定してよいか?
では人間はなぜ間接的な言い回しをするのか?
表現可能性の原則
ことばで伝えようと思うことなら、もしそれがどんなことでも、ことばで伝える方法を人間は必ず見つけることができる
おおむね認められている
ブラウンとレヴィンソンのポライトネス理論
ポライトネス
フェイス
語用論と社会言語学の違い
話者交代と話題支配
語用論的変数の操作
社会的距離などを増やしたり減らしたりすることにどの程度言語を利用することができるだろうか
むすび
語用論は、話し手に動機づけられたものである。つまり人が話すときには、その話し方をする理由があるのである。他のものではなく一つの文法形式や語彙を選び、婉曲な表現やポライトネスを用いる理由があるのだ。語用論は文法で用いられるのとは違った形の論拠にもとづいているのである。
つまり言語の用いられ方とは、一連の社会的、状況的変数の反映であるだけではなく、そこに何らかの変化を引き起こすべく選択されるものである。
語用論の扱う分野は意味には関係しない。そうではなく、意味を生み出す事に関する分野、つまり潜在的意味、人々が相互交渉の中でどのように意味を決定していくかを明らかにする分野なのである。
語用論的現象を説明するにあたって、規則支配型の方法を無批判に当てはめようとしたり、状況や役割関係を静止したものとして捉え、意味をどう見るかは会話の中で決定されていくものというより、話し手に備わった「属性」としてあらかじめ与えられたものとして扱っているのは、残念なことである
参照