荒川土手に自作の電話網を敷設して、電話をかけてみた(note用原稿)
ヲタクという種族はなんでも自分で作る。
ナイフにはじまり、CPU・工作機械・車やバイク等々、
「自分にできそう」「やってみたい」「かっこいい」「自分で作れないのはおかしい」が行動原理である我々にとって、「売ってる」「買った方が早い」という理屈は通じない。
そんなヲタクが思ってしまった「電話網って作れるんじゃね?」
それならやることは一つ、電話網作ってみた。
電話網の概要
https://gyazo.com/9e52f45643649d08d1d22479b4ad071c
実際に使った機材は固定電話として使われる電話機だが、もちろんこれを一般加入電話(NTTなどによって提供されているアナログの電話網)に接続したわけではない。これから電話網を自作しようというのだから当然だ。
ではどうしたかというと、LANやインターネットなどのIPネットワークを使うIP電話と言われる仕組みを利用した。VoIPアダプタと呼ばれる手のひらにのるくらいの小箱にアナログの電話機とLANケーブルを接続すると、SIPプロトコルで通信するIP電話機として使うことができる。
IP電話は一般加入電話からは独立させて構築することができるので、一般加入電話と電話番号の割当が混ざることなく自由に運用することができる。
つまりは電話網が完全自前の「電話ごっこ」ができる。
しかし、ただLANに繋いだだけだとせいぜい自宅の内線電話にしかならない。
これでは「電話網」と呼ぶには少し物足りない。
そこで、強力なWi-Fi機器を入手して、荒川をまたいでみることにした。
実際の配線図は以下の通り。
https://gyazo.com/e12cb59f5664dd590b2b8a7ed4cacee0
無線ブリッジとは、LANケーブル接続を無線化し長距離間で延長できる機器である。(正確にはLANケーブルの延長ではないが割愛)
これにより独自のIP電話網を無線化し、長距離間で通話することができる
PoE: CPE510付属のPoEアダプタ
GL.iNet Wi-Fiルーター: モバイルルーターからネットに接続する
HT801 VoIP Adoptor: 固定電話として使われるアナログ電話機をIPネットワークに繋げるための機器(VoIPアダプタ)
闇ネットGW RPi4: SIPサーバはギクスペ独自のネットワーク「GSNet」(通称「闇ネット」)内に置かれているので、GSNetにVPNで接続するためにRaspberry Pi 4を用いている
なお、ギクスペでは闇ネットに接続するためのこのようなVPN装置を「闇ネットゲートウェイ」と呼んでいる
GL.iNet WiFiルータ: GSNetへのVPN接続にはインターネットが必要なので、Wi-Fiルータを配置している
iPhone: Wi-Fiルータをインターネットに接続するのに使っている
本当はWi-Fiルータに直接LTEモデムを接続する予定だったが、うまく動かなかったので急遽こういう構成になった
これらの機材を折り畳みテーブルに乗せた。
機材はポータブルバッテリーで駆動し、川の両岸で運用する。
荒川で運用する前に自宅前で動作確認をした。
家の前にテーブルを広げて作業をしていたので、近隣住人からいつ通報されるかと思いながら作業をしていた。
動作確認では用意したモバイルルーターが使えなかったり、各種機器の設定に手間取ったりと
想定以上に時間がかかってしまった。
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機材一式。三脚の上に無線ブリッジに繋がっている。
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荒川で電話
実際にこれらの機材を荒川に運び設営した。
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両側の電話局の位置。
荒川の両岸河川敷に電話局を設置。
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両局の距離は約500m。
このCPE510は建物と建物のLAN同士を結ぶときなどに使われる強力なWi-Fiで、電波が到達する距離はメーカーの公称値で2.5kmあるので、500mは余裕だろうと考えた。
NTTなどでIP電話を契約すると050から始まる電話番号を割り振られるが、せっかく自由にできるので小菅局は110番に設定。(千住局は306番)
事前確認に時間がかかってしまい、辺りは真っ暗になった。
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出発前の準備に手間取ったのは対象的に、現場で設営してアンテナの向きを合わせるだけですんなり電話することができた。
途中で興味を持った地元民に話しかけられ、対岸局と通話をする場面もあった。
次回の展望
もっとコンパクトに機材をまとめて運用できるようにしたい。
昼間に実験をしていろんな人に試してもらいたい。
おまけ
https://gyazo.com/3445312d43b7d840d45b866cd80810a8https://gyazo.com/d6f472d8bcb28ad9166e790445a48d0e
作業途中で段ボール製モバイルデバイスが誕生した。