アイディアと著作権
法律に詳しい人の増補改訂がほしいA_kirisaki.icon 著作権はあくまで「表現されたもの」の権利を保護するもので、理論や概念など抽象化されたものには適用されない。 しかし「アイディア」と「表現」の区別は実際には困難であることもある。
もっとも、何が「表現」で何が「アイデア」なのかを区別することは、必ずしも容易ではない。
例えば、著作権の保護期間が経過しているかどうかという点をしばらく捨象すると、「ロメオとジュリエット」、「ルチア」及び「ウエストサイドストーリー」がそれぞれ最上級の著作物であることに疑問を持つ者はまず存在しないであろう。
しかし、準拠法の問題はともかくとして、「互いに憎悪を持つ2つの家の若い男性と女性とが恋に落ちたが、両家の対立故に悲しい結末に終わる」というストーリー展開に着目して、仮にこれを「表現」に属するものと考えて、その共通性を強調すれば、「ルチア」は「ロメオとジュリエット」の盗作つまり著作権(翻案権)侵害であることになる可能性が生じる。
さらにストーリーを抽象化して、「互いに憎悪を持つ2つの組織に各々属する若い男性と女性とが恋に落ちたが、両組織の対立故に悲しい結末に終わる」というストーリー展開に着目して、仮にこれを「表現」に属するものと考えて、その共通性を強調すれば、「ウエストサイドストーリー」さえも「ルチア」や「ロメオとジュリエット」の盗作つまり著作権(翻案権)侵害であることにすらなりかねない。
これは、アメリカのロースクールでよく用いられる「教室設例」であるが、要するに、「表現」は抽象化すればするほど「アイデア」に近付く場合があるので、その両者の線をどこで引くのかということは実際には困難な問題である。
そのため「短いアイディアの一つ」に著作権は認められないが「アイディアの羅列」には認められるかもしれない。
アイディアは盗用されても文句は言えないが、文章についてはその気になれば著作権を主張できる可能性が潜んでいることを忘れないことがお互いの表現の尊重につながるのかもしれない。
とはいえ無断でアイディアを使用するのはトラブルの種になりやすい(特にコミュニケーションの距離が近い関係にあるほど)し、一人でやるのは生産性が悪いのでみんなを巻き込んでやろう。アイディアをどんどん共有し合おう。
Discord や該当の Scrapbox 記事に書き込んで意思表示すると良いかも。