ゲノム医療病理組織検体取扱いマニュアル
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* 日本病理学会
2019/3/17
nananana.icon 以下は当時の業務の標準化と品質管理のための検討事項です。201908頃に全ての問題について解決済み。
1.目次構成
2.業務の目的やターゲット、関連部署
3.業務の概要やフロー図
4.手順ごとの説明や注意点
5.参考資料
資源とフェーズ
人
検体
書類
カネ
対象者・関連部署
病理組織を提出するすべての医師
病理組織を採取するすべての部署
病理組織の病院内での搬送担当者
病理診断科部(検査部)
対象検査
遺伝子検査外注
SRL・BML コンパニオン診断用検体
PD-L1 EGFR ALK NRAS
遺伝子変異に対応する治療薬の判定
MSI-High
免疫チェックポイント阻害薬の適応の判定
網羅的がんゲノムプロファイリング
多数(300種類以上)のがん関連遺伝子の変異などを網羅的に検出
検体の取扱い
対象
固形がん
検体の種類
FFPE検体
FFPE検体作製
3時間以内の冷蔵庫保管にとどめ、ホルマリン固定開始 ←治験などでは30分以内
10%中性緩衝ホルマリン溶液の固定
6~48(72)時間浸漬(しんせき)固定 ←治験などでは24~48時間
スライド作成
FFPE検体の未染色スライド10枚+HE染色スライド1枚
切片の厚さ
4~5μm、切片表面の面積25㎜2以上 (5㎜×5㎜四方)
面積が足りない場合にはスライド数を追加
腫瘍細胞割合
トリミングして全体面積の30%以上が適する
肝細胞の場合はそれ以上(2倍)
現状の確認
現在のフロー(病理組織検体)の確認
生検材料
検体採取
手術材料
日本病理学会 ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程
FFPE検体を用いた分子診断のプレアナリシス段階における影響因子
固定前:臨床医・検体採取医
血流停止から摘出までの時間
摘出から固定までの時間・保存温度(常温保存・冷蔵保存)
組織の大きさ
固定液の容量と組織量の比率
ホルマリン固定の時間(病理検査室に到着する時間・組織処理までの時間)
固定:病理医・病理技師
ホルマリン固定液
ホルマリン固定の時間(組織処理までの時間)
固定後:病理医・病理技師
機器試薬の交換頻度
試薬の種類・温度・時間
パラフィン浸透条件(種類・温度・時間)
何が問題か
摘出後の検体処理
摘出後の保存方法が常温保存
ホルマリン固定開始までの時間が長い
20%のホルマリンで手術検体を固定している
固定時間が48(72)時間以上
システム上の問題
オーダーの仕方
遺伝子検査の電子カルテ上のオーダー方法がない
外注手書き伝票で対応している
対象とする検体はどこまでとするか
病理組織検体
迅速診断検体
細胞診検体
解決するための業務フロー
48時間以内に処理・24時間以内に切り出し
72時間以内に処理・48時間以内に切り出し
休日の対応
休日にだれが働くのか
主治医
検体搬送者
病理技師
病理医
将来的な問題・先送り事項
細胞診検体
悪性を想定していない検体の処理
オーダーの仕方について
手術終了時に電子カルテでオーダーを行う
依頼書
検体ラベル
採取検体
上記のフローを検討すること
トリミング(マクロ・マイクロダイセクション)
誰がトリミングするか
トリミングの仕方
最も重要な部分を癌取扱い規約に従って採取し、カセットに入れ、ホルマリン瓶に入れて固定する
腫瘍部の評価にかかわらない部分をトリミングして、ホルマリン瓶に入れて固定する
トリミング部位がわからないときどうするか
現実的な対応案
これまでのフロー (一部を除きすべての標本が過固定・遺伝子検査不適)
手術室で切除後に、手術室内で数時間以内に必要な部位を外科医が一次切り出し処理→一次標本作製
ホルマリン固定され標本室で保管
後日(数日後)に、病理医が二次切り出し処理→二次標本作製
休日対応を考えると48時間以内でかつ午前中に目的組織の切り出し処理を終了する必要がある
パターン1 (一次標本のみ遺伝子検査可能)
手術室で切除後すぐに緩衝ホルマリンで固定開始
夕方もしくは翌日朝にすべての標本を外科医もしくは病理医が一次切り出し処理→一次標本作製
後日(いままで通りの日数で)、病理医が二次切り出し処理→二次標本作製
パターン2 (一次標本のみ遺伝子検査可能)
手術室で切除後すぐに外科医もしくは病理医が手術室内か標本室で一次切り出し処理→一次標本作製
後日(いままで通りの日数で)、病理医が二次切り出し処理→二次標本作製
パターン3 (すべての標本が遺伝子検査可能・二次標本作製なし)
手術室で切除後すぐに緩衝ホルマリンで固定開始
夕方もしくは翌日朝にすべての標本が病理部門に到着する
翌日から翌々日(48時間以内)に病理医によるすべての切り出し処理終了→標本作製
24時間以内に病理検査室に到着を
がんばる
最悪で翌日中に病理検査室に到着もしくは標本室に保管
翌々日に切り出し処理
あきらめる
タイムスタンプ管理を厳密にする必要がある
病理診断記録
検体採取時間: 月 日 時 分
ホルマリン固定開始時間(30分以内): 月 日 時 分
固定時間(6~48時間):
腫瘍細胞含有率(細胞数で50%以上):
トリミング実施:有 無
腫瘍量(スライド上計測: × mm2):
↑ 腫瘍領域も非腫瘍領域も含む
検体採取より病理検査部での処理が48/72時間を超えています。遺伝子検査の際は結果の評価に注意を要します。
ゲノム外来など窓口の設定
院内スタッフを通じた対応
現時点で依頼があった場合の対応は主治医・病理医・病理技師がおこなう
これまでの病理検体のフローと同じ
依頼者
患者
主治医
他院医師
他院病理医
異動などで主治医のいなくなった患者の問い合わせ
院内窓口
地域連携部
外来看護師
治験センター
主治医
各科部長
病理技師
病理医
ゲノム医療担当医(責任者)
ゲノム外来
がんゲノムコーディネーター
医療カウンセラー