病理診断からはじめる遺伝疾患スクリーニング
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nananana.icon 診断時に依頼書情報(電子カルテではない)よりスクリーニングを行い、(P)としてコメントを付記することを目標とする(Level 1)
nananana.icon 遺伝子診療センターやカウンセリング介入できるポジションであれば家族歴聴取をおこなう (Level 2)
☆ 脳腫瘍
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
脳腫瘍では、MMRタンパクIHC陽性の偽陰性になることがある。陰性の時はdMMR(IHC)の検索を考慮してもよい
Level 1&2
MSIスクリーニング対象
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
遺伝カウンセリング対象
Li-Fraumeni症候群(LFS)コア腫瘍 → 軟部肉腫、骨肉腫、乳癌、脳腫瘍、副腎皮質癌
第2度近親者までに56歳未満のLFSコア腫瘍を有する患者がいる場合
LFSコア腫瘍の多重癌で初発が46歳未満の場合
☆ 下垂体腫瘍 非機能性腫瘍・プロラクチン産生腫瘍・成長ホルモン産生腫瘍
遺伝カウンセリング対象
MEN1 
原発性副甲状腺機能亢進症・膵消化管神経内分泌腫瘍・下垂体腺腫のうち2つ以上を有する
第一度近親者にMEN1と診断された者がいる
☆ 中枢神経血管芽腫
遺伝カウンセリング対象
von Hippel-Lindau病
多発の場合臨床的に確定診断
中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫の合併があれば臨床的に診断確定される
家族歴があって、中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫があれば一病変で臨床的に診断確定される
☆ 網膜血管腫
遺伝カウンセリング対象
von Hippel-Lindau病
多発の場合臨床的に確定診断
中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫の合併があれば臨床的に診断確定される
家族歴があって、中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫があれば一病変で臨床的に診断確定される
☆ 網膜芽腫
遺伝カウンセリング対象
☆ 甲状腺髄様癌
遺伝カウンセリング対象
MEN2(MEN2A・MEN2B・FMTC)RET
30%が遺伝性
診断確定
褐色細胞腫を合併する
第一度近親者にMEN2の家族歴あり
RET遺伝子異常あり
☆ 副甲状腺腫瘍
遺伝カウンセリング対象
MEN1遺伝学的検査対象
40歳以前の多発副甲状腺腫
原発性副甲状腺機能亢進症・膵消化管神経内分泌腫瘍・下垂体腺腫のうち2つ以上を有する
第一度近親者にMEN1と診断された者がいる
副腎腫瘍の合併
☆ 乳癌
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
乳癌では、MMRタンパクIHC陽性の偽陰性になることがある。陰性の時はdMMR(IHC)の検索を考慮してもよい
BRCA1/2遺伝子検査(血液)対象 保険適応
45歳以下発症
50歳以下で初発の新規原発性乳癌
60歳以下のトリプルネガティブ乳癌
2個以上の原発
第三度近親者内に乳がん・卵巣がん・膵癌・前立腺癌の発症者がいる
男性乳癌
遺伝カウンセリング対象
遺伝性乳癌卵巣癌症候群 (HBOC)
腫瘍抑制遺伝子BRCA1(17q21.31)またはBRCA2(13q13.1)の機能喪失型変異もしくは欠失
乳癌・卵巣癌・前立腺癌・☆ 膵癌
Lynch症候群
Li-Fraumeni症候群
31歳以下発症の場合TP53スクリーニングを推奨
Li-Fraumeni症候群(LFS)コア腫瘍 → 軟部肉腫、骨肉腫、乳癌、脳腫瘍、副腎皮質癌
第2度近親者までに56歳未満のLFSコア腫瘍(乳癌を除く)を有する患者がいる場合
LFSコア腫瘍の多重癌で初発が46歳未満の場合
Peutz-Jeghers症候群
遺伝性びまん性胃癌 CDH1
Cowden病 PTEN
☆ 肺癌
非小細胞肺癌・非扁平上皮癌
EGFR:KRAS、ALK、ROS1、BRAF、RET、ERBB2と相互に排他的
ALK
ROS1
BRAF
RET
MET
PD-L1
ERBB1(HER2)
非小細胞肺癌・扁平上皮癌
PD-L1
小細胞癌
☆ 食道癌
☆ 胃癌
Level 1&2
MSIスクリーニング対象
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 小腸癌
Level 1&2
MSIスクリーニング対象
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 大腸癌
Level 1
MSIスクリーニング対象
60歳未満
MSI-H病理組織像をさがす → あれば、改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
腫瘍内浸潤リンパ球
Crohn病様リンパ球反応
粘液がん
印鑑細胞分化
髄様増殖
50歳未満 → アムステルダム基準Ⅱより家族歴スクリーニングを推奨
以下に当てはまる症例の腫瘍は、MSI検査をするべきである
血縁者に3名以上のHNPCC関連がん(大腸がん、子宮内膜がん、小腸がん、腎盂・尿管がん)に罹患しており、かつ、以下のすべての条件に合致していること。
1) 罹患者の1名は他の2名の第1度近親者であること
2) 少なくとも継続する2世代にわたり罹患者がいること
3) 罹患者の1名は50歳未満で診断されていること
4) 家族性大腸腺腫症が除外されていること
5) がんが、病理検査により確認されていること
50歳未満 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
以下が1つでも当てはまる症例の腫瘍は、MSI検査をするべきである
50歳未満で診断された大腸がん
年齢に関わらず、大腸がんおよびリンチ症候群関連腫瘍*の同時性・異時性重複がんがある症例
60歳未満で診断され、MSI-Hの病理所見**を呈する大腸がん
第1度近親者が1人以上50歳未満でリンチ症候群関連腫瘍と診断されている患者の大腸がん
年齢に関わらず、第2度近親以内の血縁者が2人以上リンチ症候群関連腫瘍と診断されている患者の大腸がん
*リンチ症候群関連腫瘍:直腸結腸がん、子宮内膜がん、胃がん、卵巣がん、膵臓がん、尿管・腎盂がん、胆道がん、脳腫瘍(通常はTurcot症候群で見られる膠芽腫)、Muir-Torre症候群における皮脂腺腫や角化棘細胞腫、小腸がん
**浸潤リンパ球、クローン様リンパ球反応、粘液性/印環細胞がん様分化、あるいは髄様増殖
Level Ex
MSIスクリーニング対象
低分化および右側結腸癌
dMMRの可能性が高い → 臓器横断的ゲノム診療ガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
Level 1&2
MSIスクリーニング対象
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 多発ポリープ症
遺伝カウンセリング対象 * 遺伝性大腸がん診療ガイドライン
腺腫性
APC遺伝子病的バリアントで鑑別開始→家族性大腸腺腫症
臨床的診断(FAP確定診断)
大腸にほぼ100個以上の腺腫を有する(家族歴の有無は問わない)
腺腫の数は100個に達しないが、家族歴あり
遺伝子診断(FAP確定診断)
APC遺伝子の生殖細胞系列バリアントあり
MUTYH関連ポリポーシス
ポリメラーゼ校正関連ポリポーシス POLD1
NTHL1関連ポリポーシス
MSH3関連ポリポーシス
過誤腫性
鋸歯状
☆ 肝癌
☆ 胆管癌
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
胆管癌では、MMRタンパクIHC陽性の偽陰性になることがある。陰性の時はdMMR(IHC)の検索を考慮してもよい
Level 1&2
MSIスクリーニング対象
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 膵癌
Level 1&2
臨床遺伝検査
UGT1A1遺伝子多型(イリノテカン代謝)
BRCA1/2遺伝子検査(血液)対象 保険適応
MSI検査キットFALCO
MSIスクリーニング対象
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 膵神経内分泌腫瘍
Level 1&2
遺伝カウンセリング対象
MEN1 副甲状腺および下垂体の機能および画像検索を推奨
尿路結石 十二指腸ガストリノーマ 若年インスリノーマ
診断基準
原発性副甲状腺機能亢進症・膵消化管神経内分泌腫瘍・下垂体腺腫のうち2つ以上を有する
第一度近親者にMEN1と診断された者がいる
von Hippel-Lindau病
中枢神経血管芽腫、網膜血管腫の合併があれば臨床的に診断確定される
VHLの家族歴があれば一病変で臨床的に診断確定される
関連病変:中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫
☆ 副腎皮質腫瘍
遺伝カウンセリング対象
MEN1
副甲状腺機能亢進症の合併
MEN2
Li-Fraumeni症候群
Li-Fraumeni症候群(LFS)コア腫瘍 → 軟部肉腫、骨肉腫、乳癌、脳腫瘍、副腎皮質癌
第2度近親者までに56歳未満のLFSコア腫瘍を有する患者がいる場合
LFSコア腫瘍の多重癌で初発が46歳未満の場合
☆ 褐色細胞腫
遺伝カウンセリング対象
von Hippel-Lindau病
中枢神経血管芽腫、網膜血管腫の合併があれば臨床的に診断確定される
VHLの家族歴があれば一病変で臨床的に診断確定される
関連病変:中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫
☆ 腎癌
遺伝カウンセリング対象
von Hippel-Lindau病
中枢神経血管芽腫、網膜血管腫の合併があれば臨床的に診断確定される
VHLの家族歴があれば一病変で臨床的に診断確定される
関連病変:中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫
☆ 腎盂癌
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
尿管癌では、MMRタンパクIHC陽性の偽陰性になることがある。陰性の時はdMMR(IHC)の検索を考慮してもよい
Level 1&2
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 前立腺癌
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
BRCA1/2遺伝子検査(血液)対象 保険適応
転移性前立腺癌
GS7以上の前立腺癌で第三度近親者に卵巣癌や50歳以下の乳癌がいる
GS7以上の前立腺癌で第三度近親者の2名以上に乳癌や膵癌、前立腺癌がいる
☆ 精巣上体嚢胞腺腫
遺伝カウンセリング対象
von Hippel-Lindau病
中枢神経血管芽腫、網膜血管腫の合併があれば臨床的に診断確定される
VHLの家族歴があれば一病変で臨床的に診断確定される
関連病変:中枢神経血管芽腫、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、膵嚢胞、膵神経内分泌腫瘍、精巣上体嚢胞腺腫
☆ 子宮内膜癌
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
子宮体癌では、MMRタンパクIHC陽性の偽陰性になることがある。陰性の時はdMMR(IHC)の検索を考慮してもよい
Level 1&2
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 子宮頸癌
☆ 卵巣癌
臨床遺伝検査
MSI検査キットFALCO
卵巣癌では、MMRタンパクIHC陽性の偽陰性になることがある。陰性の時はdMMR(IHC)の検索を考慮してもよい
BRCA1/2遺伝子検査(血液) 保険適応
myChoice診断システム
Level 1&2
遺伝性乳癌卵巣癌症候群
腫瘍抑制遺伝子BRCA1(17q21.31)またはBRCA2(13q13.1)の機能喪失型変異もしくは欠失
乳癌・卵巣癌・前立腺癌・☆ 膵癌
Lynch症候群
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
リ・フラウメニ症候群 TP53
Peutz-Jeghers症候群 STK11
☆ 骨肉腫
Li-Fraumeni症候群(LFS)コア腫瘍 → 軟部肉腫、骨肉腫、乳癌、脳腫瘍、副腎皮質癌
第2度近親者までに56歳未満のLFSコア腫瘍を有する患者がいる場合
LFSコア腫瘍の多重癌で初発が46歳未満の場合
☆ 軟部肉腫
Li-Fraumeni症候群(LFS)コア腫瘍 → 軟部肉腫、骨肉腫、乳癌、脳腫瘍、副腎皮質癌
第2度近親者までに56歳未満のLFSコア腫瘍を有する患者がいる場合
LFSコア腫瘍の多重癌で初発が46歳未満の場合
☆ 脂腺腺腫
Level 1&2
リンチ症候群
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
☆ 角化棘細胞腫
Level 1&2
同時性、異時性のリンチ症候群関連腫瘍 → 改訂ベセスダガイドラインよりMSIスクリーニングを推奨
大腸癌 子宮内膜がん 胃癌 小腸がん 卵巣がん 膵癌 尿管がん 腎盂がん 胆管がん 脳腫瘍 脂腺腺腫 角化棘細胞腫
遺伝性疾患編
遺伝性乳がん卵巣がん症候群
リンチ症候群
家族性大腸腺腫症
リ・フラウメニ症候群
遺伝性網膜芽細胞腫
多発性内分泌腫瘍症1型
多発性内分泌腫瘍症2型
von Hippel-Lindau病 フォン・ヒッぺル・リンドウ病