医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン
https://gyazo.com/70600e1c95540a9424b2f6a079ee416a
日本医学会
2011
2022
比較的明確に規定されている事項
2011 Point
被検者の診断結果が血縁者の健康管理に役立ち,その情報なしには有効な予防や治療に結びつけることができないと考えられる場合には,血縁者等に開示することも考慮される.その際,被検者本人の同意を得たのちに血縁者等に開示することが原則である.例外的に,被検者の同意が得られない状況下であっても血縁者の不利益を防止する観点から血縁者等への結果開示を考慮する場合がありうる.この場合の血縁者等への開示については,担当する医師の単独の判断ではなく,当該医療機関の倫理委員会に諮るなどの対応が必要である.
全ての医療従事者は、取り扱う遺伝情報が、他の機微情報と同様に、保険や雇用、結婚、教育など医療以外の様々な場面で、患者や血縁者に対する社会的不利益や差別につながる可能性にも十分に留意して取り扱う必要がある。他の医療情報と同様に、民間保険会社等の第三者から患者の健康状態等について照会があった場合、患者の同意を得ずに回答してはならない。なお、同意取得に際しては、患者の利益・不利益について十分で偏りのない説明を行う。
2022 改訂Point
生殖細胞系列の遺伝情報は、一生変化しない情報(静的情報)であると同時に全身の細胞で共通という臓器横断的な情報でもある。また、現在の血縁者のみでなく、将来の血縁者にも共有されうる。このような観点から、遺伝情報は、診療科間、および医療従事者間で患者のプライバシー保護に十分に留意する形で適切に共有され、長期間保持される必要があり、遺伝学的検査の結果や遺伝カウンセリングの内容も、原則として他の診療情報と同様に、診療記録に記載する。