NTTスタジオ3「ステルス防災2」
主催 東北大学大学院工学研究科フィールドデザインセンター、東北大学災害科学国際研究所、NTTサービスエボリューション研究所
2019.10.30 - 2020.2.10
本スタジオでは、「防災行動の日常化」のための情報コンテンツやツールのアイデア具体化、試作・検討を進めた。
また、ユーザの声をデザインプロセスの過程で取り込むために、被災地(仙台市)の市民(今回は、子育て世代を対象)と共に検討をすすめた。そのために、仙台市の子育て支援施設「のびすく仙台」と連携した。
結果、以下の二つのコンセプトを作成し、プロトタイプを制作した。
1:生活情報と防災情報をむすびつけて表示する「ズボラ防災」
生活に役立つ情報(時短テク、家事をラクチンにする技術)は、避難時における行動と親和性が高い。なぜなら、家事を簡単に済ませたい状況(時間がない、モノがない)と、被災時の状況(時間やモノに制約がある)は類似点があるためである。
そこで、生活に役立つ情報と防災行動をむすびつけてユーザに提示する情報コンテンツを作成した(本研究では、ズボラ防災と仮に呼称)。これは、例えば、普段の生活においてカマボコやチーズなどの調理しなくてもすぐに食卓に出せる食材があると簡単という「生活にやくだつ情報」と、被災時においては生活インフラ(電気やガス、水道)が止まることもあるのでそういう時に備えてカマボコやチーズを備蓄しておくと便利という「防災行動に関する情報」を、関連付けて提示するものである。
今回のプロジェクトでは、上記のような「ズボラ防災」のための情報コンテンツを、各種調査や市民との対話・共創のプロセスを通じて多数作成した。また、ユーザに提示するための情報コンテンツのプロトタイプを以下のように作成した。
https://gyazo.com/c46ec78bc2fcbbad1a2782353cef077d
2:思わず持ちたくなるメディカルID「Doodle ID(ラクガキID)」
もしもの時のために、自身のメディカル情報(投薬、持病、かかりつけ医、アレルギー、非常連絡先、など)を携帯するためのIDをメディカルIDという。東日本大震災のときの経験からも、大きな災害が発生したときには、家族が離れ離れになることも多いため、メディカルIDが重要であることが言われている。特に、小さな子どもは、自分のメディカル情報を記憶したり伝えたりすることが不可能もしくは困難であるため、親がメディカルIDを作成し携帯させることが重要である。多くの場合、メディカルIDは名刺サイズの紙(折りたたまれたもの)で作成されることが多いが、一般になかなか携帯してもらえない。そこで、思わず持ちたくなるメディカルIDとして、Doodle IDを考案した。これは、子どものちょっとしたラクガキをパーソナルファブリケーション技術を用いて子どものすきなアイテム(キーホルダ、ステッカー、スタンプなど)として物質化し、それをQRコードのようなIDとして用いて、子どものメディカル情報にアクセスできるようにするものである。
今回のプロジェクトでは、このDoodle IDの基本コンセプトがユーザ(子育て世代)に受け入れられるか、また、どういった媒体をIDとすれば子どもやその親が持ちたくなるかを、市民をまじえて検討した。作成したコンセプトのイメージを以下に示す。
https://gyazo.com/b306c89b456cb538c4a30ceec0349ae9https://gyazo.com/46b01491c02021a1ada63335b325a32c