0x エコシステムについて
0xとは
DEX(あらゆるERC20を扱う)を作るための基盤となるプロトコルであってDEXではない
DEXのスケール・高速な取引・安い手数料の実現を掲げている
オーダーブック(bid/askのマッチング)はオフチェーンでやって、決済部分のみEthereumに刻むようにして高速化、スケールできるようにしている
オーダーブックはオフチェーンなので、中央集権的になる可能性やトラストレスの実現が難しいが、オーダーブックの管理をサードパーティに委譲して(その取引所的な振る舞いをしているサードパーティをRelayerと呼ぶ)解決しようとしている
①Relayerが取引手数料の見積もりと手数料を受け取るアドレスをメイカーに提示する
②メイカーは取引注文を作り、提示された取引手数料もセットする。このときメイカーの秘密鍵で署名を行う
③メイカーは署名済みの注文をRelayerに提示する
④Relayerは受け取った注文が正当かどうか確認し、有効であればオーダーブックに記録する
⑤テイカーはメイカーの注文が更新されたオーダーブックを受け取る
⑥テイカーは取引したい注文を見つけ、Ethereum上のDEXコントラクトに提示する
Relayerは0xを使う時にユーザから任意の手数料を取ることができるが、Relayer同士で競争しあうことになるので、その分手数料が安くなっていく。また、トレード用のトークンを自分たちで保持する必要もなく、各Relayer間で流動性がシェアされているので参入障壁が下がりネットワーク効果も効く。以下Relayerの例
DDEX
Relayerの中では最も取引量が多い。Kyber Networkと同程度で24hで2000万円程度。bitFlyerはその100倍以上、binanceは5000倍以上...!!
RaderRelay
Relayerの中では2番目に取引量が多い
0xが公開しているコントラクトやRelayerをDAppsに組み込むものも増えてきている。0xに乗っかることによって多数のトークンが扱い可能になる。以下DAppsの例
Aragon
decentralizedな組織を作るDApp。トークンが投票権となって中央無しで意思決定をする組織を目指す。Aragon上でトークンセールもできるようにするらしいが、それはETHだけではなくDAIなど他の通貨も対応させたいニーズがあり、0xを導入して他の通貨を利用可能にする。
Auctus
老後の資金を運用するロボアドバイザーとブロックチェーンのコラボ。既存の金融商品と暗号通貨を扱う。資金運用についてのアドバイスと取引の場、2つのサービスを展開する。後者のサービスではトレーディング機能が必要になるのでそこで0xを使う予定だと見受けられる。ただ、Technical paperにも具体的な実装は書いていないので定かではない。
Augur
分散型オラクルと予測市場プラットフォーム。V2で0xを導入予定で、それによって、プラットフォーム内の利用通貨がREP・ETHだけではなく、ERC20でリワードがもらえるようになる。
Dharma
P2Pレンディングのサービス。借り入れをするDebtor・貸出をするCreditor・利率の算出やアセスメントをするUnderwriter・借り入れをする人と貸出をする人のマッチングを仲介するRelayer、4つのステークホルダーがいる。0xの注文リクエストのコントラクト(オーダーブックに追加する部分)と同じ仕組みで借り入れのリクエストが処理される。Dharmaでは0xのオーダーブックに相当するのが、借り入れしたいリストになる。
dYdX
0xと同様にプロトコルで、基本的なオンチェーンの部分は0xのコントラクトを利用しているが、0xのbuy/sellが、dYdX上では、空売り・オプション取引になる。暗号通貨の世界で分散型デリバティブを実現しようとしている。
Harbor
既存の不動産、株式から美術品までセキュリティにして様々なものに流動性を与えるプロジェクト。ICOができる形でトークン発行をできる。HarborはDEXにつなぐために0xと提携するとアナウンスしているが、実際に自分たちがどういった形で関わるのか(Relayerになるのか、Relayerを利用するだけなのか)は少し不明確。News
0x の公式を見ると、Harborは入っていないので、0xの上で開発をするのかは謎。
MakerDAO
StableCoinのDAIを発行しているが、発行の仕組みのCDP(pegする際に担保となるETHをデポジットするコントラクト)をより扱いやすくするためにRelayerと提携している。0xともパートナーシップを結んでいるが具体的に何を行っているのかは情報があまりない。
0xの課題
Relayerのための環境整備(APIの提供やドキュメントの整備等)をしないとエコシステムそのものが成り立たない
Front-running問題は解決されていない
ある注文に対してそれよりほんの少し約定しやすい条件(gasを多めにするなど)で注文を入れて約定する前に妨害できる問題のこと。妨害された人は結果的に不利な条件でトレードすることになる
以下のような方法が議論に上ったりするものの解決方法がまだ決まっていない
払うgasの上限を設けておく(gas priceは編集不可にして、gas limitに上限を付ける)
確認用のコントラクトを必ず通るようにしてチェックする
WETHが必要になる 
ERC20をなんでも扱える一方でETHはそのままでは扱えないのでETHをERC20に変換したWETHが必要になる
0xを利用する価値
DEXプロジェクトの中では先行しており、Relayerの一つであるDDexだけでKyber Networkと規模は同じ(24hで2000万円前後の出来高)くらいで、すでにDEXの中では大きな存在感がある。ただし、bitFlyerはその100倍以上のvolumeがあるように既存の取引所に比べるとまだまだ小さい。
0xとパートナーシップを組んでいるプロジェクトが多いのでコミュニティ形成に有効そう。
Exchangeの機能がオーダーブックのところだけの実装で済む。ChangellyやKyber NetworkのAPI接続よりも流動性が出せるのは魅力的。imTokenは0xを利用している。気をつけないといけないのは0xはEthereum限定なのでBTCは対応していないということ。