シニョリッジ・シェア (Stablecoin)
Seigniorageとは通貨発行益のこと
このSeigniorageをShare、つまり株式のような権利にし、権利の保持者に利益を分配する
hiroingk.icon < 基本的には、Coinの発行量を上げたり下げたりすることで、需要と供給を制御し、為替レートを一定に保つ仕組みである。
中央銀行的なアプローチ
このアイデアはシンプルだが、実現が難しいとされている。
この考えの元となった論文は、Robert samsの "A Note on Cryptocurrency Stabilisation: Seigniorage Shares"
初版は2014年に書かれている。
メカニズム
このシステムでは2つのトークンが存在する
Coin, またはStablecoin(ドルなどの法定通貨に価格pegしたトークン)
Share(ボラティリティで発生する収益分配を受け取るトークン)
hiroingk.icon < 以下の図でメカニズムを簡略化して説明する (実際の論文ではもっと複雑)
パラメータ
P : 購買力、価格 (Purchasing power)
Q : 供給量 (Quantity of coins demanded with respect to a given coin price)
CD : 需要 (Coin demand) CD = P × Q
https://gyazo.com/7c91f48166b0b32bd7ae6b52539e8de0
供給量Qが一定のまま動かない時を考えると、Pは需要CDによって変動する(図の赤い部分)
Stablecoinの実現のためには、Pを一定の値に固定する必要がある。そこで、Qを変動させる
Qを変動させるための手法
供給量は現在価格Pi / ターゲット価格Pˆの式に基づいて決定される
Pi/Pˆ > 1の時、オークションでShareと引き換えにStablecoinを新規発行し、Shareは消滅させる
Pi/Pˆ < 1の時、オークションでStablecoinと引き換えにShareを新規発行し、Stablecoinは消滅させる
上記の仕組みにより発生すること
Stablecoinの価格が下落している局面
将来においてStablecoinの需要が拡大することを期待する人は、オークションでStablecoinと引き換えにShareを買う
市場に残ったStablecoinは希少価値が高まり、価格が上がる
Stablecoinの需要が拡大し、価格が上昇している局面
システムはStablecoinを新規発行し、Shareをオークションで買い戻す
市場に残ったShareは希少価値が高まり、価格が上がる
hiroingk.icon < つまり、Stablecoinの需要が将来にわたって拡大し続ける限り、Shareに投資することで利益を得ることができる
この構造は、Stablecoinを発行することでシステムが得る利益(Seigniorage)を、Shareの保持者に渡していることになる
一方で、Stablecoinの需要が将来に渡って低下すると、Shareから利益を得ることはできない
システムはStablecoinの価格を維持しようと、Shareを大量に発行し続ける
やがてハイパーインフレになる
上記で説明したように、Seigniorage Sharesは安定的なシステム稼働が難しい
hiroingk.icon < しかし、魅力的なアイデアなため注目度が高まっている
コラテラルを必要としない
経済学と暗号学の仕組みだけで動く
Seigniorage Sharesにチャレンジしているチーム
hiroingk.icon < 以下に示すチームらは、Robert samsの理論に独自の改善を加え、Stablecoinを実現しようとしている。
hiroingk.icon < なんでQTUMベースなのか...?
議論
hiroingk.icon < Seignorage SharesはEthereum Researchで活発に議論されている。
Vitalikは "Seignorage Sharesは試すべきアイデア" であると主張している そもそも、Stablecoinそのものが人気トピック
hiroingk.icon < 個人的には、このシステムが成立するかは懐疑的
常にStablecoinの需要が拡大することが成立条件
Stablecoinが同時多発的に大量発生している状況では、ユーザーが使うStablecoinの種類も分散されてしまう。この前提が成立できるのだろうか・・・?
制御工学で利用されているPID制御を、トークンの供給量変化の式として使えるのではないかという提案
"PID control with stablecoins"から派生したスレッド。
オークションはEOSのクラウドセールを参考にしている