【引用】雇用が不安定だと、収入も低くなりがちだ。
雇用が不安定だと、収入も低くなりがちだ。もちろん低収入はそれ自体が大きな問題だが、婚姻のしにくさにつながっていることも見逃せない。
「20~30代の男性は、年収が低いほど既婚率が低い傾向があります。年収300~400万円の既婚率は17%で低いですが、年収300万円未満になると9%とさらに落ちてしまいます。国税庁の調査によると、年収300万円未満の男性は、2010年の段階で全男性納税者の23.4%。この割合は97年以降増え続けていて、就職氷河期世代と重なります」
永濱氏は、「これを放置したことで取返しのつかないことが起きた」と指摘する。
「婚姻率の低下は少子化の原因の1つです。就職氷河期世代は第二次ベビーブーム世代と重なり、普通なら第三次ベビーブームが起きてもおかしくなかったのですが、家庭を持てるほどの雇用所得環境が得られなかったせいで、次のベビーブームは起きませんでした。この社会的損失は、出生率が多少改善したとしても取り戻せません。現在の労働力不足や社会保障への不安も、就職氷河期世代を早めに支援していたら、今より状況はマシだったでしょう。その点でも政策当局の失策だったと思います」
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